すし職人になるには
- 2020.07.21
すし職人の概要や仕事内容
すし職人とは
すし職人は、代表的な日本食として知られるすしを握る職人です。すし店や日本料理店などに勤務し、さまざまなネタを扱い、注文に応じて顧客に提供するすしを握っています。
生ものである魚を扱うすし職人の仕事は、高度な技術が必要なものです。また、すしの中には江戸前寿司のように細かな細工を施すものもあり、これにも優れた技術が求められます。そのため、すし職人のほとんどは厳しい修行を経て腕を磨いた後に、すし職人として活躍しています。
また、すし職人は勤務する店舗の形態によって、以下の3種に分けられます。
1.一般的なすし店でのすし職人
一般のすし店、また高級すし店で働くすし職人。多くの場合、顧客の注文を直接すし職人が聞き、提供します。個人が経営している店舗が多く、職人は仕入れから握りや接客、片付けまで、幅広く担当することになるでしょう。
2.回転寿司店でのすし職人
回転寿司店で働くすし職人。レーンに回すすしや注文を受けたすしを握ります。ただし、近年多く見られるリーズナブルな回転寿司チェーン店では、シャリを握る機械を導入している店舗が大半です。
3.出張サービスでのすし職人
出張サービスを請け負っているすし職人。自宅や施設など、指定先に材料や道具を持ち込み、その場ですしを握ります。
パフォーマンスを兼ねて、イベントやパーティーに呼ばれることが多いようです。
このように、すし職人の働き方は、店舗の形態によってさまざまですが、どの場合も高度な技術で魚やシャリを扱い、すしの提供を行っています。
すし職人の仕事内容とは
すし職人の仕事内容は、勤務先によって大きく変わります。
例えば、一般的なすし店であれば、すし職人は魚の選別や下準備、握り、接客、後片付けまで全て担うことが多く、責任ある立場になれば市場での仕入れや見習い職人の指導まで行うこともあります。中でも見習い職人の仕事は、掃除や道具の手入れといった雑用が中心でしょう。
また、回転寿司店での勤務になると、仕入れやある程度の下準備などは提携の工場で行っている場合が多く、職人はひたすらすしを握ることになります。客と対面する回転寿司店であれば、接客を行うこともあるでしょう。
さらに、出張サービスを行う場合には、一連の業務の他に、運転や特別なパフォーマンスなども行うことがあります。
すし職人になる方法
すし職人になる方法には、すし店およびすし職人に弟子入りし修行を積む方法と、調理系の専門学校ですし職人のノウハウを学ぶ方法があります。
すし店やすし職人に弟子入りする場合には、長く厳しい修行が待っており、その期間の目安は10年とも言われています。ただし、その分、現場の仕事を事細かに学び、身に付けることができるでしょう。
また、すし職人養成の専門学校に通う場合には、その通学期間は数ヶ月から数年程度になり、学費はかかりますが、合理的かつ効率の良い学習が叶います。
一般的なすし店や高級すし店では、その店ならではのノウハウや接客が重要視されることが多いため、弟子入り修行を行うことが多いですが、回転寿司店などのチェーン店で勤務したいのであれば、専門学校で学ぶのが効率的でしょう。
さらに、専門学校に通った後、すし店で修行を積むケースもあります。
すし職人に求められる資格や試験
すし職人には、必須となる資格や試験はありません。すし職人の世界は実力主義であるため、資格の取得よりも、すしを握る腕前が重視されます。そのため、料理系の資格は数多くありますが、机上の知識を増やすのではなく、まずは実務の腕を磨くことに重きを置いたほうが良いでしょう。
地道な修行を積み技術が身に付けば、資格がなくとも一人前のすし職人として評価を得られるはずです。
今後のすし職人の将来性
すしは、日本の誇る代表的な食文化のひとつです。日本人はもちろん、インバウンド客にも人気が高く、多くの人々が外食するためにすし店を訪れています。また、その調理は繊細であり、修行を積んだ職人でなければ、質の高いすしは握れません。そのため、修行を積んだすし職人の需要は高く、今後も日本文化の担い手としてその活躍は続いていくでしょう。
とはいえ、近年ではチェーンの回転寿司店が増え、職人の手ではなく機械ですしを握る店舗も少なくはありません。そして、そのような手軽なすし店はファミリー層を中心に人気を博しています。このような流れを考えると、今後は機械で握る手軽なすし店と職人が握る本格的なすし店とで、住み分けが進んでいくでしょう。
すし職人として長く活躍するためには、機械には再現できないような高い握りの技術が必要です。
すし職人の就職先
ここまでにも触れてきたように、すし職人の就職先はすし店です。一般店や高級店、回転寿司店、配達すし店、出張サービスすし店など、さまざまな形態の店舗ですし職人は活躍しています。
すし店に就職するためには、昔は紹介が多かったようですが、近年では手軽にすしを楽しめる店舗も増え、求人もホームページや求人情報誌などでその情報を得られるようになりました。また、近年では女性の登用も増えているようです。
さらに、既存店への就職ではなく、自身のすし店を開業するのもひとつ。しかし、そのためにはすし店を回すノウハウや握り・接客の技術が必要になります。そのため、まずは既存店で経験を積む必要があるでしょう。
すし職人の平均年収・MAX年収
すし職人の年収は、400万円ほどが相場であると言われています。ただし、これは一人前のすし職人の場合であり、修行中の職人の年収はかなり下がると考えられます。一人前のすし職人になるためには、何年もの下積みが必要となるため、初めは収入面でも忍耐が必要でしょう。
また、この年収は勤務する店や勤続年数、実力などによっても差があります。高級店や有名店に勤めている場合は、平均よりも高年収を得られる可能性もありますが、店の経営状況や規模によっては低くなる可能性もあります。
すし職人の平均年収は日本全体の平均年収にも近いですが、仕事や修行のハードさを考えると、この年収は決して高い水準にあるとは言えません。そのため、すし職人として生きるためには仕事を愛する熱意が必要でしょう。
すし職人に向いているのはこんな人
すし職人に向いている人の条件としては、肉体的・精神的にタフであることが挙げられます。すし職人は勤務時間が長かったり立ち仕事であったりと重労働であることが多く、特に下積み時代には食材の下準備や雑用などもこなさなければなりません。先輩から叱られたり失敗をしてしまったりすることもあるでしょう。そのような仕事や修行を耐え抜くには、肉体的にも精神的にも体力が必要です。また、自分の料理を人に食べてもらいたいという思いも、厳しい仕事のやりがいに繋がるでしょう。
さらに、味や鮮度、衛生面に対する敏感さもすし職人には必要です。これは、優れたすしを提供するためだけでなく、生ものであるすしを扱うにあたっての安全性を保つためでもあります。味覚や嗅覚に優れていれば、それはすしを握る上で武器となるでしょう。
そんなすし職人の働くすし店は、顧客と向き合うカウンター式の店舗が多数。会話をしながら顧客を楽しませることもすし職人の仕事です。よって、高いコミュニケーション能力や観察力もすし職人には求められます。
すし職人に関連する職業や資格
すし職人に関連する職業
すし職人に関連する職業には、板前という職業があります。板前は主に日本料理を調理する職業のことで、場合によってはすしを手掛けることもあります。すし職人も板前も日本の食文化を支える職業であるため、関連性は深いと言えるでしょう。
また、料理を作る職業全般を料理人と呼ぶこともあります。料理人は西洋料理のコックから日本料理の板前まで、料理を生業とする職業を幅広く指すものであり、すし職人もそのひとつであると言えるでしょう。
他にも料理サービス関連の職業は多くあり、それら全てが顧客に料理を提供するという点で、すし職人と関連しています。
すし職人に関連する資格
先述のように、すし職人になるために資格は必要ありません。しかし、関連する資格はいくつか存在します。そして、そのひとつが「調理師免許」です。「調理師免許」とは、調理師法に基づいた調理の知識を認める国家資格で、料理に携わる職業に就く人の多くが取得しているものです。調理だけでなく、衛生や栄養に関する内容も含んでいるため、すし職人の仕事にも活かせるでしょう。
また、「和食検定」や「日本料理インストラクター」、「和食マイスター」などという、日本食に関する民間資格もあり、これらも日本食を扱うすし職人の関連資格に挙げられます。
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