演出家になるには

  • 2020.07.21
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h2>演出家の概要や仕事内容

演出家とは?

演出家は舞台や映像作品において、役者への演技指導や照明・美術、音響効果などの指示・決定を担っています。
演出家はその作品の芸術性やエンターテインメント性が高まるように指導や指示を行っていきます。

テレビドラマや映画では監督やディレクターが演出家としての仕事を兼ねているケースが多いため、「演出家」として活躍するのは特に演劇やオペラ、バレエ、コンサートといった場所となります。

舞台や映像作品の世界は台本やシナリオに沿って演技や演舞、演奏などが行われます。
しかし、台本やシナリオに書かれているのはセリフや人物の動きが中心で、セリフの言い回しや細かい表情といった、演技するときに表現したい心情などが全て詳細に書かれているわけではありません。
そこで演出家が物語の中身やテーマ性、人物が発する言葉の意味、時代背景などを読み解いて役者が物語に合った演技を行うよう細かい指導を行っていくのです。

演劇など公演までに稽古期間が設けられている場合は、徹底的に演出家自身の考え方やイメージを役者に教え込み、演出家が思い描く公演が実現できるように努めます。
また、舞台演出に必要なステージセットや照明演出、音響効果などについても、別途舞台監督を用意していない場合は演出家自らが各スタッフにイメージを伝えて準備していきます。

アニメーションの世界における演出家の場合は、監督の意向やシナリオをきっちりと読み込んで、キャラクターの心情や服装などをどのように描いてほしいのか、作画監督やアニメーターに指示を出すのが仕事になります。

演出家の仕事内容とは?

 では、演出家の仕事の流れを簡単に見てみましょう。

 ①企画立案をする
舞台公演や映像制作を行うために、プロデューサーなどスタッフの力を借りながら企画を立てていきます。どの役者を使うか、いつ公演を行うのかなど話し合いを重ねて、スタッフや資金を集めていきます。

②台本の準備をする
演出家が自ら、または脚本家が台本を書きます。既にできている脚本を取り寄せることもあります。台本が仕上がったら演出のイメージを固めていきます。

③オーディションを行う
演出家自身が主催する劇団で公演を行う場合は、劇団員だけで公演することあります。必要に応じてオーディションを行って役者を集めます。

④稽古を行う
役者が決まったら稽古を行います。
役者を集めて台本の読み合わせを行ったあと、舞台作品なら立ち稽古と呼ばれる練習を、映像作品ならリハーサルを行います。稽古の際に演技指導を行います。

⑤公演・撮影を行う
舞台作品の場合は演出家が直接指示を出すことができるのは稽古までとなります。そのため本公演は役者たちに任せることになります。よく稽古が厳しいと言われるのは、本公演を自分の考える舞台にするためだということがわかります。
映像作品の場合は撮り直しをすることができるので、役者が納得できる演技をしてくれるまで演出を行います。

演出家になる方法(資格取得方法等)

演出家になるための特別な資格は必要ありませんし、学歴も必要ありません。
就職先によっては大卒に限定されていることもありますので、その場合は大学を卒業しておく必要があります。

しかし、演出力を磨くことや脚本を書くことは簡単ではありません。
各地で実施される演出家を育てるためのセミナーや講座に参加して演出家を目指す方法もありますが、確かな方法とは言えません。
中には自主映画作成をしたり劇団を作ったりして演出経験を積んで演出家を目指す人も居ますが、この場合もある程度の経験を経た人がすることだと考えられますので、急に始めて演出力や脚本を書く能力などが簡単に身につくとは考えられません。

演出家は役者や照明・撮影・美術スタッフなど、舞台や映像を作るために各分野のプロに自らのイメージを伝えて具現化してもらう必要があります。そのためには演出家自身の演出センスを確立してイメージを確実に伝える力を身につけておく必要があります。芸術・文化に関する知識や教養も欠かすことはできません。

これらのことから、大学や専門学校などで専門知識を得て、映像関係の企業に就職する、劇団に入団するなどして演出のスキルを磨いておかなければ演出家として活躍することは困難だと考えられます。
実際、これまで活躍している演出家はそれなりにスキルを磨いている方ばかりです。

一例として有名な演出家の経歴などを見てみましょう。
 ・蜷川幸雄
   劇団青俳に俳優として参加したが、演出のほうが向いていると考え劇団を結成、演出家に転向。

 ・つかこうへい
   慶應義塾大学在学中から劇作家・演出家として活動をする。

 ・野口秀樹
東京大学で演劇研究会に所属。同研究会を母体とした劇団夢の遊眠社を結成する。
 ・三谷幸喜
日本大学藝術学部演劇学科卒業。在学中に劇団「東京サンシャインボーイズ」を結成する。

極端な話、自分で劇団を立ち上げて演出をすれば演出家になれてしまいます。
そうは言っても役者やスタッフが無賃で働いてくれるわけもなく、資金の調達をしてから役者やスタッフを集める必要がありますので、急に劇団を始めて演出家になることはそう簡単ではないでしょう。
舞台演出家を目指す場合は、有名な演出家に倣って劇団の役者を目指したり、大学などの同志と劇団を作ったり、はたまた舞台関係者と関係を築くといった方法を取った方が確実かもしれません。

映像演出家になるとしても、まずはテレビ局や制作会社に就職をして、現場を学び、人脈を作ることや、演出家として活動されている方の指導を受けるなどして活躍できる可能性を高めていかなければなりません。

学校に行くにしても、就職するにしても、劇団を作ったり役者になったりするとしても、いずれにしても演出家のプロから様々なスキルを学び磨くことが第一歩になるのではないでしょうか。

今後の演出家の将来性

 映画は近年人気になってきていると言いますが、映画の演出家=映画監督となるようですので、少し意味合いが違うように感じます。
 ドラマも下火になっており作品数が少なく、かといってバラエティー番組も規制が多いため思い通りの作品作りはできなくなっています。

 一方でアニメは人気が上昇しているため、アニメ演出家であれば将来性があると言えるのではないでしょうか。
 舞台も、2.5次元と言われるアニメ原作の舞台がブームとなっています。
 2003年に始まった2.5次元の元祖と言われるテニスの王子様のミュージカルは今でも人気でチケットが取りにくいそうですし、近年人気の鬼滅の刃の舞台も入手困難だと言います。
 ただし、アニメ業界は収入が低いと言う問題があるため、仕事はあっても収入はさほど多くない可能性があります。

 アニメ関連は気が向かない、バラエティー番組も作ろうと思わない…と言う場合は演出家を目指すのはかなり困難かもしれません。

演出家の就職先

 演出家の主な就職先には次のような場所があります。
  ・テレビ局
  ・映像制作会社
  ・劇団
  ・バレエ団
  ・アニメーション制作会社
  ・フリーランス など

演出家の平均年収・MAX年収

 テレビ局や映像制作会社に就職して居る人の場合は、普通のサラリーマンとなりますのでそこまで高額な年収となることはないでしょう。2019年の日本人の平均年収は441万円だったそうですので、それより少し多いか少ないかぐらいでしょう。

 一方で有名な演出家になれば、年収は数千万円になることがあります。
 前述した三谷幸喜さんなどは、映画監督もなさっているしバラエティー番組にも出られていますので、(演出家としての収入とは言えませんが)年収は数千万円から数億円とも言われています。

 なお、演出家としてデビューした頃は劇団運営のため借金があったという方もいらっしゃるので、年収で言うとマイナススタートになる可能性もあります。

演出家に向いているのはこんな人

 演出家に向いている人は、自分の世界観をきちんと持っており、それをきちんと役者やスタッフに伝えることができる人です。
 多くのスタッフたちをまとめるためには、適材適所に人員などの配置を行い、しっかりとした決断力を持ち、心も体もタフでないと務まりません。

 また、時代に合った演出をすることができる能力も必須です。
 

演出家に関連する職業や資格

関連する職業

 ●役者
   演出家と役者の関係は「社長と社員」「料理人と材料」などいろいろな表現がされることがありますが、演出家によって役者がどれだけの能力を発揮するかというところになるかということだと感じられます。
   演出家の演技指導によって役者がどう作品をよくする演技ができるか、かなり密接した関係だと言えるでしょう。

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