マーシャラーになるには

  • 2020.12.04
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マーシャラーの概要や仕事内容

マーシャラーとは

マーシャラーとは、空港のエアポートで航空機の誘導を行う職業です。ライトやパドルを用いて機体の操縦士に手信号を送り、決められた停止位置へと機体を導きます。航空機がスムーズで安全に離発着できるよう、マーシャラーは地上から合図を送っているのです。
また、マーシャラーはグランドハンドリング職の一種に数えられます。グランドハンドリングとは、エアポートで地上作業を行う職業全般を指し、航空機の誘導以外にも、貨物の積み下ろしや搭乗口の取り外しなどを担います。
グランドハンドリング職の中には、タイヤの停止位置を指示し車輪止めの取り外しを行う「チョークマン」や離発着に際して機体が障害物にぶつからないかチェックする「ウイングウォッチ」などといった役割もあり、マーシャラーは航空機の誘導にあたって、「チョークマン」や「ウイングウォッチ」と連携しながら業務を行います。
大きな機体を停止線通りに停めるのは難しいですが、停止線を少しでもずれてしまうと搭乗口の取り付けや給油ができなくなる可能性があります。そのため、マーシャラーにはグランドハンドリングとして経験を積んだスペシャリストが就くことになっています。

マーシャラーの仕事内容とは

マーシャラーの仕事は、離発着する航空機を正しい位置へと導くことです。航空機の操縦士からはエアポートの停止線が見えないため、代わりにマーシャラーが、手信号により操縦士へと合図を送り、停止線上へと機体を誘導します。また、離陸時には滑走路へと向かう機体の誘導も行います。
エアポートでは、操縦士によって航空機を走らせる速さが違うため、機体を停止線ちょうどに停止させるためには、それぞれの操縦士の運転の仕方を踏まえた上で指示を出さなければなりません。よって、マーシャラーの仕事には優れたスキルや経験が求められると言えるでしょう。
また、マーシャラーは手信号を用いて操縦士に合図を送りますが、この合図はICAO(国際民間航空機関) により規定され、全世界共通となっています。

マーシャラーになる方法

マーシャラーになるためには、以下のようなルートを通るのが一般的です。

  1. 大学や短大、専門学校を卒業
  2. ハンドリング会社、空港業務代理店に就職
  3. 訓練や実務経験
  4. 社内の学科・実技試験に合格
  5. マーシャラーに

マーシャラーを含むグランドハンドリング業務には、専門知識が必要になります。そのため、航空系の専門学校でグランドハンドリング業務について学んでおく人は多いようです。また、けん引自動車運転免許や大型特殊自動車運転免許など、グランドハンドリング業務に必要な免許を、就職前に取得しておくのもひとつでしょう。
そして就職後には、まずは訓練やグランドハンドリングの実務経験をこなさなくてはなりません。その後社内の試験に合格すれば、晴れてマーシャラーとして働くことができます。

マーシャラーに求められる資格や試験

マーシャラー業務を行うために必要な資格は、特にありません。
しかし、マーシャラーとして働くためには、他のグランドハンドリング業務を経るケースが多数。グランドハンドリングには、貨物の積み下ろしや搭乗口の設置、機体の牽引などのために特殊車両を運転することが多いため、そのための免許取得が求められます。
グランドハンドリングに必要な主な免許は、「普通自動車免許(マニュアル)」「けん引自動車運転免許」「大型特殊自動車運転免許」などで、会社によっては免許取得のための補助制度が利用できることもあります。

今後のマーシャラーの将来性

マーシャラーは、飛行機を安全に離発着させるために、必ず必要になる職業です。航空機のパイロットからは、地上の停止線が見えないため、マーシャラーの手信号による合図がなければ、適切な位置に航空機を停めることはできません。もしマーシャラーがいなければ、停止線ちょうどに航空機を停止させることが難しく、これは飛行スケジュールの遅れにも繋がるでしょう。よって、航空機の利用が続く限り、マーシャラーの需要がなくなることはないと予想されます。
しかし、実は海外では、マーシャラー業務を機械化する空港も出ています。そのため、海外でのマーシャラー職は今後減少していくかもしれません。
ただし、現在の日本においては、安全第一のためにマーシャラー業務を人の手で行うことになっています。機械化は、人員削減としては有効ですが、機械では予想外の出来事への対応は難しいでしょう。
このように、海外と日本での需要に差はありますが、マーシャラー業務は航空機の運行にとって重要な業務であり、日本においてマーシャラー職がなくなることはないでしょう。

マーシャラーの就職先

マーシャラーの主な就職先は、ハンドリング会社です。ハンドリング会社とは、航空会社の代わりにグランドハンドリング業務を専門に担う会社であり、マーシャラー属するグランドハンドリング職の他、グランドスタッフ職も所属しています。
また、航空業務代理店もマーシャラー業務を請け負うことがあり、マーシャラーの就職先のひとつに挙げられるでしょう。
マーシャラーが誘導する航空機は、日夜問わず飛行しています。そのため、どの会社に就職したとしても勤務はシフト制になるでしょう。
ただし、マーシャラーに限定した求人はほぼありません。求人はグランドハンドリング職(技術職)として行われ、就職後まずは、貨物の積み下ろしや他の誘導業務(チョークマンやウイングウォッチ)等で経験を積むことになります。

マーシャラーの平均年収・MAX年収

マーシャラーの年収は、500万円前後が相場です。これを月給にすると、35万円ほどになるでしょう。日本人全体の平均年収は440万円程度なので、比較すると、マーシャラーの年収水準は、日本人全体の平均年収よりも高いと言えます。
また、就職後すぐにマーシャラーになれることはほぼありませんが、グランドハンドリング職としての初任給は20万円ほどと、ごく平均的です。その後は、20代で月給25万円前後、30代で月給35万円前後、40代で月給40万円前後と、キャリアを積むに従って収入が増えていくようです。
ただし、勤める会社によって収入には差があります。さらに、夜のフライトを担当する場合には夜勤手当が付くため、シフトによっても収入は大きく変わると考えられます。

マーシャラーに向いているのはこんな人

マーシャラーに向いているのは、航空機が好きな人です。ただ近くで航空機を目にできるだけではなく、巨大な航空機を自らの采配によって誘導できることは、航空機に憧れる人にとって大きなやりがいになるでしょう。
また、マーシャラーの仕事は飛行場で行われます。野外での業務になるため、天候や気温の変化を受けやすく、また昼夜問わず飛ぶ航空機の誘導のため、不規則なシフトもこなさなくてはなりません。そのため、マーシャラーには体力に自信がある人も向いています。気温の変化や勤務時間の不規則性に耐えられる体力があれば、時間の定まらない野外業務でも体調を崩すことなく、きちんと業務をこなせるでしょう。
さらに、マーシャラーは他のグランドハンドリング職とともに、連携して業務を行います。他の職種とチームワークがうまくいかなければ、航空機の誘導もうまく行かない可能性があるため、協調性を大切にする性格であることも、マーシャラーにとっては重要な要素でしょう。

マーシャラーに関連する職業や資格

マーシャラーに関連する職業

マーシャラーとともに、飛行機の誘導に関わる職種には、以下のようなものがあります。

  • チョークマン
    マーシャラーへの航空機停止位置の指示や、タイヤ止めの付け外しを行う。
  • ウイングウォッチ
    航空機が障害物に衝突しないよう、監視を行う。

チョークマンやウイングウォッチは、マーシャラーと同じグランドハンドリング職の一種であり、連携して業務を行います。
また、航空機関連職として広く知られているのは、以下のような職業です。

  • グランドスタッフ(空港でのカウンター業務や搭乗案内を行う)
  • 航空機整備士(航空機の整備を行う)
  • 航空管制官(航空機の離発着や進路を指示する)
  • キャビンアテンダント(航空機内でのサービスを行う)
  • パイロット(航空機の操縦を行う)
  • ディスパッチャー(適切なフライトプランを作成する)

これらはどれも航空機を飛ばすために欠かせない職種であり、それぞれが専門的な役割を果たしています。

マーシャラーに関連する資格

先述の通り、マーシャラーはグランドハンドリング職の一種です。そして、グランドハンドリング職に関連する資格には、以下のようなものがあります。

  • フォークリフト運転技能講習修了証
  • 車両系建設機械運転技能講習修了証
  • 高所作業車運転技能講習修了証
  • IATA 国際航空貨物取扱士
  • IATA 航空貨物危険物取扱士
  • 危険物取扱者(乙種第四類)

グランドハンドリング職の多くは、貨物の積み下ろしを行ったり航空機のけん引を行ったりすることがあるため、特殊車両免許を取得します。また、貨物の取り扱いに関する資格も有していれば、そのスキルは実務に役立ちます。
さらに、「TOEIC」をはじめとした外国語資格も取得し、外国語のスキルを伸ばしておけば、外国人クルーへの対応もスムーズに行えるでしょう。

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