医療秘書になるには

  • 2020.05.14
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医療秘書になるには
      
              

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医療秘書の概要や仕事内容

医療秘書とは

医療秘書とは、医療機関において秘書業務を担当する職業です。病院や製薬会社などに勤め、資料作成・整理などの事務仕事やスタッフのスケジュール管理、電話・来客対応などを行い、また研究や学会の補助業務に加え、スタッフの橋渡し的な役割も担っています。

この医療秘書という職業は、主に規模の大きな病院に所属しており、ほとんどの小さな病院や診療所では、医療秘書自体が置かれてはいません。事務仕事のサポートやスタッフのスケジュール管理を行う医療秘書は、より多くのスタッフが働き事務仕事の量も多い大病院でこそ、需要があるためです。また、医療秘書を置いていない小規模な医療機関では、看護師や医療事務がその仕事を担っているようです。
日本では、医療界の人手不足が深刻化しています。現場で働く医師や看護師達は日々の業務で忙しく、また予想できない出来事も多いため、その業務はスケジュール通りに進みません。特に事務系の仕事は手が回らないことも多いでしょう。しかし、そんな状況においても医療秘書は活躍しており、医療スタッフが患者の治療や看病に集中できるよう、必要な事務仕事や報告業務などを担っています。
このようにして、医療秘書は裏方として、現場で働く医療スタッフを支えているのです。

医療秘書の仕事内容とは

医療秘書の仕事は多岐に渡ります。具体的な仕事内容を挙げてみましょう。

  • 医療スタッフの補佐
  • 医療スタッフのスケジュール管理
  • 書類、資料作成
  • 書類、資料管理
  • カルテ、伝票管理
  • 行政関連手続き
  • 学術支援業務
  • 各種手配、情報伝達
  • データ入力
  • 顧客対応

このように、医療秘書は事務仕事を中心に、さまざまな業務をこなします。スタッフをサポートするためには、決まった業務だけでなく、その場その場での柔軟な対応も必要でしょう。
また、医療秘書は医療事務が行う受付業務や診療報酬請求手続きなどを行うこともあります。このような業務をこなすためには、医療に関する専門的知識も必要になるでしょう。

医療秘書になる方法

医療秘書になるために、定められた学歴や資格はありません。無資格、また未経験であっても、医療機関や製薬会社などに医療秘書として採用されれば、誰でも働くことができます。働きながら、専門的知識やノウハウを学んでいく方も多いようです。
しかし、医療秘書の実務に関わる資格はいくつか存在しています。こういった資格を取得しておけば、就職活動においても、就職した後の実務においても、有利になるでしょう。
医療秘書の実務に関わる資格については、次章以降でご紹介します。

医療秘書に求められる資格や試験

先述の通り、医療秘書になるにあたって必須となる資格はありません。しかし、医療秘書業務における知識や技術を問う資格試験はいくつか実施されています。
そして、その代表的なもののひとつが、「日本医師会認定 医療秘書」という資格。これは、日本医師会により認定されている民間資格で、優れた医療秘書の育成を目的に実施されているものです。
ただし、この資格取得のためには、日本医師会指定の養成機関(養成機関一覧 http://www.med.or.jp/medi-sec/facility.html)において指定カリキュラムを修了し、さらに日本医師会医療秘書認定試験の合格、そして医療秘書業務に関わる規定資格3種を取得しなければなりません。資格取得までの流れは以下のようになります。

●「日本医師会認定医療秘書」資格取得の流れ
養成機関でのカリキュラム修了

医療秘書認定試験受験、合格

規定資格3種を取得

申請

この養成機関でのカリキュラムは医療・保健分野と医療秘書業務分野に分けられており、医療機関での実務研修も行われます。また、中には通信制の養成機関もあるため、主婦や社会人であってもカリキュラム修了を目指すことが可能です。
さらに、資格の取得にはカリキュラム修了、試験合格だけでなく、規定資格3種の取得が求められます。これは、以下の4群に分類された資格の中から3群を選び、その中の資格のどれかを取得しなければならないというものです。

●「日本医師会認定医療秘書」規定の取得資格
1群:秘書検定/漢字検定/英語検定
2群:情報処理系資格
3群:保健請求事務系資格
4群:その他(速記、簿記等)

それぞれに分類された資格検定については、こちらをご確認ください。
日本医師会HP 科目一覧
http://www.med.or.jp/medi-sec/qualification-list.pdf

このように、「日本医師会認定医療秘書」資格を取得するまでにはステップが多く、決して簡単ではありません。しかし、このステップを経れば、実務を行う際に必要な知識や技術はかなり補えるでしょう。
医療秘書認定試験詳細については、次章でご説明します。

難易度や試験について

2020年の日本医師会医療秘書認定試験の合格率は92.6%、またその前年は90.6%でした。合格率の高さは、指定カリキュラム修了という受験条件があるためだと考えられますが、養成機関できちんと学んできた人にとっては、比較的優しい試験内容であると予想されます。
試験概要は以下をご覧ください。

受験日程 2月
受験料 5,000円
試験会場 各都道府県医師会医療秘書学校
試験形式 不明
試験時間 約2時間
受験資格 指定の養育期間におけるカリキュラム修了者
合格条件 不明、合否は後日各都道府県医師会を通じて通知

※2020年現在の概要です。

今後の医療秘書の将来性

近年、医療秘書のニーズは高まっています。なぜなら、医療現場には、医療技術の進歩による医療機関での診療複雑化や患者の求める医療の多様化、人手不足といった背景があるためです。人手が足りず肥大化した業務は、日々医療業務に追われている医療スタッフには対応しきれません。
そんな中、医療に関する秘書業務や事務業務のプロである医療秘書は重要な役割を果たしており、その職業は注目されています。また、最近では小規模な病院で医療秘書を置くケースも増えつつあり、今後ますますその需要は伸びていくでしょう。

医療秘書の就職先

医療秘書の就職先は、医療機関や製薬会社、薬局、健康保険組合、医療機器メーカーなどです。
就職先によって担う業務には差がありますが、どこに就職するにしても医療秘書関連の資格を取得しておけば、採用試験はもちろん実務においても有利になると考えられます。
とはいえ、医療秘書という職業は未だ広くは知られておらず、募集案件はそれほど多くはありません。今後はこの求人も増加していくと見込まれますが、現状を見ると、医療秘書としての就職は狭き門であると言えるでしょう。

医療秘書の平均年収・MAX年収

医療秘書は、正社員や契約社員、派遣社員など働き方に幅があり、それによって待遇が違うため、職業全体としての年収を正確に述べるのは困難です。
正社員の場合は月収20万前後になることが多く、また時給で働く場合には時給1,000円前後というのが一般的なようです。
このように、医療秘書の年収・月収の水準は、あまり高くはありません。しかし、勤務先によってはさまざまな手当てや福利厚生を受けられることもあり、その待遇にも幅があると考えられます。

医療秘書に向いているのはこんな人

医療秘書の業務には、医療や事務仕事に対する専門的知識が必要です。そのため、医療に関心があり、必要な知識を増やすための努力を続けられる方は、医療秘書に向いていると考えられます。また、スタッフや患者に対する気遣いができることも大切。実務とともに、会話や応対などでも現場を支えられるのが理想です。

さらに、医療秘書の業務は事務作業やスケジュール管理が多く、その中にはちょっとしたミスが現場に大きな影響を与えてしまうようなケースもあります。そんなミスを防ぐためには、きちんと仕事をこなせる几帳面な性質も必要でしょう。

医療秘書に関連する職業や資格

医療秘書に関連する職業

医療秘書に関連する職業には、「医療事務」があります。これは、規模に関わらず多くの病院で受付業務や診療報酬請求業務を行う職業で、医療秘書と同じく事務の面から医療現場を支えています。また、医療秘書が医療事務の仕事を行うこともあります。
さらに、「医療クラーク」も関連職のひとつ。医師や看護師の事務業務を請け負う仕事です。医療秘書は、医療クラークの仕事を兼ねることもあります。

医療秘書に関連する資格

医療秘書に関連する資格には、先ほどご紹介した「日本医師会認定 医療秘書」意外にも、「医療秘書技能検定」という、医療秘書教育全国協議会が認定する民間資格があります。この検定を受けるためには指定の養成機関でのカリキュラム修了が条件となるため、取得は簡単ではありませんが、その内容は就職や業務に活かせるでしょう。
また、秘書としての知識や技術を問う「秘書技能検定」を取得しておくのもおすすめです。この検定では、言葉遣いや振る舞いなど、人間性や常識を身につけることができるため、スタッフや患者との円滑なコミュニケーションに役立てられます。

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