広報になるには
- 2020.09.15
広報の概要や仕事内容
広報とは
広報とは、会社や団体などに属し、その活動や商品を通して、会社と社会を良好に繋ぐ職種です。具体的には、メディアに自社商品や方針の情報を流したり社内報を発行したりと、社内外に対する情報を扱います。広報は、一般企業にはもちろん、団体や学校、さらには国まで、さまざまな組織に配置され、綿密な計画のもと情報を扱い、組織と社会を繋いでいます。
そもそも広報とは「PR(Public Relations・パブリックリレーションズ)」とも呼ばれ、企業や団体、個人が、自身の目指す方向性や取り組みなどを公衆に伝え、認知や共感を得ることを指します。つまり、「Public Relations」という言葉の通り、広報は、企業や団体の対社会関係の構築を行なっているのです。
また、近年情報ツールとしてソーシャルメディアが台頭し、広報は、新聞や雑誌といったメディアだけでなく、SNSやインターネットを対象にした活動にも重きを置くようになりました。そして情報発信先の多様化に伴い、情報の危機管理も重視されるようになり、現在では、広報はその役割も担っています。
広報の仕事内容とは
広報の仕事は、大きく4つに分けられます。それぞれ見ていきましょう。
- 対社外広報活動(報道対応)
新聞や雑誌、テレビなどといったメディアに対する広報活動を行います。
例えば、プレスリリースの作成や記者会見の準備、取材対応、また情報を提供するのに有益なメディア選定など。新商品・事業の発表や処遇に際して、もっとも適した報道対応を検討し、セッティングを行います。 - 対社内広報活動
広報担当者は、組織内で働く社員に向けた広報活動も行っています。
情報提供のための社内報発行やサイト運営に加え、社内の一体感を高めたりコンプライアンスを定着させたりするためのイベントを企画することもあります。 - IR
自社の株主や投資家に対する広報活動を、IR(Investor Relations)と呼びます。これは、投資家との信頼関係構築や資金調達のために情報提供を行うもので、株主総会のセッティングや有価証券報告書の作成などが主な仕事内容です。
ただし、これには会計関連の専門知識が必要になるため、専門の別部門が担うこともあります。 - 危機管理
組織の危機管理も、広報の仕事のひとつ。
組織にとってマイナスとなる出来事が起こることを防ぐため、もしくは起こってしまった場合のダメージを最小限に留めるための管理や対応を行います。具体例には、マニュアルやガイドラインの作成、有事の情報管理、報道対応などが挙げられます。情報ツールの多様化により、危機管理という仕事は重要性を増しています。
このように、広報は、組織内外からの企業のイメージを形作る重要な仕事を担っています。
広報になる方法
広報担当者になるために、定められている学歴や経歴、資格はありません。
大学卒業後に企業や団体などに就職し、広報部に配属されれば、誰でも広報担当者として働くことができます。
とはいえ、広報の仕事には、優れた対応力や業界の知識が必要です。そのため、就職してすぐに広報担当者になれることはほぼなく、まずは他部署でさまざまな経験を積むことになるでしょう。
また、広報関連業務を専門に行うPR会社に就職するのも、広報に携わる仕事に就くためのひとつの方法です。
ただし、一般企業や団体では、経験を積んだからといって必ず広報部に入れるわけではありません。広報部への配属を希望しても、希望通りにいかないことも多いでしょう。しかし、経験者の場合であれば、広報担当に限定した採用案件は少ないながらも存在します。そのため、広報業務を専門的に行うPR会社に一度就職して経験を積み、その後PR会社の経験を生かして広報担当者を募集している会社へと転職する人もいるようです。
広報に求められる資格や試験
広報として働くために、取得しておかなければならない資格や受けておかなければならない試験はありません。資格よりも大切なのは、属している業界の知識や情報取り扱いのノウハウ、文章力や人脈などです。場合によっては、法律の知識や会計の知識が役立つこともあるでしょう。
実務の中でさまざまな経験を積んだり、社会の情報を敏感に察知したり、また人脈を増やしたりして、それらを自社の広報業務に生かすことが、広報担当者には求められます。
今後の広報の将来性
広報という仕事は、企業や団体などの活動において非常に重要な役割を担っています。なぜなら、広報活動は社会から見た企業のイメージに大きな影響を与えるからです。広報戦略の良し悪しは、企業イメージやその社会的評価、ひいては製品の売り上げをも左右しかねません。そのため、広報活動は慎重に行わなくてはならず、それには広報の専門知識を持つ専門家が必要です。よって、広報活動を専門とする広報担当者という専門職種は、企業や団体などの組織にとって必須であり、今後もなくなることはないと予想されます。
また、近年ではソーシャルメディアの普及により、さまざまな情報が簡単に素早く出回るようになり、それらは企業活動にも大きな影響を与えています。そのため、企業や団体では情報に関する危機管理も重要視されるようになりました。この危機管理を担うという点でも、今後広報担当者の役割は重要性を増していくでしょう。
広報の就職先
広報部門は、一般企業や団体、学校、国など、さまざまな組織に置かれています。そのため、広報を目指すための就職先は、多岐に渡ります。
ただし、広報に限定した求人は数が少なく、特に未経験者の募集はほとんどされていません。未経験の場合は、他部署で業務経験を積みながら、広報部門へ配属されるのを待つしかないでしょう。
また、PR会社も、広報の仕事をするための就職先のひとつです。PR会社は企業や団体の広報活動を専門に担うため、就職すれば、広報にまつわるさまざまな業務を経験できます。PR会社で経験を積んだ後に、キャリアを生かし、一般企業の広報部を目指すのも良いでしょう。
広報の平均年収・MAX年収
広報担当者の平均年収は約400万円です。この年収水準は、他部署の会社員と変わりません。企業の規模によって年収には差が生まれますが、広報部門がある企業は規模が大きいことが多いため、総合的に見ると高水準になるようです。
さらに、部署の中で役職に就いた場合や実力を評価された場合には、500万円以上の年収を得られる可能性もあります。
また、広報には派遣社員やアルバイトなどの雇用形態で、時給制で働く人もいます。そしてその場合の時給は、1,000円〜1,500円ほどが相場になります。
広報に向いているのはこんな人
広報に向いているのは、柔軟な対応力、優れた判断力がある方です。広報が出す情報は企業や団体のイメージに大きな影響を及ぼすものです。しかし、広報によるメディア対応や有事の対応においては、予想外のことが起こることもあるでしょう。そんな時にも、企業や団体のイメージを損ねないよう、適切な判断を持って柔軟に対応できることが、広報担当者には求められます。
また、コミュニケーション能力に長けていることも、広報にとって大切な要素です。なぜなら、広報担当者は社内外の多くの人と関わる仕事であるためです。広報担当者はその企業の顔とも言える役割を果たしているので、その人柄は企業イメージに直結すると言えるでしょう。
広報に関連する職業や資格
広報に関連する職業
広報に関連する職業としては、新聞や雑誌、テレビなどといったメディアの記者が挙げられます。広報はメディア記者と接する機会が多いためです。企業や団体の広報担当者は、メディア記者とうまく関係を築き、それを自社のPRに役立てています。
また、同組織内では、経営企画職や会計職、マーケティング職なども広報職に関連性が深い職種に数えられます。広報は、これらの職種による成果や決定を社内外にPRすることも多いでしょう。このような職種はどれも会社や団体の経営において重要な役割を果たしており、時には連携を取りながら、会社や団体をよりよく運営するために働いています。
広報に関連する資格
広報の仕事に関連する資格には、「PRプランナー資格」があります。これは、広報・PRに対する意識や知識の向上を目的に、日本パブリックリレーションズ協会により実施されている民間資格で、コミュニケーションやマーケティング、危機管理など、広報に特化した内容になっています。
また、試験は1次から3次まで実施され、1次試験合格者には「PRプランナー補」、1次2次試験および書類審査合格者には「凖PRプランナー」、1次2次3次試験および書類審査合格者には「PRプランナー」の認定資格が与えられます。
広報に必須資格はありませんが、広報担当者を目指すのであれば、この資格を取得しておいて損はないでしょう。
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