カラーリストになるには
- 2020.07.21
カラーリストの概要や仕事内容
カラーリストとは
カラーリストとは、色彩の専門家として、商品の生産販売や接客に携わる職業です。色彩に関する豊富な知識を生かし、商品の開発やプロモーション企画、顧客へのアドバイスなどを行なっています。
このカラーリストという職業は、大きく以下の2種類に分けることができます。
企画系カラーリスト
各メーカーや広告会社などの企画部門に所属するカラーリスト。商品やパッケージ、広告などの企画に、色彩の知識を生かして携わります。
パーソナルカラーリスト
アパレルショップや化粧品店、美容院などで、接客対応を行うカラーリスト。ファッションコーディネートやメイク、ヘアカラーなどについて、それぞれの顧客に対し、色彩の観点からアドバイスを行います。
上記の通り、同じカラーリストでも企画系か接客系(パーソナルカラーリスト)かによって、果たす役割は大きく違っています。ただし、どちらの場合も色彩に関する幅広い知識が求められるでしょう。
このように、カラーリストは人に大きな影響を与える色彩の特徴を生かし、さまざまな分野で活躍しています。
カラーリストの仕事内容とは
カラーリストの仕事内容は、企画系のカラーリストとパーソナルカラーリストとで大きく変わります。それぞれの主な仕事内容を挙げてみましょう。
企画系カラーリスト
企画系カラーリストの主な仕事は、企画する商品やそのパッケージ、広告に用いる配色の提案です。市場調査を行いながら、需要や目的に応じた配色を提案し、商品作りやプロモーション企画に参加します。
ただし、配色に関わることだけを行うケースは少なく、多くの場合は、商品の企画自体もしくはプロモーションの企画自体から携わることになるでしょう。
パーソナルカラーリスト
パーソナルカラーリストは、顧客を相手に色彩のアドバイスを行うことが主な仕事です。勤務する店舗や会社によって仕事内容は違いますが、例えばアパレルショップであれば訪問客のコーディネートを、美容院であれば肌色に合うヘアカラーを、またフラワーショップであればテーマに合う花の組み合わせを、色彩の観点からアドバイスし、商品の購入を促します。
このように、カラーリストの仕事は多岐に渡ります。それだけ、色彩が持つ可能性は大きいとも言えるでしょう。
カラーリストになる方法
カラーリストになるために、定められている学歴や資格の取得要件はありません。カラーリストとして、商品や広告の企画、またはファッションや化粧品販売に関わる仕事に就けば、誰でも活躍することができます。ただし、その仕事には色彩に関する深い知識が求められるため、事前にさまざまな面から色彩を学んでおく必要はあるでしょう。
色彩に関する知識を身に付けるには、「美術系やデザイン系の大学・専門学校で学ぶ」もしくは「民間スクールや講座で学ぶ」、「独学で学ぶ」という3つの方法があります。大学や専門学校、または民間スクールなどで学べば、費用はかかるものの、効率的に知識を高めることができるでしょう。一方で独学の場合は、費用はさほど必要ありませんが、自ら学習を進める管理力や強い意志が必要です。
また、資格を取得しておくのも、カラーリストとしての就職やその後の実務に有効ですが、これについては次章でご紹介しましょう。
カラーリストに求められる資格や試験
先述の通り、カラーリストには必須とされる資格および試験はありません。
ただし、色彩に関する資格は数多く実施されており、その取得はカラーリストとして活躍するために役立ちます。そして、色彩に関する資格の中でも広く知られている資格に、「カラーコーディネーター検定」があります。
この「カラーコーディネーター検定」とは、東京商工会議所が実施する民間検定です。そしてその内容は、色彩や配色、その歴史、メイクやファッションなど幅広く、仕事に役立つ色彩の知識を高めるものとなっているため、カラーリストの業務に生かせるでしょう。
ただし、この検定は1級〜3級という3つのレベル分けで実施されていましたが、2020年からはアドバンスクラス・スタンダードクラスの2レベルに変更されています。
難易度や試験について
「カラーコーディネーター検定」の合格率は、2019年までの場合、3級は50〜70%程度と比較的易しく、その後上級に上がるにつれ難易度が上がり、1級の合格率は20〜30%程度となっていました。
ただし、2種のレベル分けとなった2020年からの難易度は不明です。
試験の概要は以下の表をご覧ください。
アドバンスクラス | スタンダードクラス | |
受験日程 | 6月、11月 | |
受験料 | 7,700円(税込) | 5,500円(税込 |
試験会場 | 全国の指定会場 | |
試験形式 | マークシート | |
試験時間 | 2時間 | |
受験資格 | 特になし | |
合格条件 | 100点満点中70点以上の得点率 |
※2020年現在の試験概要です。
今後のカラーリストの将来性
私たちが色によってさまざまなイメージを思い浮かべるように、色彩は人の心理に大きな影響を与えます。この影響により、商品の配色がその売り上げを左右することも珍しくはありません。そのため、色彩は商品の企画開発における重要要素とされており、それを扱うカラーリストも同じく重要な役割を果たしています。今後もそれは変わらず、カラーリストは活躍を続けていくでしょう。
また、化粧品やインテリアに対する人々の関心は高まりを見せています。これらの分野においても色彩は大きなポイントであるため、色彩のプロとして接客を行うパーソナルカラーリストの需要は、保たれるでしょう。
さらに、色彩の知識を活用できる分野は幅広く、今後は医療や福祉、介護など高齢化に伴い需要が増す分野においても、カラーリストは活躍していくと予想されます。
カラーリストの就職先
カラーリストの就職先は幅広く、企画系として働くか、パーソナルカラーリストとして働くかによって大きく変わります。
まず企画系の場合は、商品の開発やプロモーションを行うさまざまな企業が就職先として挙げられます。具体例としては、メーカーや広告会社、出版社などがあり、これらの企業に就職した場合には、商品や広告の企画に色彩の専門家として携わることになるでしょう。
また、パーソナルカラーリストとして働く場合には、ファッションやメイク、インテリア分野の企業が就職先になります。このような企業では、色彩の知識を生かした店舗での接客が、主な仕事になるでしょう。
ただし、カラーリストに限定した求人は非常に数が少なく、最初からカラーリストとして就職することは決して簡単ではありません。特に企画系の場合は、各業界での経験や実績が問われるでしょう。
カラーリストの平均年収・MAX年収
カラーリストの年収については情報が少なく、また仕事内容によって大きく額が変わるため、平均年収を一概に述べることはできません。ただし、目安を挙げるのであれば、300万円〜500万円ほどが相場でしょう。
また、カラーリストの年収は勤務する会社の規模や勤続年数、勤務形態、場所によっても変わります。一般的には、規模の大きな会社で正社員のカラーリストとして長く勤務するほど、高年収となります。さらには、関連資格取得者に手当てが付与される可能性もあります。
一方、フリーランスのカラーリストとして活動する場合には、仕事量やその評価が年収に直接影響を与えます。そのため、仕事がうまくいっていれば、その分高年収が狙えますが、逆に不調であれば、取得年収が平均を切る可能性もあります。
カラーリストに向いているのはこんな人
カラーリストに向いているのは、色彩に関する深い知識に加え、色彩に対する興味や探究心を持つ人です。色彩の効果や調和についてより突き詰めていく姿勢があれば、知識を増やし、それを職務に生かすことができるでしょう。
ただし、その興味の対象は、色彩だけに限定されません。例えば、色彩に深く関わるファッションやメイク、アートなどが好きで、それらに関する知識を深めている人も、カラーリストには向いていると考えられます。
また、カラーリストはスタッフや顧客など、多くの人と接しながら仕事を行います。そのため、コミュニケーション能力に長けていることも、カラーリストにとって重要な要素です。優れたコミュニケーションは、仕事におけるスムーズな人間関係や接客に役立つでしょう。
カラーリストに関連する職業や資格
カラーリストに関連する職業
企画系のカラーリストに関連する職業には、マーチャンダイザーやファッションコーディネーター(企画系)、商品企画職などがあります。これらは、企画系カラーリストと同じく、市場のニーズを汲んで商品やプロモーションを企画することが主な仕事です。企画系カラーリストはこれらの職業が属する部署に配され、その中の色彩の専門家として、共に業務を行うことが多いでしょう。
また、販売系のパーソナルカラーリストの場合は、ビューティーアドバイザー(美容部員)やアパレル販売員、美容師などとの関連性が見られます。ファッションや美容分野において色彩に関する知識は重要であり、さらに個々の客に対して色のアドバイスを行うことも多いという点でも、これらの職業とパーソナルカラーリストには共通点が見られます。実際に、パーソナルカラーリストを兼ねてビューティーアドバイザーや販売員として活躍している人も少なくはありません。
カラーリストに関連する資格
カラーリストに関連する資格には、先述の「カラーコーディネーター検定」以外に、日本カラリスト協会による「パーソナルカラリスト検定」や「トータルカラリスト検定」、NPO日本パーソナルカラー協会による「色彩技能パーソナルカラー検定」などがあります。これらは全て、色彩の知識を深めるための民間検定であり、暮らしや仕事に生かせます。
また、公益社団法人色彩検定協会による「色彩検定」も色彩に関する資格検定として広く知られています。低級は比較的易しく、またファッションから広告、建築など幅広い分野に役立つ内容になっているため、カラーリストとしてより良く活躍するために、取得を検討するのも良いでしょう。
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