建築設備士になるには

  • 2020.12.04
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建築設備士の概要や仕事内容

建築設備士とは?

建築設備士は建築法に基づく国家資格です。
建物に備え付けられている建築設備の専門知識や技術を持っているため、建築士に対して建築設備の設計や工事管理に関する助言を行うことができます。

建築設備士の資格を取得している人は次のようなメリットもあります。
・二級建築士と木造建築士の試験の受験資格を得ることができる(通常は学歴や実務経験が必要)。
・一級建築士の受験資格を得ることができる。(免許取得には建築設備士として実務経験を4年以上が必要)。
・建築設備士資格と一級建築士資格を両方持っている場合は設備設計1級建築士(一級建築士の上位資格で設備設計のスペシャリスト)の講義受講資格である「一級建築士として5年以上設備設計の業務経験を有するもの」の「業務経験」に、建築設備士として行った業務経験を含むことができる。また、一部講義が免除される。
・建築設備士として1年以上の実務経験を有する者は専任技術者(請負契約の締結の際の技術的なサポートを行う)や主任技術者(現場において技術上の管理、監督を行う)の資格を得ることができる。

複雑化・高度化した建築設備に対応するためや、建築の安全性に対する意識の高まりなどから、建築設備士の位置づけが高くなっています。受験資格を得ることができたりすることからも建築設備士の専門知識が高いことがうかがえます。

建築設備士の仕事内容とは?

建築設備士は建築設備全般に関わる専門知識と技能を持っています。
主な仕事は建築士に対する建築設備の設計や工事管理のアドバイスで、例えば電気設備や給排水設備、空調設備の設計などを行います。着工後は現場で工事の管理や指導を行います。

実際は建築するにあたって必ずしも建築設備士が必要というわけではありません。
建築設備士がいなくても建築設備の工事などをすることができるのですが、きちんと建築設備士から助言を受けている場合は建築確認書などの公的書類に建築設備士の名前を記載することが義務づけられています。
建築設備士の助言や意見を受けた建築物は安全性や品質の高い建築物ということになります。建築設備は複雑化・高度化していっていますので、建築設備士の助言の需要は高まっているのです。

建築設備士になる方法(資格取得方法等)

建築設備士になるには公益財団法人建築技術教育普及センターが実施する建築設備士試験を受験・合格する必要があります。
建築設備の安全性や品質を向上させるための助言をするという役割からわかるように、専門知識や技術が必要となるため、受験資格もかなり厳しいものとなっています。

受験資格は以下の通りです。
学歴(大学、高等学校、専修学校等の正規の建築、機械又は電気に関する課程を修めて卒業後、学歴ごとに定められた実務経験も必要)
・四年制大学の指定科目(建築・機械・電気)卒業の場合…実務経験2年以上
・短期大学、高等専門学校、旧専門学校の指定科目(建築・機械・電気)卒業の場合…実務経験4年以上
・高等学校、旧中学校の建築・機械・電気卒業の場合… 実務経験6年以上
・その他 学校・専攻により …実務経験2~6年以上

資格(資格取得の前後を問わず2年以上の実務経験も必要)
・一級建築士
・一級電気工事施工管理技士
・一級管工事施工管理技士
・電気主任技術者(第一種、第二種又は第三種)
・空気調和・衛生工学会設備士

・学歴や資格がない場合…実務経験9年以上

なお、実務経験に認められるのは以下のようなものです。
・設計事務所、設備工事会社、建設会社、維持管理会社等での建築設備の設計・工事監理(その補助を含む)、施工管理、積算、維持管理(保全、改修を伴うものに限る)の業務
・官公庁での建築設備の行政、営繕業務
・大学、工業高校等での建築設備の教育・研究
・大学院、研究所等での建築設備の研究(研究テーマの明示を必要とします)
・設備機器製造会社等での建築設備システムの設計業務

資格難易度や試験について

試験について

では、建築設備士試験の概要をチェックしていきましょう。

●試験の概要
※下記は2020年の試験の日程です。
受験案内の配布:2020年2月25日(火)~ 3月27日(金)

受験書類の受付:
(郵送)2020年3月2日(月)~ 3月27日(金)
(インターネット)2020年3月2日(月)~ 3月19日(木)

試験日程:
第一次試験(学科)…2020年6月21日(日)
第二次試験(設計製図)…2020年8月23日(日)

試験地:
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、広島市、福岡市、沖縄県※
※沖縄県については、第一次試験(学科)のみ実施。
また、沖縄県で第一次試験(学科)を受けた受験者については、原則として、福岡市を第二次試験(設計製図)の試験地とする。

試験科目:
第一次試験(学科)
・建築一般知識(建築計画、環境工学、構造力学、建築一般構造、建築材料及び建築施工)
・建築法規(建築士法、建築基準法その他の関係法規)
・建築設備(建築設備設計計画及び建築設備施工)
・建築設備

第二次試験(設計製図)
・建築設備基本計画(必須:建築設備に係る基本計画の作成)
・建築設備基本設計製図(選択:空調・換気設備・給排水衛生設備または電気設備のうち受験者の選択する1つの建築設備に係る設計製図の作成)

合格発表:
第一次試験(学科)…2020年7月30日(木)
第二次試験(設計製図)…2020年11月5日(木)

当試験の合格率は第一次試験が約30%、第二次試験が約50%となっており、全体の合格者は20%以下となっています。その理由としてメジャーではない資格なのでモチベーションを保ちにくいことなどが挙げられるようです。中には一級建築士試験よりも難しいという人もいるほどだと言います。
しかし、この資格を取得することによって建設業界における信頼度がアップするため、就職や転職にも有利になります。前述したメリットもありますのでキャリアアップもしやすいでしょう。そのため建設業界で働くのであれば取っておきたい資格とも言えます。

今後の建築設備士の将来性

ここまで何度か挙げたように需要が上がっていることや、2015年の建築法改正によって2,000メートルを超える大きな建築物については建築設備士にアドバイスを受けるよう努めるよう定められたことなどから、今後はますます建築設備士の需要が高まる可能性があります。
キャリアアップすれば建築士などとして働くこともできますので、将来性は十分にあると言えるでしょう。

建築設備士の就職先

建築設備士の主な就職先には次のような場所があります。
・設備工事会社
・建設会社
・設計事務所
・建設コンサルタント
・不動産会社
・ビル管理会社
・保全会社
・建設設備メーカー など

建築設備士の平均年収・MAX年収

建築設備士の平均年収は約720万円で、日本人の平均年収は約440万円であることと比較するとかなり高額だと言えます。
もちろん就職先によって異なりますので、大手企業や大手メーカーは高収入で、下請けをしている中小企業は低めの傾向です。

中には一級建築士の資格などと併せて取得して専門性を増すことでかなりの高収入を得ている人もいます。そうなると1,000万円以上の年収も夢ではないでしょう。

建築設備士に向いているのはこんな人

建築設備士の仕事の役割はくどいようですが安全性や品質の向上にあります。
そのため責任感は必須です。常に学び続け、業界の新しい情報や知識を得ていくことができる人が向いているとも言えます。
責任感は現場で管理や指導を行うと言う面でも必要です。また、その際にはコミュニケーション能力も必要となるでしょう。

建築設備士に関連する職業や資格

●関連する資格

●建築士
建築士は一級建築士・二級建築士・木造建築士の総称で、建築物の設計や工事管理、建築確認申請などを行う専門職です。
一級建築士は制限なく設計することができますが、二級建築士や木造建築士は延べ床面積の制限や高さ制限、素材の制限などがあります。

●施工管理技士
建設現場には大工やとび職など、多くの技術者が集まります。
施工計画に基づいて、工事を計画通りに施工するために人をまとめたり工程や品質の管理をしたり、安全管理をしたりと全体の管理業務を行うのが施工管理技士です。

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