公認会計士になるには
- 2020.01.29
公認会計士の概要や仕事内容
公認会計士とは?
公認会計士は会計の専門家です。
企業には必ず「会計」が存在します。監査・会計の専門家として独立した立場で企業の財務に関するあらゆる情報の信頼性を付与することが公認会計士の仕事です。
監査だけでなく、税務に関する業務や会計コンサルティングなども行っています。
では公認会計士がしている「監査」「税務」「コンサルティング」などの仕事はいったいどういった内容なのかをチェックしていきましょう。
公認会計士の仕事内容とは?
●監査
公認会計士の主な業務は企業や法人の監査です。
監査とは決算時に企業が作成する貸借対照表や損益計算書などの「財務諸表」に間違や不備、不正がないかどうかをチェックすることを言います。
監査には「法定監査」と「任意監査」(法定監査以外の財務諸表の監査や国際的な監査のことで、株主や投資家など利害関係者からの要請や営業譲渡の準備などの目的によって行われる)があります。
法定監査は会社法や金融商品取引法などの法令の規定に基づいて行われる監査です。上場会社や大会社、信用金庫、学校法人、医療法人等々、法律によって監査が義務付けられているあらゆる会社や法人の監査を行うことになります。
ちなみに監査は独占業務のため、公認会計士しか行うことはできません。
●税務
公認会計士の資格を取得した方は申請をすることで「税理士」と「行政書士」の資格を受験することなく取得することができます。
公認会計士の中でも独立開業する方などは税理士資格の申請を行う方が多いようです。なぜ全員が申請するわけではないのかというと、税理士の登録費用として十数万円かかり、その後も年間維持費用として毎年十数万円かかるからだそうです。『そこまで費用がかかるなら専門の税理士にまかせてしまおう』というわけですね。
さて、話がそれてしまいましたが税理士資格を取得している公認会計士は、税務全般の業務を行うことが可能になります。
例えば各種税務書類の作成や代理申請、税務相談、税務処理、財務調査などの業務があります。
●コンサルティング
まずコンサルタントとは「顧客の相談に乗り課題を解決するためのアドバイスや支援を行うこと」を言います。
公認会計士が行うコンサルティングとは会社の経営戦略などの相談や助言、情報システムなどの開発や導入、企業再生計画の策定や検証、株価などの評価など、公認会計士の知識や経験をもって行うコンサルトなのです。
ちなみに、AIの進歩によりAIを使って行う業務が増えているそうなのですが、コンサルティングに関しては知識や経験が必要なことから、人間でなければ行えない業務とも言われています。無資格でもコンサルティングを行うことはできるため、弁護士などの他の士業の方も積極的に参画するような人気の業務だそうです。
とはいえここは会社の会計に詳しく経験豊富な公認会計士でなければ行うことができない助言などもあるでしょう。「公認会計士は最高のコンサルティング資格」と言っておられる方もいらっしゃるほどです。餅は餅屋ではありませんが、顧客の求めるコンサルティングを行うことができるのは公認会計士とも言えるでしょう。
公認会計士になる方法(資格取得方法等)
公認会計士になるには国家試験を受験・合格し、2年間の実務経験を積み、修了考査に合格しなければなりません。
受験資格はないため、会計に関する学校を卒業していなくても、会計に関わる企業に就職していなくても受験することが可能です。
しかし、公認会計士の合格率はわずか10%ほどしかありません。司法試験、医師試験に並ぶ難易度だといわれています。そのため、経済学部や経営学部といった学部で学んだ方の合格割合が高いそうです。中には大学に通いながら資格スクールにも通って合格を目指す方もいらっしゃるほどだといいます。
国家試験は「短答式試験(マークシート)」と「論文式試験」の2つがあります。
短答式試験に合格すれば、論文式試験を受験することができます。
短答式試験は年2回実施され、いずれかで合格すれば論文式試験の受験資格を得ることができます。
実務経験については合格の前後は問われません。
監査法人などの監査業務に携わり補助の役割を果たす「業務補助」、もしくは監査法人や会計事務所で法令により定められた業務を行う「実務従事」のいずれかを通算2年間行うことで認められます。
資格難易度や試験について
試験について
●試験の概要
公認会計士試験は毎年、第I回短答式試験が12月上旬頃、第Ⅱ回短答式試験を5月下旬頃、論文式試験を8月下旬頃に実施されています。
※下記は2020年度の試験の日程です。
受験書類の配布:短答式試験実施日の約4か月前に、願書受付期間や出願方法などの受験案内を審査会ウェブサイトにて公表されます。書面で受験申し込みをする場合は、金融庁もしくは全国の財務局で請求するか、受験を希望する試験地を管轄する財務局などに郵送で請求することが可能です。
受験書類の受付:【第Ⅰ回短答式試験】
2019年8月30日(金)~9月13日(金)
※インターネット出願は~9月19日(木)
【第Ⅱ回短答式試験】
2020年2月7日(金)~2月21日(金)
※インターネット出願は~2月27日(木)
【論文式試験】
短答式試験で申し込んでいるため申し込み不要
※書面で受験申し込みをする場合は受験を希望する試験地を管轄する財務局等などに受験願書を郵送します。
試験日程:【第Ⅰ回短答式試験】2019年12月8日(日)
【第Ⅱ回短答式試験】2020年5月24日(日)
【論文式試験】2020年8月21日(金)~23日(日)
試験地:東京都、大阪府、北海道、宮城県、愛知県、石川県、広島県、香川県、熊本県、福岡県、沖縄県
試験科目:【短答式試験】
・財務会計論(簿記、財務諸表論)
・管理会計論
・監査論
・企業法
※短答式試験は500点満点で、そのうち70%程度取得することが合格ラインとなっています。ただし、一科目につき40%の正答率がなければ不合格となります。財務会計論については200点満点になりますので、80点取らなければ不合格ということになります。
【論文式試験】
必須科目
・会計学(簿記、財務諸表論、管理会計)
・監査論
・企業法
・租税法
選択科目
経営学、経済学、民法、統計学の中から一科目を選択する。
※論文式試験は700点満点で、60%程度取得することが合格ラインとなっています。ただし、一科目につき40%の正答率がなければ不合格となります。
合格発表:【第Ⅰ回短答式試験】2020年1月中旬
【第Ⅱ回短答式試験】2020年6月中旬
【論文式試験】2020年11月中旬
今後の公認会計士の将来性
まず会社が存在する限り会計はなくならなりません。
また、監査業務が厳格化されていることなどから作業数が増え、公認会計士が不足しているといわれています。
そして前述した経営コンサルタントの需要が高まってきています。
これらのことから公認会計士の将来性は十分にあるといえるでしょう。
公認会計士の就職先
●監査法人
公認会計士の多くは監査法人に就職しています。
大手の監査法人から、中小企業の監査法人まで様々な監査法人があります。
大手監査法人に就職し、大企業の監査チームに配属された場合はチームの一員として監査業務を行っていきます。中小企業の監査法人の場合は一人で伝票から財務諸表の監査を行うため成長スピードが速いといわれています。
●一般企業
一般企業の財務部や経理部に就職する公認会計士もいます。
その場合会社の内部監査の担当することもあるようです。
中小企業であれば最高財務責任者として活躍されている方もいらっしゃいます。
●独立開業
経験を積んだのちに独立開業をされる方もいらっしゃいます。
独立開業をする場合は監査だけでなく税務、コンサルティングまで幅広く行うことができるスキルを求められるでしょう。
公認会計士に向いているのはこんな人
監査を行うことは企業の財務に関するあらゆる情報の信頼性を付与することです。
つまり、監査が正しく行われないと企業の信頼をなくすことになりかねません。
そのため、高度な専門知識があること、正確な業務を行えることなどが求められます。また、コンサルタントなどを行うに当たって、企業の方としっかりとコミュニケーションをとっていかなければなりません。そのため高いコミュニケーション能力も求められます。
公認会計士に関連する職業や資格
関連する職業
●弁護士
弁護士の資格をダブルで取得すれば弁理士、税理士、行政書士、社会保険労務士、海事補佐人の資格を取得することができますので、法律から会計・税務のことまでほぼすべての業務を行うことができるようになりますし、幅広くアドバイスなどを行うことができるようになります。
●米国公認会計士
英国公認会計士は米国各州が認定する公認会計士資格です。
英語力も養うことができますので、国際的に活躍することができるようになります。海外に進出する企業も増えていますので、将来性もあるのではないでしょうか。
●中小企業診断士
国が認めている唯一の経営コンサルタント資格です。
中小企業に経営コンサルタントを行いたい場合は知識を深めることができるでしょう。
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