ネットワーク技術者になるには
- 2020.12.04
ネットワーク技術者の概要や仕事内容
ネットワーク技術者とは
ネットワーク技術者とは、コンピューターネットワークの設計や運用を行う技術職です。ネットワークエンジニアとも呼ばれ、企業や人々に快適で安全なネットワーク環境を提供するために、ネットワークに関する専門的スキルを用いて活躍しています。
現代社会では、ネットワークは仕事や生活に欠かせないものとなりました。ネットワークインフラなどとも呼ばれるようになり、そこからも、ネットワークが人々の生活を支えていることがわかります。
とはいえ、ネットワークにはトラブルも多く、それを安定して提供するためには、専門家による調整が必要です。そして、その調整係を担うのが、ネットワーク技術者であると考えて良いでしょう。
ネットワーク社会となった現代において、ネットワーク技術者の需要は大きく、その活躍には大きな期待が寄せられています。今後も、ネットワーク技術者は快適なネットワーク環境を提供するため、社会的に大きな役割を担っていくでしょう。
ネットワーク技術者の仕事内容とは
ネットワーク技術者の仕事は、「設計」「構築」「運用」「保守」の大きく4種に分けられます。それぞれの仕事内容を具体的に見てみましょう。
- 設計
クライアントのニーズをヒアリングし、それに応じたネットワークを設計する。使用する機器や回線など詳細を決め、コストやスケジュール調整も行う。 - 構築
実際に、機器の設置・設定を行う。構築後にはテストも行い、問題点の有無を確認する。 - 運用
構築したネットワークに対し、構成変更や設定変更など、必要に応じて手を加え、運用をサポートしていく。 - 保守
ネットワークシステムに故障やトラブルが起きた場合、その原因を追求し、改善する。
このように、ただネットワークを設計して作るだけではなく、その後のフォローまで行うのが、ネットワーク技術者の仕事です。
ネットワーク技術者になる方法
ネットワーク技術者になるために、定められた学歴や経歴、資格などはありません。
しかし、ネットワーク技術者の業務は専門性が高いため、大学や短大の情報工学系学科、もしくは専門学校の情報システム系コースでスキルを身に付けてから就職するのが一般的です。
また、学校卒業後は、情報システム企業やソフトウェア企業へ就職することになります。しかし、就職後すぐにネットワーク技術者の業務を全て担当するわけではありません。まずは下流工程にあたるネットワーク運用や監視から始め、次にネットワーク構築・保守、そしてクライアントへの提案・設計と、上流過程へとスキルを高めていくことになるでしょう。
このように、一人前のネットワーク技術者になるには、ある程度の実務経験が必要です。
ネットワーク技術者に求められる資格や試験
ネットワーク技術者に、必須資格はありません。どちらかと言えば、資格よりも実力が重視される職種です。
しかし、IT系の資格は数多くあり、その中でも「CCNA」という資格の内容は、ネットワーク技術者の実務に直結します。
「CCNA」とは、世界的な通信機器メーカーであるシスコシステムズによるベンダー資格です。シスコの機器は市場で世界的なシェアを誇るため、その知識に長けていれば、ネットワーク技術者として幅広く活躍することができるでしょう。
また、この「CCNA」は、2020年2月まで、分野によって9種の試験に分かれていました。そして、その中で最も一般的なのは「CCNA Routing and Switching」という試験でしたが、改訂され、現在は1種の試験のみとなっています。
その内容はネットワークの基礎やアクセス、IP接続、セキュリティなどで構成されており、ネットワーク技術者の実務に役立つでしょう。
さらに、この試験はステイタスが高いため、取得しておけばスキルの証明にも生かせます。
難易度や試験について
「CCNA」試験は2020年2月に新制度へと移行したため、その合格率や難易度は不明です。ただし、内容が専門的であるため、難易度は決して低くないでしょう。
試験概要は公式ホームページをご確認の上、下表もご参照ください。
受験日程 | 随時(テストセンターによる) |
受験料 | 33,600円(税別) |
試験会場 | テストセンター |
試験形式 | パソコン受験 |
試験時間 | 120分 |
受験資格 | なし |
合格条件 | 不明 |
※上記は2020年現在の試験概要ですが、コロナウイルスの影響などにより変更の可能性があります。
今後のネットワーク技術者の将来性
日本は情報化社会へと進化し、企業においてもネットワークを用いたネットワークビジネスが一般的になりました。あらゆるビジネスが、ネットワークを用い、正確で効率的なものへと進化を遂げています。
そしてそれに伴い、企業や個人における情報セキュリティへの意識は高まりを見せ、企業データや個人情報といったさまざまな情報の取り扱いが慎重に行われるようになりました。そのため、ネットワークの設計だけでなく、保守や運用まで行うネットワーク技術者の需要は大きく、今後も不正アクセスの防止やネットワークトラフィック監視のための対応が求められていくでしょう。
また、IT業界は常に人手不足の状態にあります。システムの技術が目まぐるしい発展を見せているのに対し、それを扱う人材は足りていないのです。そのため、スキルのある技術者であれば、どこの企業においても需要が保たれると考えられます。
ネットワーク技術者の就職先
ネットワーク技術者として働くための就職先は、情報システム企業やソフトウェア企業です。
先述の通り、システム技術は日々進歩し導入も進んでいるものの、業界の人手不足は深刻です。よって、スキルさえあれば就職は困難ではないでしょう。特に実務経験者の場合は、一定の需要が見込めます。
また、ネットワーク技術者の求人では、未経験者を受け入れることも少なくはありません。ただしその場合、労働環境が過酷であったり条件が悪かったりすることもあります。
そのため、就職活動を行うにあたっては、相手先の会社の情報をよく調べておきましょう。そして、自身の将来的ビジョンや希望との適性を比較した上で、求人に応募する必要があります。
ネットワーク技術者の平均年収・MAX年収
ネットワーク技術者の年収は、300万円〜600万円が相場だと言われています。日本人全体の平均年収は400万円台なので、ネットワーク技術者の年収水準は平均的だと言えるでしょう。しかし、年収が高めであるIT業界では年収600万円を超える職種も多く、それと比較すると、ネットワーク技術者の年収水準は決して高いとは言えません。
ただし、年代やキャリアによって年収は大きく変わり、一般的には20代の技術者は約380万円、30代の技術者は約550万円が平均年収になります。
また、資格やスキルによっても給与や手当は変わり、優れたネットワーク技術者の中には1000万円を超える年収を得ている人もいます。
ネットワーク技術者に向いているのはこんな人
ネットワーク技術者には、日々進化を続けている、ネットワーク技術に関する知識と技術が必要です。そのため、ネットワーク全般のスキルに長けている人や新しい技術に興味を持って、常にスキルを磨き続けられる人は、ネットワーク技術者に向いていると言えます。また近年では、クラウドエンジニアリングの知識も必要とされています。
加えて、クライアントのニーズを正確に汲める理解力や、それに対するネットワークを構築するための論理的思考能力も、ネットワーク技術者にとっては重要です。
さらに、ネットワーク技術者はクライアントやチームメンバーなど、多くの人と関わる仕事です。そのため、コミュニケーション能力に優れていることはもちろん、複雑なネットワークシステムをクライアントに説明するためのプレゼンテーション能力も、求められる要素のひとつです。
ネットワーク技術者に関連する職業や資格
ネットワーク技術者に関連する職業
ネットワーク技術者に関連する職業としては、まずサーバーエンジニアやシステムエンジニアが挙げられます。これらの職業は混同されやすいですが、その業務内容には以下のような違いがあります。
- ネットワーク技術者
サーバーを繋げるネットワークシステムを構築・運用する - サーバーエンジニア
サーバーの構築や運用を行う - システムエンジニア
各コンピューター内で動かすシステムを設計・開発する
このように、ネットワーク技術者とサーバーエンジニア、システムエンジニアには、扱う対象に違いがあります。とはいえ、どれもIT関連の技術者であることに違いはなく、それぞれの関連性は深いと言えるでしょう。
ネットワーク技術者に関連する資格
ネットワーク技術者に関連する資格には、「情報処理技術者試験」があります。これは、情報処理推進機構により実施されている国家試験で、13種の試験から成ります。
そして、その中でもネットワーク技術者に関連性の高いものとして挙げられるのは、「ネットワークスペシャリスト試験」、「基本情報技術者試験」、「ITパスポート試験」です。
- ネットワークスペシャリスト試験
目的や要求に応じた、ネットワークシステムの構築・維持に関する知識や技術を測る試験。 - 基本情報技術者試験
情報技術を活用した戦略の予測・分析・提案やシステムの設計・開発・運用スキルを測る試験。 - ITパスポート試験
情報機器やシステムの把握、システム的な思考など、法律に基づいたIT知識を測る試験。情報処理技術者試験の中では、初級レベルにあたる。
これらの試験は、全て難易度が高いですが、取得しておけばスキル証明に役立ちます。
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