アートディレクターになるには
- 2020.01.29
アートディレクターの概要や仕事内容
アートディレクターとは
アートディレクターとは、ビジュアルデザインにおいてディレクションを行う職業です。広告やゲーム、ウェブページなどといった分野のデザイン企画において、責任者としてチームを管理したり案件を進行させたりと、総指揮をとります。デザインの修正やチェックも行い企画の進行を導くため、良い作品作りにはアートディレクターの腕が大きく関わると思って良いでしょう。
アートディレクターは自ら細かなデザインを行うことは少ないですが、グラフィックデザイナーやイラストレーターなどで構成されるチームの指揮監督を行うため、デザインに関する優れた知識や技術、センスが求められます。そのため実務経験や実績は重要ですが、一般的には経験を積んだグラフィックデザイナーがアートディレクターとしてステップアップすることが多いようです。
アートディレクターの仕事内容とは
アートディレクターの仕事は、企画の進行を管理し、チームのグラフィックデザイナーやイラストレーター、コピーライターなどに指示を出すことです。クライアントのヒアリングからデザインのチェック、修正まで、総合的に携わり、指示を出します。主な仕事内容を挙げてみましょう。
- ヒアリング、ミーティング(クライアント、チームスタッフ)
- デザインの方向性決め
- スタッフィング
- ラフ画作成
- 作業進行
- デザインチェック、修正
アートディレクターはこの他にも、企画を進行するためのあらゆる業務をこなしています。そんなアートディレクターという職種は、広告デザインや商品パッケージ、アニメ、ゲームなどの分野で活躍しています。
アートディレクターになる方法
アートディレクターになるには、まずグラフィックデザイナーを目指し、経験や実績を積んでキャリアアップする方法が主です。
また、グラフィックデザイナーになるには、以下のような方法が挙げられます。
①学校でデザインを学ぶ
デザイン系の専門学校や大学のデザイン専門コースで学び、アートディレクターやグラフィックデザイナーの基礎を身に付ける方法です。学校では必要な知識や技術を学べるため、後にアートディレクター・グラフィックデザイナーとして働く際に役立ち、また就職活動においても有利に働きます。
また、在学中にできる人脈も、デザインの世界では貴重だと言えるでしょう。
②広告系会社・デザイン事務所などに就職する
広告や商品パッケージなどのデザインを手掛ける広告系会社やデザイン事務所、また動画制作を行う制作会社などにグラフィックデザイナーとして就職する方法です。グラフィックデザインの実務経験を重ねれば、アートディレクターとして活躍するチャンスも生まれるでしょう。
ただし、就職においてもキャリアアップにおいても、優れた実力は求められます。
③出版社に就職する
雑誌社や新聞社などの出版社に就職し、グラフィックデザイナーとして活動するのもひとつの方法です。この場合も実務をこなし実績を上げれば、アートディレクターにキャリアアップすることができるでしょう。
出版社の就職には、実力はもちろん学歴も重視される可能性があります。
アートディレクターに求められる資格や試験
アートディレクターには、必須となる資格や試験はありません。ただし、アートディレクターの実務に関わるパソコンソフト系の資格検定はいくつか存在します。ここでは、その中でも代表的なアドビ認定エキスパート」と「DTPエキスパート認証試験」について概要をご紹介しましょう。
アドビ認定エキスパートとは
アドビソフトウェアの機能に対する知識・技能を測るアドビシステムズ認定の世界共通資格。「単一製品認定」、「スペシャリスト認定(プリント、Web、ビデオ)」、「マスター認定(指定の5製品の試験全てに合格)」という3種のレベルに分かれています。
DTPエキスパート認証試験とは
「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」に関連する知識を測り、認証する試験。グラフィックアートの必須知識として、メディアの役割と結果を見据えた制作を行うことを目的に実施されています。レベルは、「エキスパート」と「エキスパート・マイスター」の2種に分かれています。
難易度や試験について
アドビ認定エキスパートの難易度と試験概要
アドビ認定エキスパート資格の合格率は不明ですが、難易度は中程度と言われています。内容をきちんと押さえておけば、合格するのは決して難しくないでしょう。
受験日程 | 随時 |
試験会場 | 全国のピアソンVUEの公認試験会場 |
受験料 | 各18,900円 |
受験資格 | 特になし |
試験時間 | 1時間〜2時間 |
試験形式 | コンピューターを使用して問いに回答(実技なし) |
合格条件 | 70%前後の得点率 |
※2019年の概要です
DTPエキスパート認証試験の難易度と試験概要
2018年度のDTPエキスパート認証試験の合格率は、全体で50%程度であったとされています。実技のみの合格率は80%ほどあったようなので、学科の難易度がやや高いと考えられます。
エキスパート | エキスパート・マイスター | |
受験日程 | 3月、8月 | |
試験会場 | 東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌・指定講座会場・団体受験会場(仙台・札幌は8月のみ) | |
受験料 | 15,000円 | 21,000円 |
受験資格 | DTPに関心のある方 | |
試験時間 | 第1部120分、第2部120分 | |
試験形式 | 学科 | 学科・実技 |
合格条件 | 正解率80%以上 | 学科は正解率80%以上、実技は総合的に判断 |
※2019年の概要です
今後のアートディレクターの将来性
アートディレクターが扱うことの多い広告やポスターなどのセールスプロモーションツールは、景気に左右されやすい分野です。会社の業績が悪ければ、真っ先に費用が削られるでしょう。また、雑誌や新聞などの紙媒体も、近年では減少傾向にあります。
とはいえ、年々増加しているのがインターネットを利用したビジュアルデザインです。アートディレクターが手掛ける企画も、ウェブ関連のものが増えており、これは今後も極端に減少するようなことはないでしょう。
ただし、デザインの世界は実力主義。アートディレクターとして長く活躍するためには、常にセンスを磨き知識を増やす努力が求められます。
アートディレクターの就職先
先述のように、アートディレクターの就職先としては、広告関連会社やデザイン会社、プロダクション、制作会社、出版社などが挙げられます。ただし、新卒でいきなりアートディレクターになれることはまずありません。グラフィックデザイナーとして就職し、優れた結果を出して初めて、アートディレクターへの道が拓けると言えるでしょう。
また、グラフィックデザイナーとして活躍していた方の転職による中途採用であれば、アートディレクターとして就職できる場合があります。
ただし、グラフィックデザイナーやアートディレクターの採用案件は非常に少ないのが現実です。就職するには優れたセンスや知識、技術が必要となるでしょう。
アートディレクターに向いているのはこんな人
アートディレクターは、目的に沿ったものが仕上がるようチームを指揮し、導きます。そのため、リーダーシップがあり、的確な判断力を兼ね揃えている方は、アートディレクターに向いていると言えます。さらに、チームをうまく回すための高いコミュニケーション能力や企画を通すためのプレゼン能力なども必要です。
また、アートディレクターには優れた感性やセンスも求められます。これらに長けていないと、デザイナー達にデザインの方向性を示したり修正の指示を出したりするのは難しいでしょう。
このように、アートディレクターにはデザイナー以上の性格的要素が求められます。
アートディレクターに関連する職業や資格
アートディレクターに関連する職業
アートディレクターに関連する職業としては、以下のようなものが挙げられます。
- グラフィックデザイナー
- イラストレーター
- コピーライター
- カメラマン
- 映像クリエイター
これらは全てビジュアルデザインに携わる職業です。アートディレクターはこういった職種の人々を指揮し、仕事を行なっているのです。
アートディレクターに関連する資格
アートディレクターに関連する資格としては、先ほどご紹介した「アドビ認定エキスパート」や「DTPエキスパート認証試験」の他に、「Photoshopクリエイター能力認定資格」や「Illustratorクリエイター能力認定資格」などが挙げられます。これは、ビジュアルデザインに必須となるPhotoshopやIllustratorなどの画像編集ソフトを扱う能力を測るものであり、アートディレクターにはもちろん、グラフィックデザイナーの実務にも大きく役立つものです。これらのソフトを日常的に使用しているという方でも、その実力を試すために一度挑戦してみると良いですね。
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