ヘルプデスクになるには
- 2020.12.04
ヘルプデスクの概要や仕事内容
ヘルプデスクとは
ヘルプデスクとは、顧客や社員からの問い合わせ対応を行う職業です。主にパソコン製品を対象とし、製品の使い方やトラブル、クレームなどに対し、電話やメールを通じて適切な対応を行います。
ヘルプデスクには、自社社員の問い合わせに対応する社内ヘルプデスクと、一般顧客の問い合わせに対応する社外ヘルプデスクがあります。また、社内ヘルプデスクには技術的な問い合わせが多く、社外ヘルプデスクにはトラブルの問い合わせやクレームが多いため、社内ヘルプデスクには技術的な専門知識や技術が、社外ヘルプデスクには接客スキルが求められます。そのため、社内ヘルプデスクはシステム部門に、社外ヘルプデスクはコールセンターやサポートセンター部門に配置されることが多いようです。
このように、ヘルプデスクは社内外の問題解決において重要な役割を果たしています。近年ではチャットツールを用いたヘルプデスクも登場するなどその利用は身近なものになっており、今後もヘルプデスクは社内外の人々に活用されていくでしょう。
ヘルプデスクの仕事内容とは
ヘルプデスクの仕事は問い合わせに対応することですが、社内対応か社外対応かによって具体的な仕事内容は違います。それぞれの仕事を見てみましょう。
社内ヘルプデスク
- 自社社員からの問い合わせに対する回答、調査
- PCセットアップ、撤去、設定
- システムの障害対応
- 機器メンテナンス
- 機器やシステムの使用に関するマニュアル作成
- 社員への機器使用教示
社外ヘルプデスク
- 顧客からの自社製品の問い合わせに対する回答、調査
- トラブル、クレーム対応
このように、社内ヘルプデスクは社内の機器について、幅広い対応を行います。また、社外ヘルプデスクは対顧客で幅広い質問を受け、トラブルやクレームにもうまく対応しなければなりません。
このような業務は、複雑になりがちなPC製品の取り扱いや販売において欠かせないものであり、ヘルプデスクは社内外のスムーズな機器取り扱いのために業務を行なっています。
ヘルプデスクになる方法
ヘルプデスクとして働くために、定められた学歴や資格はありません。ヘルプデスクの求人の中には未経験を受け入れるものが多く、必ず経験しておかなければならない業務もないですが、システムエンジニアやオペレーターの経験がある場合、就職が有利になる可能性はあります。
ヘルプデスクとして働くためには、まずIT関連会社をはじめとしたヘルプデスクが置かれている会社へ就職しなくてはなりません。就職活動においては、ヘルプデスクの業務に使える情報学や通信工学などを、あらかじめ大学や専門学校で学んでおくのもひとつでしょう。
そして、入社後にヘルプデスクに配属されれば、晴れて実務に携われます。ただし、希望したからといって必ずヘルプデスクに配属されるわけではありません。配属までに数年かかることも、配属されないこともあるでしょう。
また、ヘルプデスクは派遣社員や契約社員、アルバイトとしての求人もあるため、これらに応募するのもヘルプデスクになるためのひとつの方法です。
ヘルプデスクに求められる資格や試験
ヘルプデスクには、必須とされている資格や試験はありません。
ただし、ヘルプデスクの業務に役立つとされている資格はいくつかあり、その中でも「基本情報技術者試験」はIT関連業務に役立つものとして広く知られています。
この「基本情報技術者試験」とは、情報処理推進機構(IPA)により実施されている国家試験です。また、これは数種ある情報処理技術者試験のひとつであり、その中でも基礎レベルの試験としてラインナップされています。
試験の内容はテクノロジ(技術)、マネジメント(管理)、ストラテジ(戦略)と幅広いため、この試験に合格しておけば自身のITスキルのレベルアップおよび証明に繋がるでしょう。
ただし、「基本情報技術者試験」は基礎レベルとはいえ、難易度が低いわけではないため、合格するにはそれなりの学習が必要です。
難易度や試験について
「基本情報技術者試験」の2019年の応募者数は169,170人、合格率は25.7%でした。基礎レベルにしては合格率が非常に低く、試験の難易度は高いと予想されます。
また、試験は午前と午後の2部に分けて行われますが、その詳細は以下の表および公式ホームページをご確認ください。
午前 | 午後 | |
受験日程 | 4月第3日曜日、10月第3日曜日 | |
受験料 | 5,700円(税込) | |
試験会場 | 全国各地の指定会場 | |
試験形式 | 多肢選択式(四肢一択) | 多肢選択式 |
試験時間 | 9:30〜12:00(150分) | 13:00〜15:30(150分) |
受験資格 | なし | |
合格条件 | 正答率60%以上 |
※2020年現在の試験概要です。一部、コロナウイルスの影響により変更の可能性があります。
今後のヘルプデスクの将来性
現代社会において、IT技術や製品、サービスは目を見張るスピードで発展し、開発されています。そして、それにともない、新技術や新製品を使用する顧客や社員に対し、それぞれの疑問やトラブルに対応する役割は欠かすことができないものになっています。IT製品の使用や設定、修理などは複雑で専門的な知識や技術が必要になり、一般の人にとっては難しいことも多いためです。
よって、IT技術や製品に対する問い合わせの専門家として、疑問やトラブルを解決するヘルプデスクの需要は、今後も減ることがないと考えられます。
ただし、AI技術の発展により、ヘルプデスクが抱える一部のタスクはAIに代替され、人員が削減される可能性もあります。このようなリスクを避け、長くヘルプデスクとして活躍するためには、ITに関する知識や技術とともに、人間ならではの対応力や接客力を磨かねばならないでしょう。
また、ヘルプデスク業務で得た経験を元にすれば、他の職種へキャリアアップできる可能性もあります。そのため、ヘルプデスクという職種の将来性は決して低くはありません。
ヘルプデスクの就職先
ヘルプデスクという職種を配置している会社の例としては、システム開発会社や情報サービス会社、IT機器関連会社などがあります。これらの会社の求人は一定数あり、未経験を受け入れる案件も多いですが、類似業務経験者やIT関連の学歴がある者は、少なからず就職が有利になるでしょう。ただし、新卒で入社して、希望通りヘルプデスクに配属されるとは限りません。一方、中途採用の場合は、ヘルプデスクを指定した求人が出されています。
また、派遣社員や契約社員、アルバイト、パートといった雇用形態でのヘルプデスクの求人も多く見られます。そのため、比較的多様な働き方ができ、家庭状況やライフプランに合った形で働くことも不可能ではないでしょう。
ヘルプデスクの平均年収・MAX年収
ヘルプデスクの平均年収は、およそ420万円ほどだと言われています。この年収は日本人全体の平均年収に近く、ごく平均的な水準にあると言えるでしょう。ただし、年代によって年収には差があり、20代ではおよそ320万円、40代ではおよそ580万円が相場になるようです。さらに、勤める会社の規模やキャリアなどによっても、年収は変わるでしょう。
また、派遣社員の時給はおよそ1,700円、アルバイトおよびパートの時給はおよそ900円が相場であり、特別高いということはありません。
ヘルプデスクに向いているのはこんな人
ヘルプデスクはパソコンをはじめとした製品やシステムの疑問に応えることが仕事です。そのため、パソコンやシステムなどに詳しく、製品に対する知識や技術に長けている人でなければ、この業務は務まりません。未経験者でもヘルプデスクとして働くことはできますが、コンピューターに対する苦手意識はない方がいいでしょう。
また、ヘルプデスクは顧客や社員からの電話やメールに対応する接客業です。よって、コミュニケーションスキルに優れた人や人の役に立ちたいという思いが強い人は、この業務に向いていると考えられます。
さらに、聞き上手で臨機応変な対応力も持ち合わせていれば、クレームにもうまく対応できるでしょう。
ヘルプデスクに関連する職業や資格
ヘルプデスクに関連する職業
ヘルプデスクに関連する職業には、システムエンジニアやITコーディネーターがあります。システムエンジニアはSEとも呼ばれクライアントのためにシステム開発を担い、またITコーディネーターは経営の面からクライアントへITシステムの助言を行う職業です。
これらの職業はどれも会社におけるITシステムに関わるものであり、関連職に数えられます。
さらに、コールセンタースタッフもヘルプデスクの関連職に数えられます。これらはどちらも、顧客からの製品やサービスに関する問い合わせに対応する職業です。時には社外ヘルプデスクの役割をコールセンターが担うこともあり、関連性は深いと言えるでしょう。
ヘルプデスクに関連する資格
ヘルプデスクに関連する資格には、先ほどご紹介した「基本情報技術者試験」以外にも多数あります。下に例を挙げてみましょう。
- ITILファンデーション試験
ITサービスマネジメントのスキルを測る試験 - マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
マイクロソフト製品の取り扱いスキルを測る資格 - CompTIA IT Fundamentals
インフラストラクチャやセキュリティ、ITリテラシーなどのスキルを測る資格 - Cisco CCNA資格
ネットワークエンジニアのスキルを測る資格
これらは一例で、近年IT関連の資格試験は数多く実施されており、その分野や目的は多様です。ヘルプデスクの業務に役立つ資格取得を検討するなら、自身が扱う製品やサービスの内容にマッチしたものを選ぶといいでしょう。
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