フロントクラークの概要や仕事内容

フロントクラークとは

フロントクラークとは、ホテルや旅館といった宿泊施設のフロントで働く職業です。宿泊客を相手に、チェックインやチェックアウト、電話対応をはじめとした、さまざまな受付・案内業務を行なっています。宿泊客からの幅広い要望に対応することもあり、その業務は多様であると言えるでしょう。
そんなフロントクラークは、宿泊客がまず接するホテル(旅館)スタッフであり、その印象はホテル(旅館)の印象をも左右します。そのため、フロントクラークには優れた接客マナーや対応力が必須であり、それにはホテル(旅館)スタッフとしての十分な経験がなくては務まらないでしょう。
ホテルの顔とも言えるフロントクラークの仕事はハードですが、そのやりがいは大きく、宿泊施設における業務の中でも重要なものとして知られています。

フロントクラークの仕事内容とは

フロントクラークの仕事は、大きく以下の4種に分けられます。

• 受付
  チェックイン、チェックアウトの手続き、施設案内などを行います。
• 宿泊予約
  電話やインターネットで、宿泊予約やキャンセル、変更の受付を行います。空室予約などの問い合わせにも対応します。
• 会計
  チェックアウト時の精算手続きや両替を行います。貴重品を預かることもあります。
• 各種案内
  観光案内や交通案内など宿泊客の質問に対応したり、郵便物の管理や電話対応を行ったりと、多様な業務を行います。モーニングコールを承ることも。

フロントには、さまざまな人がさまざまな要望や相談をしに訪れます。また、フロントクラークはクレーム対応やトラブル対応も行わなくてはなりません。
フロントクラークには、宿泊施設における業務の中でも、多様な対応力が必要だと言えるでしょう。

フロントクラークになる方法

フロントクラークになるにあたって、定められた学歴や資格はありません。
フロントクラークとして働くためには、まずホテルや旅館に就職することになります。就職にあたって、先述の通り規定の学歴はありませんが、観光系の学校を出ておけば、就職活動やその後の実務が有利になるでしょう。
ホテルや旅館に就職した後には、まずは下積みとして、ベルパーソンや客室係に配属されるのが一般的です。そこで経験を積んで適正が認められれば、やがてフロントクラークに配属される可能性があります。
フロントクラークの仕事は多様であるため、一人前のフロントクラークになるには経験が必要です。そのため、フロントクラークになった後も、スキルを高める努力が求められるでしょう。

フロントクラークに求められる資格や試験

フロントクラークとして働くために、取得しておかなければならない資格や合格しておかなければならない試験はありません。資格を持たず、フロントクラークとして活躍している人は、多くいます。
フロントクラークに求められるのは、宿泊客に対する接客スキルや業務の正確さです。そのため、実務の中でこれらのスキルを着実に磨く方が、資格の取得よりも大切でしょう。
ただし、ホテルのフロントではマナーが重要視されたり外国人を相手にした接客を行ったりすることが多くあります。よって、マナー関連や外国語関連の学習をしたり資格にチャレンジしたりすることは、フロントクラークの業務に役立つでしょう。

今後のフロントクラークの将来性

近年の訪日外国人の増加により、宿泊施設業界は好調を期しています。さまざまな国から多くの外国人が来日し、日本のホテルや旅館へ宿泊するようになりました。時期によっては客室が満室になって予約が困難になる事態も生じるなど、ホテルの需要は高まり、経済的な効果も大きなものになっています。
そして、そんな需要あるホテルや旅館において、フロントクラークは重要な役割を果たしています。なぜなら、フロントクラークは宿泊客と面と向かって接するホテル(旅館)の顔だからです。フロントクラークの対応や印象が、そのホテル(旅館)の評判を左右すると言っても過言ではないでしょう。
そのため、宿泊施設業界にとってフロントクラークという存在は重要であり、欠かすことはできません。特にスキルのあるフロントクラークであれば、需要は多いでしょう。
ただし、コロナウイルスの影響により、2020年に入って訪日外国人客や国内旅行の数は急激に減少しています。これにはホテル業界も大きな影響を受けており、今後の動向はまだ見えないというのが現状です。

フロントクラークの就職先

フロントクラークはホテルや旅館のフロントで働く職業です。そのため、就職先はホテル及び旅館になります。
日本のホテルには主に観光などに利用されるシティホテルとビジネスに利用されるビジネスホテルがあり、それによってフロントクラークの対応やサービスも変わります。ビジネスホテルに比べると、シティホテルは値段も高く、より質の高いサービスを行っていることが多いようです。
また、シティホテルの中にもレベルがあり、最高級のホテルでは、フロントクラークの対応にも最高級のものが求められます。
そのため、フロントクラークとしての就職先を選択する際には、自身がフロントクラークとして「どのようなサービスを行いたいか」「どのように成長したいか」など、将来的なビジョンを明確にしておかなければなりません。さらに各ホテルや旅館の情報についても調べ、自身のビジョンとマッチした宿泊施設に対し、就職活動を行うと良いでしょう。

フロントクラークの平均年収・MAX年収

フロントクラークの年収は、250万円～400万円が相場になります。これを月収にすると、18万円～30万円ほどになるでしょう。日本人全体の平均年収は400万円台中盤なので、それと比較すると、フロントクラークの年収水準は低めであるということになります。
ただし、この年収は、勤めるホテルや旅館によって大きく異なります。特にランクの高いラグジュアリーホテルや外資系ホテルであれば、年収はかなり高くなるでしょう。一方、ビジネスホテルやエコノミー、バジェットクラスのホテルであれば、年収は低くなる傾向にあります。
また、キャリアによっても年収は変わり、一般的にはフロントクラークとしての業務経験を積むほど、年収が上がります。

フロントクラークに向いているのはこんな人

フロントクラークの仕事は、宿泊客に対する接客です。ホテルや旅館に着いた宿泊客は、まずフロントクラークと接し、その印象は施設の印象に直結します。そのため、フロントクラークには、明るく上品な印象の人やコミュニケーション能力が高い人、気遣いができる人などが向いています。このような要素があれば、宿泊客との会話が弾んだり気の利いた一言が言えたりと、プラスアルファの接客ができ、顧客満足も増すでしょう。
また、受付や精算業務においては、業務の正確さや速さも必要です。そのため、きちんとした性格で、テキパキと仕事をこなせる人も、フロントクラークには向いています。
さらに、フロントにはさまざまな顧客が訪れ、時にはクレーム対応も行わなくてはならないため、臨機応変な対応力や適切な判断力も、フロントクラークには必要でしょう。

フロントクラークに関連する職業や資格

フロントクラークに関連する職業

フロントクラークに関連する職業の例としては、以下のようなものが挙げられます。

• ドアマン
  ホテルのメインエントランスにて、宿泊客のお迎え、お見送り、タクシーやハイヤーの手配、車の誘導などを行う。
• ベルパーソン
  宿泊客の荷物を、フロントや部屋まで運ぶ。
• ホテルコンシェルジュ
  宿泊客の相談に応え、チケットの手配や観光案内などさまざまなサービスを行う。
• ハウスキーピング(客室係)
  客室の清掃や備品管理、ベッドメーキングなどを行う。

ホテルの宿泊部門ではこのようなスタッフが働いており、フロントクラークもともに連携して、宿泊客へのサービスを行っています。
また、ホテルではレストラン部門を担うレストランスタッフやイベント部門を担うバンケットスタッフも働いています。
さらに、旅館であれば中居さんが宿泊客の身の回りの世話を行います。
このように、宿泊施設は多くの人の手により、運営されているのです。

フロントクラークに関連する資格

先述の通り、フロントクラークに必須資格はありません。しかし、フロントクラークの仕事に関連する資格はいくつか存在します。
ここではその例を挙げてみましょう。

• ホテルビジネス実務検定(一般財団法人日本ホテル教育センター)
  ホテル実務や経営など、ホテルビジネスに関する知識や技術を測る検定
• ホテル実務技能認定試験
  ホテル業における幅広い分野の実務レベルを測る試験
• サービス接遇検定
  サービス業における接客やマナースキルを測る検定
• マナー・プロトコール検定
  社会人としてのマナーや国際礼儀に関する知識や技術レベルを測る検定

これらの資格は、ホテル業や接客マナーに特化しており、その知識はフロントクラークの仕事にも役立てられます。
また、外国人客に対応できるよう、「TOEIC」や「中国語検定」をはじめとした語学系資格を取得しておくのも、フロントクラークとしてのスキルを高めるために有効でしょう。