マニピュレーターになるには
- 2020.05.14
マニピュレーターの概要や仕事内容
マニピュレーターとは?
聞き慣れない職業のマニピュレーターですが、マニピュレーターはライブをサウンド面で支えている大切な仕事の一つです。
生演奏がないライブの音データの作成から、ライブ当日にコンピュータからの音の出力まで行います。ソロアーティストのコーラスが多重録音されている場合は、そのコーラスパートをライブ用に加工する作業なども行っており、その作業範囲は広いと言えます。
マニピュレーターの仕事内容とは?
ではもう少し具体的にどういった仕事をしているのかみていきましょう。
最近では例えばアイドルグループやダンスボーカルグループにおいては生演奏が全くないケースもありますし、生演奏があるライブでも、電子制御されたシンセサイザーの音を出すケースが多いと言います。
このようなライブにおける「生演奏以外」のデータを作成したり、ライブ当日の演奏(音の出力)をしたりという重要な役割を担うのがマニピュレーターです。
ソロアーティストのライブでは、ギタリストやドラマーなどがコーラス生演奏をしているケースが多いと思います。しかし、CD音源に入っているような本人のコーラスのパートをその場で再現することは分身の術でも使わない限り不可能です。そのため、前述したとおり多重録音されたコーラスのパートについて、ライブ用にデータ加工をするのです。
また、生演奏をしていても、その場では完全に再現できないパートも存在します。例えばパーカッションやストリングスなど、オーケストラで使用するような楽器はなかなかライブ会場では見かけないですよね。
そういった音について生演奏では無くマニピュレーターが音を出すことによって生演奏と「同期」させるのです。
同期させるにあたってマニピュレーターは“クリック”といってメトロノームのような機械的なガイド音をドラマーのイヤーモニターに送ります。
ドラマーはクリックに合わせて「1、2、3、4!」と曲を開始するのです。
こうして生演奏と音データの同期を行います。
ライブ中にはアーティストがトークを行うMCの時間がありますが、MCの後に良いタイミングで演奏を再開させるのもマニピュレーターの役目の一つとなっています。
このようにいろいろな役目を果たしているため、今や音楽ライブにはマニピュレーターは必要不可欠となっているのです。
マニピュレーターになる方法(資格取得方法等)
マニピュレーターになるために特別な資格は必要ありません。
しかし、専門的な知識が必要となるため一般的には高校を卒業した後にはマニピュレーターを養成するための専門学校や音楽系や美術系の大学に進学します。
進学先で作曲や編曲の知識や基本的な音楽の知識、デジタルサウンドを作るための実践的な学習を行います。
マニピュレーターは幅広いジャンルの音楽に詳しいことが求められるため、単純にパソコンで音データの作成をしたりライブ中に同期やMCの調整をするだけで無く、自身もピアノやギター、ドラムなどの楽器を演奏することができたり、楽器に関わる経験があるとより能力のあるマニピュレーターとして活躍することができます。
そういった面からも進学するなどして勉強することが一般的ということになるでしょう。
資格難易度や試験について
試験について
マニピュレーターはシンセサイザーやサンプラー、DJ機器などの電子楽器やコンピュータを扱い、音のコントロールをしなければなりません。
こういった機材を用いて音楽データの管理や制作を行いますので、機材の扱いに慣れていることは必須です。
そして、音楽データの管理や制作は「DAW」ソフトを使用されることがほとんどです。DAWというのは“Digital Audio Workstation”の略で、音楽制作ツールのことです。
マニピュレーターが行うDTM(デスクトップミュージック)、つまりコンピュータを使った音楽制作にはDAWを利用します。
少し長くなりましたがこのDAWの知識を学び、知識を証明するための資格としておすすめなのが「MIDI認定制度」です。
MIDI認定制度は社団法人音楽電子事業協会が管理運営する民間資格で、MIDI規格(数値化された音データで、世界共通規格)を広く一般社会に普及啓蒙することを目的として標準グレード化し、活用できる人材を多く創出することを目指して作られた制度です。
MIDI認定制度試験の出題項目の中にデジタルオーディオやDAW関連のものが多く(もはやDAW検定と名前を変えては?というほど多いそうです)、知識を得るために必要なだけで無く、数あるDAWに対応するような汎用的な内容となっていることや、打ち込みの実践問題もあることなどからかなりおすすめだと言います。
MIDI認定制度は4~1級まであり、1級になるとプロレベルの技術が認定されます。
今後のマニピュレーターの将来性
ここまでみてきたように、マニピュレーターは今や音楽ライブには欠かせない職業です。音楽業界のCDの売り上げについては年々減少していますが、ライブビジネスの売り上げは年々増加しています。
音楽が無くなることは考えられませんし、好調なライブビジネスに必要不可欠なマニピュレーターは十分将来性があると言って良いのではないでしょうか。
AI化が進んでいるため機械が行えることも増えていますが、マニピュレーターの仕事はかなり繊細な作業となることや、そもそも音楽の作成や楽器の演奏は人間が行う作業であることなどから、マニピュレーターの仕事をAIが取って代わることはほぼ不可能であるという面からも、将来性が見込める職業の一つでもあります。
音楽の知識が豊富なマニピュレーターとして成功していけば、スタジオミュージシャンに上り詰めたり、メディアに出るような有名人になったりする人もいます(例を挙げればT.M.Revolutionのプロデュースを手がける浅倉大介さんは、元々はTM NETWORKのマニピュレーターだったそうです)。
ここまで上り詰める方は一握りでしょうけど、夢があり十分な将来性を感じます。
マニピュレーターの就職先
マニピュレーターの主な就職先は以下のものがあります。
・ゲーム制作会社
・放送局
・映像プロダクション
・フリーランス など
また、フリーランスとして活躍する前にはゲーム制作会社や音響効果会社、ローディー(ミュージシャンアシスタントのことで荷物の積みおろし楽器のメンテナンスや管理などの業務を行います)として音楽に関わっている人が多いのが特徴です。
マニピュレーターの平均年収・MAX年収
仮に大手のゲーム制作会社に正社員として就職した場合の平均年収は初任給で300~400万円、勤続年数が10年以上になると500~800万円になるようです。
フリーランスとして独立・成功する人は1,000万円を超える場合もあるようですし、前述した浅倉大介さんレベルになるともっと年収は上になるでしょう。もちろん仕事がないフリーランスのマニピュレーターであれば生活ギリギリの年収である可能性もあります。
事実、デジタル機材が普及して比較的簡単にマニピュレーターとして仕事ができるようになっているため、単価の安い仕事をフリーランスに任せるケースも増えていると言います。フリーランスとして活躍するためにはしっかりとした技術を持って単価の良い仕事を見つけなければ年収は低くなってしまう可能性がありますので注意は必要です。
マニピュレーターに向いているのはこんな人
マニピュレーターはミュージシャンだけでなく、ライブに関わる様々な人と一緒に仕事をしていきます。もちろん企業に就職すれば社内の人とも関わることになります。共同作業や打ち合わせも多く、深く人と関わることは避けられません。
そのためマニピュレーターとしての技術を持っていることはもちろん、高いコミュニケーション能力や社交性、協調性が求められます。
また、音楽を作るための知識や興味だけでなく、エンターテイメントなどにも興味を持ち、豊かな発想力でより良い作品やライブを作り上げようとすることができる人だと適性があると言えるのではないでしょうか。
マニピュレーターに関連する職業や資格
関連する職業
アーティスト、ミュージシャン、歌手、クラブDJ、ラジオディレクター、ピアニストなど。
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