ホテルスタッフになるには
- 2020.12.04
ホテルスタッフの概要や仕事内容
ホテルスタッフとは
ホテルスタッフとは、ホテルで働くスタッフ全般を指し、ホテルを訪れる宿泊客をさまざまな形でサポートし、快適に過ごせる環境やサービスを提供しています。
また、ホテルスタッフは、持ち場によって異なった呼び方で呼ばれています。主な例を挙げてみましょう。
- ドアマン
- ベルパーソン
- フロントクラーク(フロント係)
- コンシェルジュ
- 客室係(ハウスキーピング)
- レストランスタッフ(ウェイター・ウェイトレス・ソムリエ・バーテンダー・ルームサービス等)
- バンケットスタッフ
- ホテル支配人
ビジネスホテルの場合はドアマンやベルパーソン、バンケットスタッフなどは在中していないことが多いですが、大手のシティホテルではこのような多様な職種のホテルスタッフが活躍しています。
さらに、これらは大きく、「宿泊部門」、「レストラン部門」、「バンケット部門」の3つに分かれ、それぞれが専門性の高い業務を担い、ホテルの運営を行っています。
近年の訪日外国人客増加により、ホテルの需要は伸び、外資系ホテルの参入も活発になってきました。そんな中で、ホテルスタッフはホテルの質や顧客満足度を左右する重要な役割を果たしています。今後も、ホテルスタッフには、日本ならではの丁寧なおもてなしが期待されていくでしょう。
ホテルスタッフの仕事内容とは
ホテルスタッフの仕事は、持ち場によって違います。それぞれの仕事内容を見てみましょう。
- ドアマン
ホテルのメインエントランスに立ち、宿泊客の車のお迎えやお見送りを行う。車の誘導やホテル外の案内を行うことも。 - ベルパーソン
宿泊客の荷物をフロントや部屋まで運ぶ。 - フロントクラーク(フロント係)
ホテルのフロントで、チェックイン・チェックアウトの手続きや宿泊予約の受付、施設案内、会計などを行う。 - コンシェルジュ
宿泊客の要望や疑問に答えるホテルの相談役。観光案内やチケット類の手配など、多様な業務を担う。 - 客室係(ハウスキーピング)
客室の清掃、ベッドメイキング、備品の補充などを行う。 - レストランスタッフ(ウェイター・ウェイトレス・ソムリエ・バーテンダー・ルームサービス等)
ホテルのレストランにおいて、料理や飲み物の配膳、説明などを行う。 - バンケットスタッフ
ホテルで行われるイベントや宴会において、配膳や片付けを行うなど、その進行をサポートする。 - ホテル支配人
ホテルの最高責任者として、スタッフを指揮する。
このように、ホテルスタッフは持ち場によって違った仕事をこなし、それぞれがホテルを訪れる顧客の満足へと貢献しています。
また、このような役割はジョブローテーションによって変わることもあります。
ホテルスタッフになる方法
ホテルスタッフになるためには、大学や短大、専門学校などを卒業した後、まずホテルに就職しなければなりません。ホテルのランクや種類は幅広いため、まずはホテルスタッフとして実現したい自身のビジョンや希望する働き方を明確にし、それにマッチするホテルの求人を探すことになるでしょう。また、就職後の担当職については配属次第になることが多いですが、中途採用やアルバイト・パートの場合は職種を限定した求人が出されています。
ホテルスタッフになるために、学歴や経歴の規定はありません。しかし、特に大手のホテルでは就職競争率が激しく、また採用試験の難易度が高いこともあります。そのような時には、ホテル・観光系の学歴を持っていれば、就職が有利になる可能性はあります。
ホテルスタッフに求められる資格や試験
ホテルスタッフとして働くために、特定の学歴や経歴、資格などは必要ありません。レストラン部門などでは、「食品衛生責任者」などの免許取得が必要な場合もありますが、一般のサービススタッフにはそのような資格免許は不要です。
しかし、ホテルスタッフの仕事に直結する資格試験や検定試験はいくつか実施されています。そして、その中でも代表的なものに、「ホテルビジネス実務検定」という検定試験があります。
「ホテルビジネス実務検定」は、H検とも呼ばれ、一般財団法人日本ホテル教育センターによって実施されています。その内容は、基礎知識や宿泊・料飲などの実務、人事や施設管理といった管理業務など、ホテルに関わる業務を幅広く網羅しているため、ホテルで働くホテルスタッフだけでなく、裏方としてホテル経営を行うスタッフにとっても役立つでしょう。
また、この検定のレベルはベーシックレベル1級・2級、マネジメントレベル1級・2級の4段回となっており、ベーシックレベルは一般スタッフ、マネジメントレベルは管理職向きの内容となっています。
これは必須資格ではありませんが、取得しておけばホテルスタッフとしての就職や実務に生かせるでしょう。
難易度や試験について
2019年度のホテルビジネス実務検定合格率は、ベーシックレベル2級が79.5%、1級が54.4%、マネジメントレベルが58.7%でした。ベーシック2級は例年比較的合格率が高いですが、ベーシック1級・マネジメントになると難易度はやや上がるようです。
試験の概要については、以下の表や公式ホームページをご確認ください。
マネジメントレベル1級・2級 | ベーシックレベル1級 | ベーシックレベル2級 | |
受験日程 | 11月第3木曜日 | 11月第3木曜日、3月第1土曜日 | |
受験料 | 8,200円(税込) | 5,100円(税込) | |
試験会場 | 札幌、東京、大阪、福岡 | ||
試験形式 | 多肢選択方式(マークシート) | ||
試験時間 | 90分 | ||
受験資格 | なし | ||
合格条件 | 各科目の正答率60%以上、かつ全体の正答率65%以上で2級合格 各科目の正答率80%以上、かつ全体の正答率85%以上で1級合格(合格級は点数で判断される) | 各科目の正答率60%以上、かつ全体の正答率65%以上 |
※2020年現在の試験概要です。
今後のホテルスタッフの将来性
ここ30年ほどで、日本にはホテルが増え、その客室数は3倍近くにも増加しています。有名な外資系ホテルの日本進出も進み、都心や観光地には多くのホテルが立ち並ぶようになりました。
これは、近年、訪日外国人客によるホテルの利用が大幅に増えたことを起因としています。確かに訪日外国人の数は増加し、日本のさまざまな場所で、さまざまな国から来た人々を見かけるようになりました。
時期によっては、これだけ多くあってもホテルの客室が足りず、予約が困難になる事態も生じ、ホテル業界は好調を見せています。そして、そこで働くホテルスタッフという職業の重要性や将来性も高まってきました。
ただし、最近のコロナウイルスによる訪日外国人客の極端な減少やオリンピック延期は、好調であったホテル業界に大きな影響を与えています。混乱の渦中にある中で見通しについて述べることはできませんが、今後のホテル業界の将来性は、混乱の鎮火と、政府の提案する「新しい生活様式」をそれぞれのホテルがどううまく実践していくかにかかっていると言えるでしょう。
ホテルスタッフの就職先
ホテルスタッフの就職先は、ホテルです。
日本では、ホテルはビジネスマンに向けた、安価なビジネスホテルと、旅行などに利用される、よりハイクラスなシティホテルに分けられます。
また、国際的な基準によると、ホテルは「ラグジュアリー」、「ハイエンド」、「ミドル」、「エコノミー」、「バジェット 」に分けられ、ラグジュアリーレベルになる程高級に、バジェットレベルになる程低料金になります。
このようなレベルは待遇やサービスにも影響を与えるため、就職するホテルを選択するときには、自身のビジョンを明確にすること、そして就職希望先のホテルについてよく調べておくことが重要でしょう。
ただし、高級ホテルであるほど、待遇が良い分、就職難易度は高い傾向にあります。
ホテルスタッフの平均年収・MAX年収
ホテルスタッフの年収は、300万円〜400万円ほどが平均になります。この額は、日本人の平均年収である400万円台半ばと比較しても、あまり高いとは言えません。ホテルスタッフの仕事はハードですが、その割に給与水準は低めであるようです。
ただし、大手ホテルや外資系の有名ホテルなどで勤務する場合には、平均以上の待遇を受けられることが多く、中には年収1,000万円を超えるホテルスタッフもいます。また、マネジメント職にキャリアアップした場合にも、より高い年収が望めるでしょう。
とはいえ、この年収は、勤めるホテルやキャリア、地域によっても大きく異なるため、一概には言えないというのが実情です。
ホテルスタッフに向いているのはこんな人
ホテルスタッフは、宿泊客をお迎えし、もてなす職業です。そのため、高いホスピタリティマインドを持っていることは、ホテルスタッフにとって大切です。そしてそのためには、上品で明るく、声をかけやすい雰囲気も持っていなければなりません。宿泊客に好印象を持ってもらえなければ、その後のサービスは優れたおもてなしに繋がらないからです。
また、ホテルにはさまざまな人が訪れます。予想していなかった事態が起こったりクリームを受けたりすることもあるでしょう。そんな時に、ホテルスタッフは場の雰囲気を壊したり宿泊客の機嫌を損ねたりしないよう、うまく対応しなければなりません。よって、臨機応変な対応力や優れた判断力がある人も、ホテルスタッフには向いていると言えます。
加えて、ホテルスタッフの仕事はハードであるため、チームワークを尊重し手際良く動けることも重要でしょう。
ホテルスタッフに関連する職業や資格
ホテルスタッフに関連する職業
ホテルスタッフに関連する職業には、仲居や旅館スタッフが挙げられます。これらはホテルと同じ宿泊施設である旅館において、宿泊客のおもてなしを行う職業です。ホテルと旅館で宿泊施設の種類は違うものの、仕事内容には共通点が多く、その関連性は深いと言えるでしょう。
また、ウエディングプランナーもホテルスタッフの関連職です。なぜなら、大手のホテルでは結婚式を執り行っていることが多いためです。ウエディングプランナーはホテルに所属したりプロデュース会社に所属したりして、会場となるホテルでの結婚式をプランニングします。結婚式当日には、披露宴でのサービスにホテルスタッフが協力することも多く、連携して結婚式および披露宴を進行させます。
ホテルスタッフに関連する資格
ホテルスタッフに必須資格はありませんが、以下のような資格検定は、ホテルでの実務に活かせます。
- 語学系資格
ホテルには多くの外国人客が訪れるため、語学系資格は実務に役立つ。特に英語と中国語のニーズが高いため、TOEICや中国語検定がおすすめ。 - ホテル実務技能認定試験
基本知識からマネジメントまで、ホテル業界の実務スキルを測る試験。上級と初級の2レベルに分かれる。 - サービス接遇検定
サービス業における接客およびマナースキルを測る検定。1級、準1級、2級、3級の4レベルに分かれる。 - マナー・プロトコール検定
社会人として必須のマナーや国際礼儀に関するスキルを測る検定。1級、準1級、2級、3級の4レベルに分かれる。
多くの宿泊客に対応するホテルスタッフにとっては、語学はもちろん、マナーも大切です。
ホテルスタッフとしてのスキルを高めるには、このような資格取得を検討するのもひとつでしょう。
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