自動車車体整備士になるには
- 2021.02.16
自動車車体整備士の概要や仕事内容
自動車車体整備士とは
自動車車体整備士とは、自動車の車体を専門に整備をする職業です。自動車が正常に動くよう、車体の点検・整備・修理を行っています。
自動車車体整備士の類似職には、自動車整備士という職業がありますが、自動車車体整備士と自動車整備士には以下のような違いがあります。
- 自動車車体整備士
自動車の車体及び車枠を専門に点検や整備を行い、見た目や性能を修復する。 - 自動車整備士
自動車のエンジンや内部部品をメインに点検や整備を行い、性能面を修復する。
自動車車体整備士は、コンピューターを用いた高度な技術を用いて、ダメージを受けた車体や車枠を元通りに修復します。車体や車枠のダメージは見た目だけではなく車の安全性にも関わるため、自動車車体整備士の仕事には専門知識や技術はもちろん、正確性も求められます。
自動車車体整備士の仕事内容とは
自動車車体整備士の仕事は、自動車の点検や整備、修理を行うことです。自動車の中でも車枠と車体に特化し、コンピューターを用いた精密な作業を行いて、ダメージを負った車枠や車体を復元します。また、ボディの板金や塗装作業を担うこともあります。
また、自動車車体整備士が手掛けるのは、ビジュアルだけではありません。性能面でも修復を施し、自動車を安全に利用できるよう、調整していきます。
自動車整備士及び板金工と自動車車体整備士の仕事内容は類似しています。しかし、それぞれが自動車のメンテナンスにおいて特化する部分は違っており、仕事内容は全く同じではありません。
自動車車体整備士になる方法
自動車車体整備士になるために、定められたルートは存在しませんが、大学や短大、自動車整備士養成学校などで車体整備を学んでから、カーディーラーや整備工場に就職するというのが一般的なルートになります。また、未経験で、カーディーラーや整備工場に就職する人もいます。
ただし、自動車車体整備士として活躍するためには「自動車整備士」特殊資格のひとつである「自動車車体整備士」資格の取得が有効です。資格試験受験条件は学歴や実務経験によって異なってくるので、注意しましょう。
自動車車体整備士に求められる資格や試験
自動車車体整備士として働くためには、「自動車整備士」国家資格の中に属する「自動車車体整備士」資格の取得が有効です。
「自動車整備士」資格には1級〜3級のレベル分け以外に、特殊級というものがあり、特殊級に属するのが「自動車車体整備士」資格です。また、特殊級には「自動車タイヤ整備士」「自動車電気装置整備士」資格も属しており、「自動車車体整備士」と合わせた3種から成っています。
「自動車車体整備士」の国家試験を受けるためには、以下のような条件が定められています。
自動車車体整備士受験条件
- 2年以上の実務経験があること
- 自動車整備専門学校や認定大学の2級整備士養成課程を卒業し、実務経験が1年以上あること
- 自動車整備専門学校や認定大学の特殊整備士課程を卒業していること
上記3つの条件のうち、ひとつを満たせば、「自動車車体整備士」国家試験を受験できます。
試験の詳細については、次章をご確認ください。
難易度や試験について
「自動車車体整備士」試験の受け方は、検定試験と登録試験に分かれます。合格率は例年90%を超えており、難易度はさほど高くはないと言えるでしょう。
試験詳細は以下の表、または日本自動車整備振興会連合会ホームページをご確認ください。
受験日程 | 検定試験:学科7月実技9月
登録試験:学科10月実技1月もしくは学科3月実技8月 |
受験料 | 学科5,200円
実技13,500 |
試験会場 | 登録試験:学科各自動車整備振興会所在地の都道府県等
実技試験:札幌、宮城、新潟、東京、愛知、大阪、広島、香川、福岡 |
試験内容 | 【学科試験】
構造、機能及び取扱法 点検、修理、調整及び完成検査の方法 整備用機械に関する初等知識 整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法 材料の性質及び用法 図面に関する一般知識 保安基準その他の自動車の整備に関する法規 【実技試験】 基本工作 点検、分解、組立、調整及び完成検査 修理 整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い |
試験時間 | 学科80分/実技40分 |
受験資格 | 2年以上の実務経験があること
自動車整備専門学校や認定大学の2級整備士養成課程を卒業し、実務経験が1年以上あること 自動車整備専門学校や認定大学の特殊整備士課程を卒業していること |
合格条件 | 学科試験:40点満点中28点以上
実技試験:40点満点中32点以上の成績 |
※2020年現在の試験概要です。一部変更されている可能性があります。
今後の自動車車体整備士の将来性
日本では、自動車事故の件数は減少しています。これは、自動車の機能が向上し、事故を防止しているためだと考えられます。今後も、自動車の安全機能はますます発展し、事故件数は減少していくでしょう。自動車車体整備士はダメージを負った自動車を修復することが仕事のひとつであるため、事故が減れば、自動車車体整備士の仕事も減少する可能性があります。
しかし、戦後から自動車の保有台数は増加を続け、現在も微増を続けています。そして、人々が自動車を利用するために、定期的な自動車の整備は欠かせません。そのため、整備という面に関しては、今後も自動車車体整備士の活躍は見込めるでしょう。
特に、自動車車体整備士には、自動車整備業の中でも特に高度な技術が必要とされるため、スキルさえ身に付けておけば一定の需要は見込めると予想されます。
自動車車体整備士の就職先
自動車車体整備士の主な就職先を挙げてみましょう。
- カーディーラー
- 自動車整備工場
- 板金工場
カーディーラーや工場では、自動車の修理や整備を行っており、自動車車体整備士も活躍しています。自動車車体整備士は専門性の高い職種であるため、これらの店舗や工場において一定の需要は見込めるでしょう。特に、車のボディ修理を専門に行う板金工場で、自動車車体整備士の技術は重宝されると考えられます。
ただし、カーディーラーや工場によって、会社の規模や待遇は大きく異なるため、就職活動を行う前の情報収集は必須です。
自動車車体整備士の平均年収・MAX年収
自動車車体整備士の平均年収は不明です。しかし、同分野の職業である自動車整備士や板金工の年収が約400万円であることを考えると、自動車車体整備士の年収も同水準であると考えられます。月収にすると、23〜25万円ほどが相場でしょう。
日本人全体の平均年収は、約440万円です。よって、自動車車体整備士の年収は平均的な額だと言えます。
しかし、会社や工場、キャリアによって待遇は大きく異なります。一般的には、大手ディーラーや規模の大きな工場であれば、平均よりも高い年収が見込めるでしょう。一方で、規模の小さな工場に勤務していたり就職して間もない整備士であったりすれば、年収は平均以下になることが多いようです。
自動車車体整備士に向いているのはこんな人
自動車車体整備士には、このような人が向いています。
- 自動車が好きで、構造に詳しい人
- 手先が器用な人
- 向上心や探究心に優れた人
- 几帳面で責任感のある人
- 体力がある人
自動車車体整備士は、精密機器である自動車を扱う職業です。そのため、自動車が好きであること、自動車の構造に詳しいことは、自動車車体整備士にとって必須の要素です。
また、ダメージを受けた自動車を完璧に治すためには、手先が器用であることも大切でしょう。
さらに、技術を高めていくための向上心や探究心、故障やミスを見逃さない几帳面さ、自動車の安全を守るという責任感も、自動車車体整備士には求められます。
加えて、体力仕事に耐えられるタフさの有無も重要でしょう。
自動車車体整備士に関連する職業や資格
自動車車体整備士に関連する職業
自動車車体整備士に関連する職業をご紹介します。
- 自動車整備士
エンジンや部品といった自動車の内部に関する点検、整備、修理を行う職業 - 板金工
ダメージを受けた自動車のボディを、板金塗装によって修復する職業 - カーチューナー
自動車の性能を総合的に向上させるため、カーチューニングを行う職業 - カスタムメカニック
自動車やバイクのカスタム及びメンテナンス、修理を行う職業 - カーディーラースタッフ
カーディーラーで自動車の営業や接客を行う職業
上記は全て自動車の整備や修理に携わる職業です。整備工場や板金工場といった同じ職場に勤めることも多いため、自動車車体整備士とこれらの職業は関連の深い職業だと言えるでしょう。
自動車車体整備士に関連する資格
自動車車体整備士に関連する資格をご紹介します。
- 自動車検査員
自動車の検査スキルを認める国家資格。受講資格を満たし、自動車検査員教習を受講することで取得できる。取得していれば、車検を担当することができるため、自動車整備士のキャリアアップ資格として知られている。 - 自動車整備士
自動車の整備知識及び技術を認める国家資格。自動車整備士として働くために、国土交通省によって推奨されている。レベルは1級〜3級に特殊級を加えた4レベルがあり、さらに扱う車両や部品によって13種に分けられている。「自動車車体整備士」資格も「自動車整備士」特殊資格のひとつ。
「自動車検査員」資格も「自動車整備士」資格も、自動車の点検や整備、修理を行うにあたって役立つ資格です。取得しておけば、自動車車体整備士としてより幅広い業務に担うために生かせるでしょう。
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