登録販売者(医薬品)になるには
- 2020.04.01
登録販売者(医薬品)の概要や仕事内容
登録販売者(医薬品)とは
登録販売者(医薬品)とは、鎮痛剤や風邪薬といった一般的な医薬品を販売するための資格を持った職業のことです。医薬品は薬剤師から購入することが多いですが、登録販売者(医薬品)も一般医薬品であれば販売することができるため、近年薬局やドラックストアを中心に活躍しています。
ただし、登録販売者(医薬品)が取り扱えるのは第2類・第3類の一般用医薬品のみです。これらの薬品は処方箋がいらず、薬局などの店頭で販売されており、またインターネットや郵送での販売も可能です。一方、同じく医薬品を扱う薬剤師の場合、登録販売者(医薬品)よりも幅広い医薬品を扱うことができます。それぞれの職業が扱える医薬品の範囲は、下記の通りです。
第3類医薬品(一般用医薬品) | 第2類医薬品(一般用医薬品) | 第1類医薬品(一般用医薬品) | 要指導医薬品(インターネット・郵送不可) | |
登録販売者(医薬品) | ○ | ○ | × | × |
薬剤師 | ○ | ○ | ○ | ○ |
このように、私たちの身近な場所で医薬品の販売を行なっている登録販売者(医薬品)ですが、これは2009年に登録販売者資格が制定されたことにより生まれた職業です。そして、比較的新しい職種ではあるものの、近年の高齢化が急速に進む日本において、非常に重要な役割を果たしています。
登録販売者(医薬品)の仕事内容とは
登録販売者(医薬品)の仕事は、第2類・第3類の一般用医薬品を販売することです。しかし、実際にはそれだけではなく、他にも重要な仕事を行なっています。そして、その主なものが、「消費者への情報提供」と「消費者からの相談への対応」です。
登録販売者(医薬品)は、消費者の不調や要望を聞き、適した情報を提供し、消費者が適切な選択を行うための手助けを行わなくてはなりません。
また、所属する薬局やドラックストアでの接客、レジ、陳列作業などの一般業務も行うことになるでしょう。
このように、登録販売者(医薬品)は、医薬品販売の専門家としてはもちろん、接客業の一従業員としての仕事もこなしているのです。
登録販売者(医薬品)になる方法
登録販売者(医薬品)になるための過程をご紹介します。
①登録販売者資格を取得する
登録販売者(医薬品)になるには、まず登録販売者試験を受け、登録販売者資格を取得しなければなりません。
登録販売者試験の受験には、以前は薬学部の学歴や実務経験が必要でした。しかし、2015年からはこの規定が撤廃され、現在では誰でも試験を受験できるようになっています。
試験や資格の詳細については、後ほどご紹介しましょう。
②登録販売者として就職する
登録販売者試験に合格したら、次に勤務先を探します。登録販売者の勤務先としては薬局やドラッグストアが一般的ですが、近年では医薬品を取り扱う店舗が増加し、登録販売者のニーズはコンビニやスーパーなどでも増しています。
パートやアルバイトなど働き方も様々なので、自身の目的やライフスタイルに合った職場・勤務形態を選択しましょう。
③販売従事登録を行う
登録販売者として働くためには、必ず販売従事登録を行う必要があります。これは、勤務先がある都道府県に対するものであるため、勤務先が決まってから申請を行います。
申請には、下記のものが必要になります。
- 販売従事登録申請書
- 登録販売者試験合格通知
- 戸籍謄本・戸籍抄本、もしくは戸籍記載事項証明書(6ヶ月以内に発行されたもの)
- 使用関係証明書
- 医師の診断書(3ヶ月以内に書かれたもの)
- 登録料
書類や内容に問題がなければ、その後都道府県から販売従事登録証が届きます。その後は管轄の保健所に販売従事登録を行えば、手続きは完了です。
ただし、過去5年間のうちに実務経験が通算2年未満の登録販売者は、単独では売り場に立てず、2年以上の実務経験を持つ登録販売者の指導・管理を受ける必要があります。
登録販売者(医薬品)に求められる資格や試験
ご紹介している通り、登録販売者(医薬品)には登録販売者資格が必要になります。
この登録販売者資格は、薬事法により定められている公的資格であり、薬剤師の不足を受けて2009年に新設されました。
その内容は、医薬品や人体、薬事関係法規を問うものですが、適切な学習を行えば未経験者であっても合格を狙える難易度であるため、チャレンジしやすい資格であると言われています。
2015年からは受験条件が撤廃されてからは、毎年4〜6万人以上が受験し、人気の資格として注目されています。
難易度や試験について
登録販売者試験の合格率は毎年45%前後であり、難易度は決して低くはありません。しかし、回答が全てマークシート方式であることもあり、適切な学習を行えば、未経験者の合格も不可能ではないでしょう。
試験の概要については、下記の表をご覧ください。
受験日程 | 8月〜12月(都道府県によって異なる) |
受験料 | 12,800円〜18,100円(都道府県によって異なる) |
試験会場 | 各都道府県指定場所 |
試験形式 | 選択問題 |
試験時間 | 120分 |
受験資格 | 特になし |
合格条件 | 7割程度の得点率 |
※2019年の概要です
今後の登録販売者(医薬品)の将来性
今後、日本はますます高齢化が進みます。そうなると、医療機関はもちろん、医薬品を購入するために薬局やドラックストアを訪れる人々が増加すると予想されます。しかし、それらの人々に対応するためには、薬剤師の数が少なく、人手が足りていないというのが現状です。そのため、薬剤師に代わって一部の医薬品を販売できる登録販売者の需要は今後も増加し、社会において非常に重要な役割を果たしていくと考えられます。
近年では国を挙げてセルフメディテーション(自身による健康管理や治療)も推進されているため、薬局やドラックストア自体の需要も高まるでしょう。
登録販売者(医薬品)の就職先
登録販売者の就職先は多岐に渡ります。
代表的な就職先は薬局やドラックストアですが、医薬品の取扱店舗は増加傾向にあるため、近年ではスーパーやコンビニ、ホームセンターでも登録販売者が働いています。就職先の数自体が多いため、登録販売者資格を取得していれば、就職しやすいでしょう。
また、製薬会社や介護関連会社、エステサロンなどでも、登録販売者の知識や経験は生かせます。特に介護分野では、利用者の服薬や体調管理に関するアドバイスができると、登録販売者経験者や資格保持者が多く活躍しています。
さらには、販売許可を得て薬局を開業するという方法もあり、登録販売者の就職に関する選択肢は多いと言えるでしょう。
登録販売者(医薬品)の平均年収・MAX年収
登録販売者の月収は社員の場合で20万〜35万円ほどであり、資格を所持していない社員より数万円アップとなることが多いようです。これは、年収にすると240万〜420万円程度なので、日本の平均年収440万円をやや下回ると言えます。ただし、経験や待遇によっては、より高収入を期待できることもあるでしょう。
また、パートやアルバイトの場合は、通常の時給に200〜300円ほど上乗せされるのが一般的です。
収入の面でも、登録販売者は無資格者より有利になるようです。
登録販売者(医薬品)に向いているのはこんな人
医薬品の販売だけでなく、消費者の相談を受けることも登録販売者の大切な仕事です。消費者と話をすることで、服薬や健康に関する重要なアドバイスができることもあるでしょう。よって、接客が好きでコミュニケーション能力が高い方や、話を聞き出すのが上手な方は、登録販売者に向いていると考えられます。
また、登録販売者は医薬品や人の健康に関わる仕事であるため、仕事に対する責任感も重要です。正確な知識を身に付けきちんとしたアドバイスをしなければ、消費者の健康を損ねる可能性もあるのです。しかし、強い責任感を持ち、知識を高める努力を続けられる方であれば、登録販売者の仕事をこなせるでしょう。
登録販売者(医薬品)に関連する職業や資格
登録販売者(医薬品)に関連する職業
登録販売者に関連する職業としては、まず薬剤師が挙げられます。薬剤師は登録販売者と同じく薬局やドラッグストアを中心に勤務しているため、ともに働くことも多いでしょう。
また、医薬品を扱う仕事には、製薬会社のMRや治験コーディネーターなどもあります。これらの職業は、医薬品の情報提供や新薬の開発に携わり、医療を支えています。
登録販売者(医薬品)に関連する資格
登録販売者に関連する資格には、登録販売者資格の他に、国家資格である薬剤師資格があります。ただし、薬剤師資格を取得するためには薬学部での学歴が必要であり、登録販売者のように誰でも試験を受けられるわけではありません。
他にも医療や介護に関わる資格は数多く存在します。それらの取得は決して簡単ではありませんが、今後の日本において大きく役立つでしょう。
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