翻訳家になるには

  • 2020.09.15
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翻訳家の概要や仕事内容

翻訳家とは

翻訳家とは、外国語で書かれた文章を日本語に訳する職業です。海外の小説や論文を多くの人が楽しんだり理解したりするために、さまざまな言語で書かれた文章を適切な日本語に訳しています。
そんな翻訳家は、大きく「文芸翻訳家」「実務翻訳家」「映像翻訳家」の3種に分けられます。

  • 文芸翻訳家
    小説や雑誌、歌詞などといった海外の文芸作品を日本語に訳す翻訳家。作品の世界観や著者の意図に沿った翻訳表現が求められます。
  • 実務翻訳家
    外国語で書かれたビジネス関連の文書を日本語に訳す翻訳家。実務翻訳家が翻訳を行う文書の中には、科学や医療などに関するものもあるため、専門的な知識が求められます。
  • 映像翻訳家
    映画やドラマといった映像作品の音声を日本語に訳す翻訳家。字幕による翻訳と、吹替えによる翻訳があり、作品の世界観や登場人物のキャラクターに沿った翻訳表現が求められます。

人々が海外の文芸や映像を楽しんだり海外とのビジネスを行なったりするために翻訳は必須であり、翻訳家は優れた外国語のスキルを生かし、世界の文化と日本を繋げています。

翻訳家の仕事内容とは

翻訳家の仕事は、外国語で書かれた文章を日本語に訳することです。翻訳家が翻訳を行う文章の例には、以下のようなものがあります。

  • 小説
  • ノンフィクション作品
  • 雑誌
  • 児童書
  • 歌詞
  • ビジネス書
  • 契約書
  • 学術書
  • 研究論文
  • マニュアル
  • 映画
  • ドラマ
  • ドキュメンタリー

翻訳家はこのような文芸作品や文書、映像の翻訳を手掛けます。
また、翻訳家は外国語を日本語に訳すだけではなく、外国語を日本語に訳すこともあり、その外国語は英語だけにはとどまりません。中国語やフランス語、ドイツ語など世界のさまざまな言語を理解し、日本語への、もしくは外国語への翻訳を行なっています。

翻訳家になる方法

翻訳家になるために、必ず修了しておかなければならない学歴や必須資格などはありません。
しかし、翻訳には外国語の高いスキルが必要になるため、翻訳家を目指すのであれば、まずは外国語大学や大学の外国語コース、または翻訳の専門学校で学び、外国語スキルを身に付けるのが一般的でしょう。
また、その後の就職の進路には以下のような選択肢があります。

  • 一般企業への就職
    企業翻訳部門や法律事務所などに就職し、実務翻訳を担う。
  • 翻訳会社への就職
    翻訳を専門に請け負う会社に就職する方法。実務翻訳の需要が多い。
  • フリーランスの翻訳家として活動
    フリーランスとして独自に活動する他、翻訳会社に登録して仕事の斡旋を受けるケースも。文芸・映像翻訳の需要が多い。

このように、就職先や働き方によって、請け負う翻訳の種類は変わります。
また、文芸・映像翻訳の依頼が多いフリーランスの翻訳家を目指す人は多いですが、就職する場合に比べ仕事が安定しにくいため、副業を持って、もしくは翻訳を副業として活動する人もいます。

翻訳家に求められる資格や試験

翻訳家には、必須とされる資格はありません。資格よりも、外国語の翻訳スキルが重視されます。
ただし、外国語に関する資格の取得は、翻訳スキルを高めるためにも役立つでしょう。
そして、外国語に関する資格の中でも代表的なものとして挙げられるのが、「TOEIC」です。「TOEIC」は英語のコミュニケーション能力を測る英語資格であり、グローバルスタンダードとして多くの国で実施されています。翻訳家を募集する企業の中には、「TOEIC」のスコアを条件に挙げる企業もあり、日本でもステイタスの高い英語資格として広く知られています。
そんな「TOEIC」の試験には、以下の5つのコースがあります。

  • TOEIC Listening & Reading Test
  • TOEIC Speaking & Writing Tests
  • TOEIC Speaking Test
  • TOEIC Bridge Listening & Reading Test
  • TOEIC Bridge Speaking & Writing Test

この中でもメジャーなものは「TOEIC Listening & Reading Test」です。「TOEIC Listening & Reading Test」は英語を聞く力・読む力を測るテストであり、社会人のキャリアアップや学生の就活にも役立つものとして、多くの人に受験されています。もちろん、翻訳家の仕事にも役立つでしょう。
ただし、仕事や就活に役立てるためには、かなりの高スコアを取得する必要があります。

難易度や試験について

「TOEIC Listening & Reading Test」はスコア制であるため、テストの合否はなく、合格率もありません。そのため、難易度を測ることは難しいですが、全体の平均スコアは990満点中600点前後になるようです。この平均を参考に、自身のレベルを測ると良いでしょう。
「TOEIC Listening & Reading Test」の試験概要については、以下の表、もしくはTOEIC公式サイトをご覧ください。

受験日程 1、3、4、5、6、7、9、10、11、12月の年10回
受験料 6,490円(税込)
試験会場 全国の指定会場
試験形式 マークシート
試験時間 リスニング45分、リーディング75分
受験資格 なし
合格条件 合否なし(990点満点、5点刻みのスコアで評価を行う)

※2020年現在の試験概要です。

今後の翻訳家の将来性

近年、AI技術が発展し、専用端末やスマートフォンなどで簡単にAIによる翻訳が行われるようになりました。この翻訳方法は多くの人に利用され、またAIによる翻訳の質も徐々に向上しつつあります。今後も、手軽に行えるこのような翻訳方法は、さまざまな場面で役立てられるでしょう。
とはいえ、AIによる翻訳では、まだまだ細かな部分の適切な表現を行えてはいません。世界観やニュアンスなどといった定形に当てはまらない表現は人間ならではのものであり、AIに理解し表現させることは困難なのです。
そのため、特に言いまわしやニュアンスが重視される文芸・映像翻訳の世界において、人間の翻訳家の需要は、今後も一定数保たれるでしょう。
ただし、翻訳家として活躍を続けるためには、外国語スキルはもちろん、それぞれの作品や文書に適した表現を行えるセンスが必要です。このセンスこそがAIには難しい部分であり、翻訳家はこれを磨いていく必要があるでしょう。

翻訳家の就職先

翻訳家の就職先は、一般企業か翻訳会社に分けられます。
一般企業の場合は、医療や工業、金融関連の会社や貿易会社、特許関連会社、法律事務所などが例として挙げられます。これらの会社に翻訳家として就職した場合には、契約書やマニュアルなどといった実務翻訳を担当することになるでしょう。ただし、求人数はさほど多くはなく、専門性の高い会社や大企業では、特に高い翻訳スキルが求められます。
また、翻訳を専門に行う翻訳会社に就職した場合も、実務翻訳を担うことが多いようです。翻訳会社は数多くあり、求人も一定数出されています。
さらに、就職はせず、フリーランスとして活動するのもひとつの方法です。しかし、そのためにはスキルや経験、人脈などが必要になるため、まずは会社に就職して翻訳のノウハウを学んでおくと、後の活動が有利になるでしょう。

翻訳家の平均年収・MAX年収

企業に就職して活動する翻訳家の場合、その年収は500万円前後が相場です。ただし、勤める企業の規模やキャリア、専門知識の有無なとによって給与は変わるため、実際の年収幅は広いと考えられます。
また、フリーランスの翻訳家の場合は、仕事量や実績によって大きく収入が変わるため、さらに年収に幅が生じます。ベテランの翻訳家であれば年収1,000万円を超えることもあるようですが、一方で駆け出しの翻訳家であれば収入がほとんどないということもあります。そのため、フリーランスの中には副業を持っている人も多く、翻訳家としてだけで生計を立てることは決して簡単ではありません。

翻訳家に向いているのはこんな人

翻訳家に向いているのは、外国語のスキルが高いだけでなく、外国の文化やマナーにも深い興味や知識を持っている人です。翻訳は、ただ言葉を訳せばいいというものではありません。それぞれの国の文化によって適した訳が変わることもあります。それを知らないまま翻訳を行なってしまうと、マナー違反になったり相手に不快な思いをさせてしまったりする可能性があります。そのため、翻訳家には外国語と外国の文化に対する知識が必要なのです。
また、読み手を意識した翻訳を行えるスキルも、翻訳家には求められます。専門家には専門家向けの、子どもには子ども向けの言葉があるように、翻訳家には読み手に合わせた言語表現が求められるためです。これができなければ、翻訳された文章の魅力は半減してしまうでしょう。

翻訳家に関連する職業や資格

翻訳家に関連する職業

翻訳家に関連する職業のひとつに、通訳があります。翻訳家と通訳はどちらも外国語を日本語に、または日本語を外国語に訳す職業であり、その業務は共通しています。しかし、翻訳家は「文字で訳す」、通訳は「口頭で訳す」という違いがあり、それぞれ違ったフィールドで翻訳業務および通訳業務を行っています。
また、著作家や映画監督、脚本家なども、文芸・映像翻訳を行う翻訳家にとっては関係の深い職業です。小説や映画の翻訳においては、それを制作したこのような職業の人々の意図を汲み取らなくてはならないためです。著作家や映画監督などといった制作者への理解が、翻訳家には求められます。

翻訳家に関連する資格

「TOEIC」以外の翻訳家に関連する資格には、「英検」や「中国語検定」、「フランス語検定」、「ドイツ語技能検定」などの各種外国語検定があります。翻訳を請け負う言語によって生かせる資格の種類は変わりますが、このような資格を取得しておけば、就職や仕事の取得、実務に役立てられるでしょう。
また、法律や医療、科学など、翻訳を手掛ける分野の資格が役立つこともあるため、個々の翻訳家によって業務に関連する資格には違いがあります。

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