食空間コーディネーターになるには

  • 2020.07.21
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食空間コーディネーターの概要や仕事内容

食空間コーディネーターとは

食空間コーディネーターとは、食事をする空間の総合的なコーディネートを行う職業です。料理や食器、カトラリーだけではなく、ファブリック類やインテリアまで、空間全体のアイテムを選択し、レイアウトしていきます。
この食空間コーディネーターの特徴は、「おもてなし」を重視しコーディネートを行うことです。その空間で食事をするお客様がどのように感じるか、またお客様をどのように喜ばせられるかを考えながら、会場の雰囲気や料理、シーンにマッチした空間を作り上げます。
また、食空間コーディネーターという職業は、主に「食空間コーディネーター」の資格保有者が名乗るものですが、この資格は2008年までは「テーブルコーディネーター 」と呼ばれていました。そのため、現在でもこの職業や資格のことを、テーブルコーディネーターと呼ぶ場合があります。

食空間コーディネーターの仕事内容とは

食空間コーディネーターの仕事は、食空間全体をコーディネートすることです。料理はもちろん、それに合わせたカトラリーやファブリック、インテリア、照明などを選択し、そのレイアウトを決めます。
また、このような空間コーディネートをするためには、クライアントのニーズや企業のコンセプトをよく理解しておくことが重要であるため、クライアントや企画者とのミーティングも、食空間コーディネーターの重要な仕事です。ミーティング後は、企画書作りやプレゼンを行い、コーディネートの詳細を詰めていきます。
さらに、時には食空間コーディネーター自らが現場に入って指揮を取ったり、セッティングを行うこともあるでしょう。
このように、食空間コーディネーターは、企画からセッティングまで総合的に関わり、食空間のコーディネートを行います。

食空間コーディネーターになる方法

食空間コーディネーターになるために、定められた学歴や資格はありません。誰でも、食空間コーディネーターとして働くことができます。ただし、「食空間コーディネーター」は食空間コーディネーター協会の登録商標に当たるため、同協会による「食空間コーディネーター」資格は取得しておいた方が良いでしょう。この資格については次章でご紹介します。
また、食空間コーディネーターには、センスの他にも、空間コーディネートに関する専門的知識が求められます。そのため、大学のデザイン・インテリア系コースや美術大学、専門学校などで空間コーディネートを学び、卒業後に食空間コーディネーターとして企業に就職したりフリーランスとして活動を始めたりするのが一般的です。
さらにこの時、「食」に関する知識も同時に高めておくと良いでしょう。

食空間コーディネーターに求められる資格や試験

食空間コーディネーターには、「食空間コーディネーター」という民間資格の取得が有効です。
これは、食空間コーディネーター協会による民間資格であり、食空間プロデュースの意義を広め、また食空間コーディネートの知識・技術の専門性を高めることを目的に実施されているものです。
その内容は、「テーブルコーディネート」や「色彩」、「料理」、「卓育」などで構成されており、レベルは1級〜3級の3段階に分けられています。また、最上級レベルとして認定講師という資格も設けられており、その保有者は全国に数人と、非常にレベルが高いものになっています。
ただし、3級資格については、試験を受ける他にも、認定講師による所定のカリキュラムを修了することによっても、取得が可能です。
それぞれのレベルの試験については、次章でご説明します。

難易度や試験について

食空間コーディネーターの合格率は不明ですが、3級試験については比較的易しい内容であるとされています。しかし、2級、1級試験では実技試験やレポート提出が求められ、さらに認定講師による指導や講習まで受けなければならないので、難易度はかなり上がると考えられます。
試験の詳細については、以下の表をご覧ください。

3級 2級 1級
受験日程 9月 10月(筆記のみ) 隔年春
受験料 会員5,400円(税込)/非会員10,800円(税込) 筆記試験:会員5,400円(税込)/非会員10,800円(税込)

実技指:5,000〜10,000円(講師による)

実技写真審査:16,200円(税込)

講座:38,880円(税込)

レポート審査:10,800円(税込)

試験会場 東京、名古屋、大阪、福岡の各会場 東京、大阪 不明
試験形式 筆記試験 筆記、実技試験(筆記試験合格者は、合格後2年以内に認定講師のもとで実技指導を受け、さらにコーディネート作品の実技写真審査を受ける) 1級講座受講         課題レポートおよび活動内容報告書を提出、審査
試験時間 90分 120分
受験資格 なし 食空間コーディネーター3級保有者 食空間コーディネーター2級保有者で協会賛助会員以上、筆記試験合格後ブラッシュアップセミナーを2講座以上受講している者
合格条件 不明

※2019年の試験概要です。

今後の食空間コーディネーターの将来性

近年、「食」の付加価値について、人々の関心が集まっています。ただ料理を食べるのではなく、料理やその空間全体にこだわり、食事の時間をより楽しく豊かに過ごすことに重きを置く人が増えているのです。現状、食空間コーディネーターという職業は、日本ではまだまだ浸透していませんが、このような「食」に対する人々の総合的なこだわりは、今後も加速していくと考えられます。そのため、食空間全体を専門家としてより良くコーディネートする食空間コーディネーターの需要は、今後増加していくと考えられます。よって、食空間コーディネーターの将来性は、決して低いものではないでしょう。
ただし、食空間コーディネーターとして活躍するには、実力やセンスが必要です。第一線で仕事を続けたいのであれば、これらを磨く努力とともに、自身の作品を広く知ってもらえるような宣伝方法の確立も必要でしょう。

食空間コーディネーターの就職先

食空間コーディネーターの就職先で多いのは、ブライダル関連会社です。この場合、披露宴や結婚パーティーでの空間コーディネートを、新郎新婦の希望を汲みながら行うことになります。「おもてなし」を重視する食空間コーディネーターにとって、まさにおもてなしの場であるブライダルでの仕事は、腕の見せ所だと言えるでしょう。
また、食空間コーディネーターは、ホテルやレストラン、インテリア関連会社などでも勤務し、自社の食空間コーディネートやその製品の提案を行っています。
しかし、中には企業に所属せず、フリーランスとして活動する食空間コーディネーターもいます。その場合、仕事をする場所は限定されず、ホテルのパーティーやレストランなどさまざまな場所で、空間のコーディネートを行っています。

食空間コーディネーターの平均年収・MAX年収

食空間コーディネーターの年収についてはほとんど情報がなく、不明です。
代わりに類似色であるフードコーディネーターの年収を挙げると、その平均年収は300万円〜600万円がボリュームゾーンにあたります。フードコーディネーターと食空間コーディネーターはやや仕事内容に違いがありますが、どちらもフリーランスとして活動する人が多いため、このように平均年収には幅が出ると予想されます。
ただし、どんな仕事をどれくらい受けているかによって年収は大きく変わり、また企業に所属している場合には、その企業の規模や勤続年数も年収に関わります。そのため、食空間コーディネーターの年収は個人差が大きく、一概には言えないというのが実情です。

食空間コーディネーターに向いているのはこんな人

食空間コーディネーターに向いているのは、高いセンスを持っている人です。料理の盛り付けやカトラリーの選択、全体の配色など、食空間には色やバランスのさまざまなコーディネートが求められます。そして、これを魅力的に見せるためには、色彩やデザイン、インテリアのセンスが必須。センスの良いコーディネートは、料理をより豊かに演出します。さらに、色彩と食に対する専門知識もあるとより良い提案ができるでしょう。
また、食空間コーディネーターには「おもてなし」の心も大切です。「おもてなし」のためには、その空間で過ごす人、料理を食べる人のニーズを想像しながら、空間づくりや調理を行わなければなりません。相手の気持ちをよく理解する思いやりや気遣いがあれば、ターゲットとなる相手のニーズを理解しながら、それにマッチした空間作りができるでしょう。

食空間コーディネーターに関連する職業や資格

食空間コーディネーターに関連する職業

食空間コーディネーターに関連する職業としては、先ほども触れた「フードコーディネーター」や「フードスペシャリスト」が挙げられます。これらはよく似た名前の職業ですが、仕事内容には以下のような違いがあります。

フードコーディネーター
「食」のプロデュース業。レシピ・製品の開発や飲食点のプロデュース、メディアでのアドバイスなどを主に行う。

フードスペシャリスト
消費者に「食」の提案を行う職業。「食」に関する商品を幅広く対象とし、開発や情報提供などを行う。時には、食空間のコーディネートを担うことも。

これらの職業は、具体的な仕事内容は違いますが、豊かな「食」を提供する職業という点では、関連性が深いと言えるでしょう。

食空間コーディネーターに関連する資格

食空間コーディネーターに関連する資格には、日本フードコーディネーター協会による「フードコーディネーター」資格や公益社団法人日本フードスペシャリスト協会による「フードスペシャリスト」があります。これは、前章で触れたフードコーディネーター、およびフードスペシャリストの多くが保有する資格であり、その内容は先述したそれぞれの仕事内容に準じます。
また、「インテリアコーディネーター 」資格も食空間コーディネーターに関連する資格のひとつです。これは、インテリアコーディネートの知識や技術を認める資格ですが、食空間コーディネーターは食空間のインテリアを手掛けることもあるため、「インテリアコーディネーター 」の資格知識を業務に役立てられるでしょう。

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