原型師になるには
- 2020.02.28
原型師の概要や仕事内容
原型師とは
原型師はモデラーとも呼ばれ、玩具の元となる模型を作る職業であり、主にフィギュアやガレージキットなどの模型作成を手掛けています。身近に販売されている玩具の多くも、元は原型師の手によって作られており、その模型を元に鋳型が作られ、大量生産されていくのです。中には、アクセサリーの模型を手がける原型師も存在します。
原型師は、手作業、もしくはデジタルにより模型を作り上げるため、緻密な作業やセンスを要します。玩具の最終的なデザインはこの工程で決まるため、魅力的な製品を生み出すにためには、なくてはならない職業であると言えるでしょう。
また、フィギュアを専門に手掛ける原型師は、フィギュアモデラー、大量生産の玩具ではなく手作業で作られる玩具を作る職業は、造形師と呼ばれます。
原型師の仕事内容とは
先述のように、原型師の仕事はフィギュアや玩具などの元となる型を作ることですが、ここではより具体的な仕事内容を見ていきましょう。
原型師は、まずクライアントからのヒアリングや担当者とのミーティングを重ね、作るもののデザインやポーズ、納期などを決めていきます。そしてそれらを反映したデザイン画や設計図の作成が終われば、型の作成に入ります。型の作成は手作業で行う場合とパソコンで行う場合があり、それぞれ「手原型」、「デジタル造形」と呼ばれます。
・手原型とは
手作業で型を作る方法。パテや粘土などの素材を、ナイフやヘラなどで加工していく。
・デジタル造形とは
パソコンを用いて型を作る方法。3Dプリンターなどを用い、出力を行う。
手原型の場合もデジタル造形の場合も、最終過程では手作業により調整を行い、模型を仕上げます。
一般的にはここまでが原型師の仕事ですが、中には色彩見本の制作までを手掛ける原型師もいます。
原型師になる方法
原型師になる方法としては、以下のような方法を取るのが一般的です。
学校で学ぶ
原型師には、特有の技術が必要です。そのため、美術大学や専門学校でフィギュア造形を学んでおけば、その後のキャリアが有利になるでしょう。
また、専門学校で学ぶことで、就職先の斡旋を受けられる可能性もあります。
原型師を目指すなら、まずは学校で技術と知識を身につけましょう。
展示会に出品する
自身で作成したフィギュアを、展示会やイベントに出品するのも、原型師になるための方法に挙げられます。こういった展示会では、優れた作品であればメーカーや制作会社の関係者の目に留まり、原型師としてスカウトされる可能性があるためです。
腕を磨くためにも、展示会やイベントへの参加は有効でしょう。
メーカーや制作会社に就職する
メーカーや制作会社の原型師募集に応募し、採用されれば、晴れて原型師として働けます。この場合、企画担当者やクライアントの要望に沿って造形を行うことになるでしょう。
また、企業への就職活動では自身の作品やポートフォリオが必要になります。
フリーランスとして活動する
フリーランスの原型師として活動するのも、ひとつの方法です。ただし、仕事を受けるには実績や人脈が必要であるため、メーカーや制作会社での実務経験を経て独立するのが無難でしょう。
フリーランスの場合、責任や造形以外の業務を担わなくてはならないものの、より自由な働き方が叶います。
原型師に求められる資格や試験
原型師には、取得しておかなければならない資格や試験はありません。技術職であるため、資格よりも、クライアントの企画を再現できる実力を持っていることが重要とされます。また、日々進化するデジタル技術に対応できる知識も必要でしょう。
原型師として優れた模型を作るためには、日頃から練習を積み、実力やセンスを磨いておくことが何より大切です。ただし、デザイン系の資格やデジタル系の資格が、原型師の実務に役立つ場合もあります。それらは最後の章でご紹介しましょう。
今後の原型師の将来性
近年、日本のアニメやゲームが世界的な評価を受け、その市場を拡大しています。そして、それらの人気に伴いグッズが販売され、フィギュア製品の売上も好調子にあります。そのため、フィギュア製品の元を手掛ける原型師の仕事も、将来性が見込めるでしょう。
ただし、3Dプリンターをはじめとした機器の進化は年々進んでいます。よって、原型師の仕事を長く続けるためには、それらへの対応力も求められるでしょう。手作業での腕前も必要ですが、それだけではなく、デジタルも追求することで、原型師の仕事の裾野は広がりを見せると考えられます。
原型師の就職先
原型師の就職先としては、玩具メーカーやフィギュアの制作会社が挙げられます。
中でも玩具メーカーの規模には幅があり、大手への就職は競争率がかなり高いと言われています。一方で、中小メーカーや制作会社では採用率が比較的高いようです。
また、会社に属せず、フリーランスの原型師として活動する方法もあります。その場合は、メーカーなどから外注を受け作業を行うことになりますが、そのためには自らの営業活動や人脈が必要でしょう。ただし、優れた実力があれば、人気原型師になれる可能性もあります。フリーランス になるのは、メーカーや制作会社で経験を積んだ原型師が多いようです。
原型師の平均年収・MAX年収
原型師の平均年収には、大きな幅があります。大手メーカーなどであれば、500万円〜700万円程度であると言われていますが、所属会社の規模やキャリアによっては年収200万円〜300万円ということもあるでしょう。
また、フリーランス の場合は、フィギュア1体でおよそ20万円〜80万円の報酬となります。
ただし、実力・実績によって年収は大きく変わるため、一概には言えません。
原型師に向いているのはこんな人
原型師は、フィギュアや玩具などの元を作る仕事です。それらは細かく、そしてリアルな表現で作られていることが多く、また立体であるため、原型師には細かい作業が得意であること、コツコツと制作を行う忍耐力があること、そして優れた空間把握能力が求められます。アニメや車など、制作するものに関する分野の知識があれば、尚良いでしょう。
さらに、原型師にはクライアントのニーズに添える対応力や納期を守れるスケジュール管理力も大切です。つまり、趣味としてではなく、仕事として制作を行えるプロ意識が必要なのです。
また、クライアントのニーズ把握や業務の円滑な進行のためには、コミュニケーション能力も重要です。
このような要素を兼ね揃えている方が、原型師に向いていると考えられます。
原型師に関連する職業や資格
原型師に関連する職業
原因に関連する職業としては、以下のようなものが挙げられます。
- アートディレクター
- プロダクトデザイナー
- グラフィックデザイナー
- イラストレーター
- キャラクターデザイナー
- CGデザイナー
原型師は、アートディレクターをはじめ、各種デザイナーとも関連が深い職業です。中には、共にひとつの企画を手掛けることもあるでしょう。
また、パソコンを用いた造形を行う原型師は、デジタル造形師と呼ばれる場合があります。
原型師に関連する資格
原型師に関連する資格としては、以下のようなものが挙げられます。
- CGクリエイター検定: デザインやCG作成、映像制作における知識・技術を測る検定
- Adobe認定アソシエイト:アドビシステム社のデザインソフトにおける知識・技術を測る検定
- 色彩検定:色彩の効果や配色、利用などについての知識を測る検定
- カラーコーディネーター検定:ビジネルに役立つ色の性質や特性に関する知識を測る検定
原型師はデジタルで造形作業を行うことが多いため、CG系の資格は実務に生かせます。
また、色彩見本まで手掛ける場合には、色彩検定やカラーコーディネーター など色彩系の資格も役立つでしょう。
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