はり師になるには
- 2020.05.14
はり師の概要や仕事内容
はり師とは
はり師とは、はりを使った施術を行う職業です。正確には、「はり師」とは国家資格の名前です。そして、それに加えて「きゅう師」の資格を持った者は、鍼灸師を名乗ることができるため、「はり師」と「きゅう師」両方の資格を取得するケースが多いようです。どちらか一方の資格を持つ場合には、それぞれ「はり師」、「きゅう師」と呼ばれます。
はり師は、人間の全身にあるツボを、患者の容態やニーズに応じてはりを刺して刺激し、不調の回復や病気の予防を図ります。このはりとは、古くからの東洋医学に基づいた施術方法で、自然治癒の活性化により不調を和らげるもの。近年では美容効果も注目されており、その負担の少なさから、多くの人が施術を依頼するようになりました。
そんなはり師は各地の鍼灸院や施設などに努め、医師の行う治療とは違ったアプローチにより、人々の健康を支えています。
はり師の仕事内容とは
先述の通り、はり師の仕事内容は、はりによる施術を行い人の体の不調を取り除いたり病気を予防したりすることです。
具体的な治療の種類は、主に以下の4種に分けられます。
●スポーツ鍼灸
スポーツ障害の治療、またはケガの予防のために行う鍼灸治療。それぞれの選手に合った施術を行います。
●高齢者鍼灸
加齢に伴う身体の不調を和らげるために行う鍼灸治療。高齢者は若年者と比べて効果を実感できるまでに時間がかかるため、長期的な施術を行います。
●美容鍼灸
シワやシミなどの肌トラブルに対し、身体の内側からアプローチする鍼灸治療。髪の毛にも効果があると言われています。
●レディース鍼灸
生理痛や更年期障害など女性特有の症状に対して行う鍼灸治療。ホルモンバランスを整えたり、免疫力を上げたりするための施術を行います。
また、スポーツをする人や高齢者、女性でなくても、肩こりや腰痛、頭痛のような症状でお悩みの方に対し、はり治療を行うこともあります。
はり師になる方法
先ほども触れたように、はり師になるためには「はり師」の国家資格を取得しなければなりません。また、この国家資格試験を受けるためには、鍼灸系カリキュラムのある学校で必要科目を修了し、受験資格を得なければなりません。
そして、国家資格に合格して資格を取得した後には、鍼灸院や各種施設などの求人に応募して採用されるか、自身で開業することになります。ただし、開業するためにはある程度の実績が必要であるため、まずは鍼灸院や施設などで経験を積むのが一般的でしょう。
はり師国家資格の詳細については、次章でご説明します。
はり師に求められる資格や試験
はり師には、「はり師」の国家資格が求められます。そして、その国家試験を受けるためには、「日本医専など鍼灸系専門学校において必要なカリキュラムを修了していること」もしくは「鍼灸学科がある4年制大学や3年制短大において、 必要なカリキュラムを修了していること」いずれかの条件を満たさなければなりません。
試験の内容は東洋医学概論や解剖学、臨床医学など医学に関する幅広いものとなっており、また視覚障害者の受験に関しては、試験場所や受験方法に配慮がなされています。
さらに、この試験は「きゅう師」の国家試験と併願して受験することができます。
難易度や試験について
はり師試験の合格率は年によって違いますが、例年60〜75%ほどです。専門的な内容ではありますが、きちんと学習をしておけば合格するのは困難ではないでしょう。
試験詳細は、以下の表をご覧ください。
受験日程 | 2月 |
受験料 | 14,400円 |
試験会場 | 北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県(視覚障害者は各都道府県)の指定会場 |
試験形式 | 筆記試験 |
試験時間 | 午前2時間、午後1時間45分 |
受験資格 | 前章もしくは厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/harishi/)をご確認ください。 |
合格条件 | 得点率60%以上 |
※2020年現在の概要です。
今後のはり師の将来性
高齢化やセルフメディテーションの推進に伴い、鍼灸治療の人気は高まりを見せています。また、近年では高齢者だけではなく、美容や女性ならではの症状に対する副作用のない治療ができることから、女性による鍼灸治療の依頼も増加傾向にあります。このような背景を考えると、はり師のニーズは今後も見込めるでしょう。
ただし、はり師として長く活躍を続けるためには、技術面およびサービス面での向上が必須。鍼灸院は数が多く、競争力がなければ生き残ることができないためです。さらに、鍼灸師を名乗れるよう、「きゅう師」の資格も取得しておくと、仕事の幅が広がるでしょう。
はり師の就職先
はり師の主な就職先は、以下のような医院や施設です。
- 鍼灸院、治療院
- 介護施設
- 医療施設
- スポーツ施設
- エステサロン
- 研究機関
このように、はり師の需要は幅広く、採用案件もそれなりにあるでしょう。
また、こういった先には就職せず、独立開業するはり師も多数。国家資格を有した多くのはり師が、その腕を生かし、自身の鍼灸院やサロンを運営しています。
はり師の平均年収・MAX年収
はり治療を行う方は、はりだけでなくきゅうの資格も有して鍼灸士として働いている方が多く、はり師としての年収を挙げるのは困難です。
代わりに鍼灸士の平均年収を挙げると、その相場は350万円〜450万円ほどになります。日本人全体の平均年収が400万円代だと言われているので、鍼灸士の年収は平均水準にあると言えるでしょう。
ただし、鍼灸士の待遇は、実績や勤続年数によっても大きく変わります。また、指定数によって手当が変わるケースも少なくはありません。よって、個々の鍼灸士によって、年収には大きな差があると考えられます。腕が良い鍼灸士や人気の鍼灸士の中には、より高い年収を得ている人もいるでしょう。
はり師に向いているのはこんな人
はり師に向いているのは、聞き上手、話し上手でコミュニケーション能力に優れている人です。患者の容態を正しく把握し効果的な治療を行うためには、患者とのコミュニケーションがうまく取れていなければ難しいでしょう。治療を行うはり師に高いコミュニケーション能力があれば、患者はリラックスして自身の状態や希望を話すことができます。
また、はりを用いた治療には、繊細な技術や幅広い知識が必要です。そのため、常に勉強を続ける向上心を持ち、自身の技術と知識を磨く努力を行えることも大切。そして、実際の治療時には慎重さを忘れない姿勢も必要です。
さらに、美容やスポーツ、健康など、治療に関わる分野への興味や知識があれば、なお良いでしょう。これにより、患者との意思疎通やアドバイスもしやすくなります。
はり師に関連する職業や資格
はり師に関連する職業
はり師に関連する職業には、「きゅう師」や「鍼灸士」があります。その違いは、先述の通り取得資格。きゅう師はきゅう師国家資格を、鍼灸士ははり師国家資格ときゅう師国家資格の両方を保有しています。
他にも、人の身体に対して外科的治療や投薬治療を行わずに回復を図る「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」、身体の歪みを整える「整体師」なども関連職と言えるでしょう。
このような職業は、人々のセルフメディテーションに役立っています。
はり師に関連する資格
はり師に関連する資格には、「きゅう師」国家資格の他に、同じく国家資格である「柔道整復師」や「あん摩マッサージ指圧師」が挙げられます。
また、マッサージやボディケアに関する民間資格は多く存在しており、例としては「整体ボディケア」や「リフレクソロジスト」などがあります。このような幅広い資格の勉強をしておけば、施術の幅は広がるでしょう。
-
前の記事
幼稚園教諭になるには
-
次の記事
ビューティアドバイザーになるには