家庭裁判所調査官補になるには

  • 2020.01.29
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家庭裁判所調査官補の概要や仕事内容

家庭裁判所調査官補とは?

まず「家庭裁判所調査官」とは、家庭裁判所で取り扱っている家事事件(家庭内で起こる紛争などの事件。一例を挙げると離婚やDVなど)や少年事件(窃盗や薬物犯罪など)についての調査を行う業務を行っています。

家庭裁判所調査官補は家庭裁判所調査官の前身で、裁判所職員試験の中の1つである家庭裁判所調査官補の試験に合格、採用された後に裁判所職員総合研究所にて2年間の研修を受け、修了することで家庭裁判所調査官になることができます。

家庭裁判所調査官補は国家公務員法第2条第3項第13号に定められた特別職国家公務員です。三権分立や職務の性質から国家公務員法を適用するべきでないということから適用される法律は裁判所法や裁判所職員臨時措置法などで国家公務員法や人事院規則は直接及びませんが、適用・準用されることはあります。

家庭裁判所調査官補の仕事内容とは?

前述した通り家庭裁判所調査官の仕事は家事事件や少年事件の調査です。
それぞれどういった調査をしているのかチェックしておきましょう。

●家事事件
家事事件の場合は紛争の当事者、または紛争の中に置かれている子供に面接を行い、紛争の原因や背景について調査を行います。
調査を行った結果、必要に応じて医療や福祉の関係機関と連絡・調整をしながら当事者やその子供にとって最善だと考えられる解決方法を検討し、裁判官に報告を行います。
また、家事事件などによって気持ちが乱れている当事者などにカウンセリングを行うなどして冷静な話し合いができるよう援助を行ったり調停に立ち会ったりすることもあります。

●少年事件
少年事件の場合は非行を犯したとされる少年やその保護者から事情を聞くなどして、少年が非行を犯した動機や原因、生育歴、生活環境、性格などを調査します。
その上で少年鑑別所や保護観察所、児童相談所などの関係機関と連携を図りながら少年が更生できるために必要な方策を検討し、裁判官に報告します。

裁判官の下す審判によっては試験観察と言って少年の様子を見守る処分が決定されることがありますが、この場合は継続して少年の指導や援助などを行うことになります。

家庭裁判所調査官補になる方法(資格取得方法等)

●裁判所職員採用総合職試験
家庭裁判所調査官補になるには裁判所職員採用総合職試験(家庭裁判所調査官補)を受験します。
この試験には区分があり、「院卒者区分」と「大卒程度区分」に分かれています。
院卒者区分については大学院を修了(見込みを含む)しているという学歴が必要になります。
また、年齢制限があり30歳未満でなければ受験することができません。

大卒程度区分には学歴は必要ありませんが、試験内容は法律や心理学といった知識が求められますので合格者のほとんどは大学などで専門的な勉強をしてきた人たちです。中には大学に通いながら公務員試験に対応したスクールで勉強をして受験をする方もいらっしゃいますので、学歴が必要ないとはいえ決して簡単な試験ではないことがよくわかります。
年齢制限は21歳以上30歳未満です。21歳未満でも大学卒業(見込み)の方は受験することができます。

余談ですが仮に合格しても採用されるのは成績上位の方から採用されていきますので、採用枠が少なければ試験に合格しても内定が貰えないということもあります。
高得点を取得できるようにしっかりと勉強しておかなければなりませんね。

資格難易度や試験について

試験について

近年の合格率は1番低い年が2015年の8.4%で、高い年(2016年、2018年)でも11.3%とかなり低いです。かなり難易度が高いことがこの数字からもわかります。

●試験の概要
※下記は2020年度の試験の日程です。
受験案内の配布:2020年2月14日~(予定)
裁判所ウェブサイトの裁判所職員採用試験情報に掲載されるとともに裁判所で配布されます。

受験書類の受付:インターネット申込(原則)
2020年4月1日(水)~4月9日(木)

郵送申込
2020年4月1日(水)~4月3日(金)

試験日程:一次試験…2020年5月9日(土)

二次試験
(筆記試験)…2020年6月6日(土)
(人物試験)…2020年6月8日(月)~6月24日(水)

試験地:各都道府県

試験科目:2020年から試験内容が変更になります。こちらに記載されているものは2020年度からの新しい試験内容です。
一次試験
基礎能力試験(多肢選択式)

二次試験(専門試験)
専門試験(記述式)
以下5つの領域の15題のうち任意で2題を選択します。
・心理学に関する領域(3題)
・教育学に関する領域(3題)
・福祉に関する領域(3題)
・社会学に関する領域(2題)
・法律学に関する領域(民法2題、刑法2題)
※出題範囲についてはこれまでの試験と概ね同様で、以下の科目がその範囲です。
臨床心理学、発達心理学、社会心理学、家族社会学、社会病理学、社会福祉援助技術、児童福祉論、高齢者福祉論、教育方法学、教育心理学、教育社会学、民法、刑法

二次試験(人物試験)
人物試験Ⅰ(個別面接)
人物試験Ⅱ(集団討論と個別面接)

合格発表:一次試験…2020年5月28日(木)
最終合格発表…2020年7月10日(金)

今後の家庭裁判所調査官補の将来性

3組に1組は離婚する時代だと言われたり、ネットによる少年事件が頻繁に起こったり、日々DVや虐待の報道がされたりと、家族に関する紛争などは後を断ちません。
離婚する夫婦の紛争に巻き込まれている子供や非行を犯した少年など様々な理由で困難な状況に陥ってしまった子供を救うという大きな役割を担っている家庭裁判所調査官の需要はますます高まってきていると言えます。

公務員ですので世の中の流れによって給与が変動する可能性もありますが、常に世の中の平均程度の給与が貰えますし、リストラなどに遭う可能性もありません。
需要が増えており、安定している家庭裁判所調査官は十分に将来性があると言えるでしょう。

家庭裁判所調査官補の就職先

家庭裁判所調査官が働くのは全国の裁判所です。
家庭裁判所調査官補の研修が終わったあとは、各地の家庭裁判所に配属されます。その後は数年間隔で転勤を繰り返し、その後は地方裁判所や高等裁判所に異動するなどしてどんどんキャリアアップしていきます。

海外の裁判所における在外研究制度もありますので、海外で勤務する可能性もあります。

家庭裁判所調査官補に向いているのはこんな人

家庭裁判所調査官が行う業務は様々な問題を抱えた家族やその子供たちです。
子供たちが抱える問題が解決されるまでには大変な困難が待ち受けていると考えられます。心を閉ざしてしまった子供や口も聞かない子供、傷ついて不安になっている人たちに調査を行い、問題解決の糸口を見つけるのは簡単なことではありません。

そういった人達に温かい心を持って接し、根気強く向き合い、問題を解決してあげようという強い正義感や責任感が求められると考えられます。

家庭裁判所調査官補に関連する職業や資格

関連する職業

●保護観察官
保護観察官も家庭裁判所調査官補と同じ国家公務員です。
罪を犯してしまった人や非行を犯した少年などに対して通常の社会生活を送らせながら社会復帰をするための指導や監督を行います。
直接関係することはあまりないようですが、家庭裁判所調査官が行った調査などを元に裁判官が下した判決次第では保護観察になり、その後は保護観察官が少年と定期的に面会を行うなどして再び罪を犯さないようにして更生を目指していきます。

関連する資格

●公認心理士
2017年に新設された国家資格です。
公認心理士は心理に関する支援を要する人の心理状態を観察・分析し、要支援者とその家族からの相談に応じ、助言や指導・支援を行うことを目的としています。
今の日本には様々な心の問題を抱える方がいらっしゃいます。
公認心理士の資格を取得していれば、公務員の心理職と言われている家庭裁判所調査官の業務を行っていく中で大きな役に立つことは間違いないのではないのでしょうか。
公認心理士の資格は、病院やカウンセリング施設だけでなく企業からも求められる資格です。業務の幅だけでなく、選べる職種の幅も広がるのでおすすめの資格だと言えます。

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