ヘアカラーリストになるには
- 2020.07.21
ヘアカラーリストの概要や仕事内容
ヘアカラーリストとは
ヘアカラーリストとは、ヘアカラーの施術を専門とする美容師を指します。美容院に勤め、顧客のニーズに応じたカラーデザインを提案し、優れた技術によりヘアカラーの施術を行います。
ヘアカラーは、多くの美容院で行われていますが、同じように施術しても、顧客の髪質や施術者の技術によって全く違った出来栄えになってしまう、難しい作業です。
しかし、ヘアカラーリストは、髪質や髪の状態を見極めた上で、適切な薬剤の調合割合や塗布時間を決め、顧客の希望通りのカラーを再現しなければなりません。この調合や時間の決定を行うためには、ヘアカラーに関する深い知識や経験が必要であるため、それを担うヘアカラーリストという職業の専門性は非常に高いと言えるでしょう。
ヘアカラーリストは、ヘアカラーの専門家としてヘアカラーによるさまざまな表現を可能にし、顧客の美に貢献しています。
ヘアカラーリストの仕事内容とは
ヘアカラーリストの仕事は、顧客にヘアカラーの施術を行うことです。
まずは顧客に対しカウンセリングを行い、カラーに関する悩みや希望を聞いていきます。カットを担当するスタイリストとも連携してヘアスタイルを提案し、具体的なヘアカラーを決めます。
カラーが決まったら顧客の髪質や髪の状態に合わせた薬剤の調合に入ります。なるべくカラーによる髪へのダメージが少なくて済むよう、また希望通りのカラーになるよう、慎重にカラー剤をつくります。カラー剤ができたら顧客の髪に塗布し、状態を確かめながら時間を置き、やがてカラー剤を洗い流します。
その後は、顧客にカラーの確認をし、問題がなければスタイリストと交代することになるでしょう。
また、ヘアカラーリストは、後輩の指導や顧客管理、セミナー参加、店舗の清掃などを行うこともあります。
ヘアカラーリストになる方法
ヘアカラーリストになるためには、高校卒業後、厚生労働省が定める美容師養成施設、つまり美容学校に入所しなければなりません。そこで美容の知識や技術を身に付けた後に、「美容師」の国家資格および免許を取得します。
また、免許取得後に美容院への就職活動を行い、採用されれば、まずはアシスタントとして美容院で働くことになるでしょう。そしてその後、美容院で働きながら経験と実績を積み、ヘアカラーの技術に特化していると認められれば、ヘアカラーリストとしてカラーを専門に施術を行えるようになる可能性があります。
とはいえ、専門職としてヘアカラーリストを置いている美容院はあまり多くはありません。カラーリストになるためには、まずはカラーリストが活躍している美容院での就職を目指しましょう。
ヘアカラーリストに求められる資格や試験
ヘアカラーリストとして働くためには、国家資格である「美容師」資格を取得し、美容師免許の交付を受けなければなりません。資格を取得せず、またその後の免許申請をせずに、施術を行った場合には、厳罰に処される可能性があります。
この「美容師」資格は試験により取得可能ですが、受験するためには以下のような条件が定められています。
美容師試験の受験資格
美容師養成施設において、次の期間の課程を修了した人(1998年4月1日以降入学の場合)
- 昼間課程で2年以上
- 夜間課程で2年以上
- 通信課程で3年以上
美容師養成施設において、次の期間の課程を修了後、1年以上の実地習練を行った人(1998年3月31日以前入学の場合)
- 昼間課程で1年以上
- 夜間課程で1年4ヶ月以上
- 通信課程で2年以上
※2002年3月31日までに1年以上の実地習練が終了していない人には、受験資格がありません。
また、試験は実際にカッティングやセッティングを行う実技試験と筆記試験に分かれており、両方の試験において合格条件を満たすことで、合格できます。
ただし、実技試験もしくは筆記試験の片方のみに合格した場合には、次回の試験に限り合格済みの試験は免除されます。
難易度や試験について
美容師国家試験の合格率は、回によって大きく幅があります。約9割が合格することも、半数しか合格しないこともあるため、難易度を一概に述べることはできません。
ただし、学校で学んだことをきちんと身に付け、技術の修練も積んでいれば、合格することは決して困難ではないでしょう。
試験の詳細については、下表をご覧ください。
受験日程 | 2月、8月 |
受験料 | 25,000円(筆記、実技どちらかの場合は12,500円) |
試験会場 | 筆記試験:北海道、岩手、宮城、埼玉、東京、石川、愛知、大阪、岡山、広島、愛媛、福岡、鹿児島、沖縄の指定会場
実技試験:滋賀県を除く各都道府県の指定会場 |
試験形式 | 筆記試験/実技試験(カッティング、セッティング、衛生) |
試験時間 | 筆記試験:100分/実技試験:60分程度 |
受験資格 | 認可されている美容師養成施設の昼間課程もしくは夜間課程で、2年以上の課程を終了していること、もしくは認可されている美容師養成施設の通信学習で、3年以上の課程を終了していること
(詳細は、理容師美容師試験研修センターHPをご確認ください。http://www.sb.rbc.or.jp/2006/11/post_20.html) |
合格条件 | 筆記試験:無得点科目がなく、60%以上の得点率
実技試験:衛生部門減点30点以下、カッティング部門減点40点以下、セッティング部門減点50点以下であること |
※2020年の試験概要です。
今後のヘアカラーリストの将来性
海外と違い、日本におけるヘアカラーリストの知名度は、高くありません。多くの美容院ではヘアカラーリストという専門職を置かず、ヘアスタイリストがカットからヘアカラーまで、すべての施術を引き受けています。今後もこの傾向が大きく変わることはないでしょう。
とはいえ、ヘアカラーリストが在籍する美容院は、少しずつ増加しています。カラー専門店も増えていることから、ヘアカラーの専門性が注目されつつあると言えるでしょう。近年では特殊なカラーを好む顧客も増えていることもあり、ヘアカラーの専門家としてのヘアカラーリストの需要は、伸びていくと想像されます。
しかし、美容院は数が非常に多く、競争が激しい業界です。ヘアカラーリストとして活躍を続けるためには技術を高めることはもちろん、勤める美容院自体の魅力も発信していかなければならないでしょう。
ヘアカラーリストの就職先
ヘアカラーリストの主な就職先は、美容院です。美容院の数は多く、常に求人も出されているため、就職すること自体は難しくないでしょう。
しかし、ヘアカラーリストという職種を置いている美容院は未だ少なく、ヘアカラーリストに限定した求人もほぼありません。ヘアスタイリストがヘアカラーの施術まで行う美容院がほとんどです。そのため、ヘアカラーリストとして働くためには、ヘアカラーリストが在籍する美容院を探し、そこに対する就職活動を行うと良いでしょう。
とはいえ、最初からヘアカラーリストとして働くことは難しく、その職種に抜擢されるためには、突出したヘアカラーの技術や知識が必要です。
ヘアカラーリストの平均年収・MAX年収
ヘアカラーリストの年収は、ヘアスタイリストと同等の300万円〜500万円ほどが相場です。ただし、アシスタント時代の年収はこれよりも下がり、美容院に就職してすぐの年収は、200万円台であることがほとんどでしょう。
また、この年収は、勤める美容院やその場所、経歴などによっても大きく変わります。中には、指名数がインセンティブとして給与に反映されることもあり、実績が及ぼす影響も少なくはないでしょう。
大規模な美容院でトップヘアカラーリストとして活躍していれば、年収が平均を軽く超える場合もあり、実力と経験を磨くことで高年収が期待できます。
ヘアカラーリストに向いているのはこんな人
ヘアカラーリストに向いているのは、色彩に関する幅広い知識を持っている人です。顧客のイメージ通りのヘアカラーを行うためには、それぞれの色彩が持つ特徴を把握していなければなりません。ヘアカラーには人の肌色や目の色によって似合う色と似合わない色があるため、パーソナルカラーについても詳しく知っているのが理想です。
さらに、人の髪質は一人一人違い、同じカラーをするにもその扱いは変わるため、髪の扱いに対する深い知識も、ヘアカラーリストには求められます。加えて、カラー薬剤の使用における、数字的な思考能力も必要でしょう。
また、優れたコミュニケーション能力もヘアカラーリストには必要です。美容院では、ヘアカラーリストは顧客と一対一で接します。そこで、顧客のニーズを引き出したり、顧客をリラックスさせたりするためには、緊張感を与えない自然な声かけや会話は必須でしょう。
ヘアカラーリストに関連する職業や資格
ヘアカラーリストに関連する職業
ヘアカラーリストに関連する職業としてまず挙げられるのは、美容師です。関連職というよりも、美容師免許が必須であるヘアカラーリストは、美容師の一種に数えられます。美容師は美容院で顧客のヘアカットやヘアカラー、ヘアセットなどを手掛けますが、その中でもヘアカラーを専門とする美容師をヘアカラーリストと呼ぶのです。
また、ヘアメイクアーティストやメイクアップアーティスト、ネイリスト、アイリストなども、美容業に携わり、色を使った施術で人を美しくするという点で、ヘアカラーリストの関連職に数えられます。
ヘアカラーリストに関連する資格
ヘアカラーリストに関連する資格には、色彩系の資格があります。色彩系の資格検定は数多く実施されていますが、その中でも広く知られているのが、「色彩検定」と「カラーコーディネーター検定」でしょう。これらは、日常生活はもちろん、ビジネスにも役立つ色彩の知識を学べる内容になっているため、ヘアカラーを専門とするヘアカラーリストの実務にも役立ちます。
また、同じ色彩系資格である「パーソナルカラー検定」も、ヘアカラーリストに役立つ資格のひとつです。パーソナルカラーとは「似合う色」を指し、パーソナルカラー検定ではファッションや美容分野におけるパーソナルカラーについて学べます。「似合うかどうか」はヘアカラーにとって非常に重要であるため、この資格もヘアカラーリストには有効です。
さらに、日本ヘアカラー協会では「ヘアカラリスト検定」という検定も行われており、その知識はヘアカラー技術およびサロンワーク技術の向上に生かせるでしょう。
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