シューフィッターになるには
- 2020.07.21
シューフィッターの概要や仕事内容
シューフィッターとは
シューフィッターとは、プロとしてシューフィッティングを行う職業です。「シューフィッティング」とは足に合った靴を選ぶことですが、シューフィッターは顧客のニーズや足の状態を確認しながら、それぞれに合った靴を提案します。
そんなシューフィッターが活躍しているのは、靴店や靴売り場です。靴は外出するために必ず必要になるものなので、靴売り場にはさまざまな人が訪れます。しかし、靴に対するニーズやサイズ、歩き方は人それぞれ。もちろん、それによって合う靴も違ってきます。
シューフィッターはこのような要素を分析して、ひとりひとりに本当に合う靴を提案やアドバイスを行います。合わない靴は全身の歪みや痛みにも繋がりかねませんが、シューフィッターは正しい提案により、靴を原因とする疾病を防ぐ役割も果たしているのです。
このようなシューフィッターの仕事は、高齢化の進行や健康志向の高まりにより、今後ますます重要視されていくでしょう。
シューフィッターの仕事内容とは
シューフィッターの主な仕事は、靴売り場における接客提案です。顧客のニーズや悩みを踏まえ、靴の提案を行います。
また、その際には、専用の道具や機械を用いた足のサイズ測定を行ったり、顧客が履いていた靴のチェックを行ったりすることもあります。これにより、細かな数値や歩き方の癖を把握し、それを提案に反映させていきます。
さらに、シューフィッターは売り場で働くことが多いため、シューフィッティング以外にも、品出しや精算、発注、ミーティングへの参加、報告書作成なども行い、売り場運営に携わります。
シューフィッターになる方法
シューフィッターになるためには、まずシューズメーカーや靴店、百貨店など、靴の販売に関わる店舗や企業に就職する必要があります。そこで接客販売を行いながら、シューフィッターとしての実力を磨いていくのが一般的でしょう。
また、自分の靴店を開業してシューフィッター兼オーナーとして働いたり、フリーランスのシューフィッターとしてシューズメーカーと契約したりといった方法もあります。
シューフィッターを目指すにあたって定められた学歴はありませんが、大学や専門学校などで体育学やスポーツ学、医学などを学んでおけば、その知識は実務に生かせます。
さらに、「シューフィッター」資格の取得もプロのシューフィッターとして活躍するためには有効でしょう。この資格については、次章で詳しくご紹介します。
シューフィッターに求められる資格や試験
シューフィッターとして働くためには、「シューフィッター」資格の取得が有効です。
「シューフィッター」資格は、一般社団法人足と靴と健康協議会によって認定されている民間資格で、シューフィッティングの専門家としての知識や技術を測るものです。
その主な内容は、足の基礎知識や靴合わせ、足の疾病など。試験はなく、スクーリングと課題提出により、合否が決定されます。
この「シューフィッター」資格は、以下の5コースに分けられます。
シューフィッター資格コース
- プライマリーコース(初級)
- バチェラーコース(上級)
- マスターコース(修士)
- 幼児子ども専門コース
- シニア専門コース
プライマリーからマスターへ級を進めるのが一般的ですが、目指すビジョンによっては、子どもやシニアに特化したコースを選択するのも良いでしょう。
難易度や試験について
先述の通り、「シューフィッター」資格には試験がありません。代わりに、スクーリングと課題提出により、合否が決められます。
しかし、上級になるにつれてスクーリングの日数は増え、課題もかなり多く、さらに費用も高額であることから、総合的な難易度は高いと考えられます。
プライマリー、バチェラー、マスターの資格取得概要は、以下の表をご確認ください。
プライマリー(初級) | バチェラー(上級) | マスター(修士) | |
受講期間 | 不明 | 9ヵ月間(7月~翌年3月)、スクーリング3日間×3回 | 2年間(2019年6月~2021年2月)、スクーリング3日間×8回 |
受講料 | 104,500円(税込) | 286,000円(税込) | 990,000円(税込) |
定員 | 60名 | 20名 | 20名 |
スクーリング会場 | 東京(4,7,10,1月)・大阪(6月)・神戸(2月) | 東京(7月、11月、3月) | 東京(6月、8月、11月、2月)※年による |
受験資格 | 特になし | 一般社団法人足と靴と健康協議会(FHA) および 日本靴小売商連盟認定のシューフィッターであること | 一般社団法人 足と靴と健康協議会(FHA)認定のバチェラー(上級)シューフィッターであること |
認定基準 | 下記項目をすべて満たしていること
・3日間のスクーリング修了 ・スクーリング最終日のテストおよび在宅課題である問題集の正解率60%以上 ・10足分のフィッティングトライアルチェックシート提出・50人分の足型計測の審査に合格 ・シューフィッター関連業種の実務経験3年以上 |
下記項目を全て満たしていること
・9日間のスクリーングへの出席 ・6課目(足型計測、パッキングワーク、足の病気と障害、靴の知識、靴人間工学、シューフィッティング)の課題提出、合格 ・6課目(足型計測、パッキングワーク、足の病気と障害、靴の知識、靴人間工学、シューフィッティング)の認定試験に合格 |
下記項目を全て満たしていること
・24日間のスクリーング全てに出席 ・課題を全て提出し、クリアしている ・認定試験に合格 |
※2019年での概要です。
詳細は、一般社団法人足と靴と健康協議会HP(http://fha.gr.jp)よりご確認ください。
今後のシューフィッターの将来性
日本では、シューフィッターという職業はあまり浸透していません。靴に詳しくない限り、シューフィッターという職業自体を知らない人も少なくはないでしょう。しかし、シューフィッターは、身近な靴店や靴売り場で、今現在広く活躍しています。
また、近年では健康志向の上昇から靴の履き心地にこだわる人が増えています。しかし、その一方で、一般な人が知識なしに適切な靴選びを行うのは困難です。さらに、人々が将来的に靴を履かなくなるということも考えづらいため、今後もシューフィッターは靴選びのプロとして活躍を続けるでしょう。
ただし、販売という業務については、機械化により今後需要が減ることが予想されます。そのため、シューフィッターのようなプラスアルファの能力や資格は、将来性の向上に役立つと予想されます。
シューフィッターの就職先
シューフィッターの主な就職先は、シューズメーカーや靴店です。このような会社や店舗に就職した場合、シューフィッターは靴売り場に出て、来店した顧客の靴選びを手伝います。
また、百貨店に就職した場合は、配属される売り場を自分で決めることはできません。しかし、シューフィッターの資格を持っていれば、靴売り場への配属が有利になるでしょう。
さらに、企業への就職はせず、自分の靴店を開業してそこでシューフィッターとして働いたり、シューズメーカーと専属契約を結んだりと、シューフィッターは独立して活動することも可能です。ただし、独立して成功するためには、シューフィッターとしての実力や豊富な経験が必要になるでしょう。そのため、メーカーや店舗で経験を積んでから独立するケースが多いようです。
シューフィッターの平均年収・MAX年収
シューフィッターの年収についての情報は乏しく、一概に平均年収を述べることはできません。しかし、靴の販売職の平均年収が300万円〜400万円であることを考えると、シューフィッターの年収も同水準だと推測されます。
ただし、勤務先や資格や勤続年数、役職によって待遇は異なり、大手の百貨店やシューズメーカーに勤めている場合であれば、その年収は500〜600万円程度になるようです。
さらに、開業もしくはフリーランスとして活動し成功したシューフィッターの中には、1,000万円を超える年収を得ている人もいます。とはいえ、そこまでの高年収を得られるのはほんの一握り。開業やフリーランスは、店の経営状況や仕事量が直接収入に影響するため、年収が高くなる可能性も低くなる可能性もあります。
シューフィッターに向いているのはこんな人
シューフィッターは、顧客に合う靴を提案することが仕事です。そのため、優れたコミュニケーション能力や接客能力を持っていることは、シューフィッターとして働く上で欠かせない要素です。これらの能力があれば、顧客のニーズを引き出しやすく、的確な提案が行えるでしょう。
また、靴のプロフェッショナルであるシューフィッターには、靴に関する知識も欠かせません。時には、靴選びの手助けだけではなく、靴の手入れやコーディネートについてアドバイスを求められることもあるでしょう。靴に対する幅広い知識を持っていればスムーズな対応ができ、顧客からの信頼感も高まります。
シューフィッターに関連する職業や資格
シューフィッターに関連する職業
シューフィッターに関連する職業には、ショップや百貨店の販売員があります。これらは、ショップや百貨店において接客を行い、洋服や小物を販売する職業です。同じように、シューフィッターも靴店や百貨店で接客販売を行うため、販売員の一種だと言えるでしょう。
また、販売する靴のデザインや製作を行うシューズデザイナーおよび靴職人も、同じ靴を扱う職業として、シューフィッターに深く関わりがあります。シューフィッターは、デザイナーや職人の手により作られた靴の魅力を顧客に伝えるという役割を担って働いています。
シューフィッターに関連する資格
シューフィッターは、靴を扱う職業です。靴はファッションアイテムのひとつであるため、接客を行う時には、コーディネートを考えた提案が求められます。そして、そんな時に役立つのが、色彩系資格の知識です。「色彩検定」や「カラーコーディネーター検定」、「ファッション色彩検定」など、色彩に関する資格は、靴の提案やコーディネートアドバイスに生かせるでしょう。
また、民間では、「スポーツシューフィッター」や「医療フットケア技術者(ペディキュリスト)」など、認定講座も数多く開かれており、これらもシューフィッターに関連する内容になっています。
-
前の記事
セールスエンジニアになるには
-
次の記事
研究・技術者(食品系)になるには