パティシエになるには
- 2020.07.21
パティシエの概要や仕事内容
パティシエとは
パティシエとは、洋菓子を作る職業です。洋菓子店をはじめ、レストランやカフェなどに勤め、お客様に提供するケーキや焼き菓子、チョコレート菓子などを作っています。
このようにパティシエは華やかな洋菓子を扱いますが、その仕事は非常に専門的です。なぜなら、洋菓子は作る過程でのちょっとした分量の違いやコツによって仕上がりが大きく変わるため、その製作にはさまざまな知識や技術が必要であるからです。また、洋菓子は味だけでなく見た目が重要でもあるため、パティシエは味と見た目の両面で非常に繊細な仕事を果たしていると言えるでしょう。
また、このパティシエとは、フランス語で洋菓子職人を指す言葉であり、フランスにおいては、女性のパティシエはパティシエールと呼ばれています。しかし、日本では洋菓子職人全般をパティシエと呼んでおり、性別によって呼び方を変えることは少ないでしょう。
そんなパティシエは、多くの人が憧れる職業のひとつ。パティシエを目指して勉強している人も多く、現在では様々な場所で男女ともに多くのパティシエが活躍しています。
パティシエの仕事内容とは
先述のように、パティシエの主な仕事は洋菓子を作ることです。ケーキだけではなく、チョコレート菓子やクッキー、プリンなど、さまざまな種類の洋菓子を作り上げていきます。お店の規模によっては、他のパティシエと分業する場合も、1人のパティシエが全ての洋菓子を作る場合もあるでしょう。
また、洋菓子を作るための下準備や材料の発注もパティシエの大切な仕事です。使用する器具の手入れを行ったり材料の計量を行ったりと、スムーズに調理を行うための準備を事前に整えておきます。
さらに、新商品の開発も、パティシエにとって大切な仕事のひとつ。季節やイベントに応じた洋菓子を試作し、スタッフとミーティングを重ねながら商品としての提案を行います。
加えて、自営の場合には経理や人事など、店舗の運営に関わる仕事も担います。
パティシエになる方法
パティシエになるために、定められている学歴や資格はありません。しかし、洋菓子作りには専門的な知識・技術が必要であるため、パティシエを目指す多くの人は、製菓の専門学校や調理師専門学校などに入学して必要な知識や技術を身につけ、卒業後にパティシエとして就職するのが一般的です。
また、中には未経験でパティシエの現場に見習いとして入り経験を積んだ後、本格的にパティシエとして働くケースもあります。けれども、その場合は修行をした店によって学ぶ内容が異なるため、店を移動した場合にノウハウの違いが生まれる可能性はあるでしょう。
どちらの場合も、優れたパティシエになるためには洋菓子作りの実力が必要です。よって、常に腕を磨く努力が求められます。
パティシエに求められる資格や試験
パティシエには、必須となる資格及び試験はありません。パティシエとして就職できれば、誰でもその仕事を担うことができます。
ただし、パティシエの業務に役立つ資格はいくつか存在し、中でも「製菓衛生師」という資格は洋菓子作りの実務に深く関わる内容となっています。
この「製菓衛生師」資格とは、菓子作りや食の安全などを内容に含む国家資格で、取得すると「製菓衛生師」を名乗って働くことができます。多くのパティシエが取得しており、特に専門学校に通っていたパティシエの資格保有率は高いようです。この資格は、パティシエの実務にはもちろん、就職の際にも役立つものなので、勉強しておいて損はないでしょう。
ただし、「製菓衛生師」の国家試験を受けるためには、以下のいずれかの条件を満たしていなければなりません。
●「製菓衛生師」試験受験資格
1.学校教育法第57条に規定する者であって、都道府県知事の指定する製菓衛師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識及び技能を修得したもの
2.学校教育法第57条に規定する者であって、2年以上菓子製造業に従事したもの
(厚生労働省HPより引用https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000065164.html)
つまり、製菓系の専門学校で1年以上規定のカリキュラムを学んだ者、もしくは菓子製造業に2年以上就いた者でなければ、この試験は受けられないのです。
試験の詳細に就いては、次章でご紹介しましょう。
難易度や試験について
「製菓衛生師」国家試験の合格率は例年70〜80%程度で、難易度はさほど高くはありません。しっかりと内容を押さえていれば、取得を目指せるでしょう。
試験の概要は以下の表をご覧ください。
受験日程 | 6月 |
受験料 | 9,500円 |
試験会場 | 各都道府県指定会場 |
試験形式 | マークシート |
試験時間 | 約2時間 |
受験資格 | 前章をご覧ください。 |
合格条件 | 得点率60%前後 |
※2020年の概要です。また、これらは都道府県によって異なり、ここでは東京都の場合を記載しています。
今後のパティシエの将来性
ここまでも述べてきたように、パティシエには洋菓子作りの専門的な知識と技術が必要です。そのため、他の職業の人が代替することはできず、また洋菓子自体の需要が減少する可能性も低いため、パティシエという職業の需要は今後も保たれるでしょう。
しかし、洋菓子を出す店は多く、新商品もどんどん生み出されるなど、パティシエ界の競争は激しいのが現状です。よって、パティシエとして長く活躍するためには、顧客を魅了する味・見た目の商品作りが必要であり、それを生み出すための実力も求められます。
つまり、パティシエとしての将来性は、パティシエとしての実力を高められるかどうかに掛かっていると言えるでしょう。
パティシエの就職先
パティシエの主な就職先は、洋菓子店やカフェ、レストラン、ホテルなどです。洋菓子店に勤めるパティシエは店頭で販売する洋菓子を作り、カフェやレストランなどに勤めるパティシエはそこで食事をするお客様に出す洋菓子を作ることになります。
また、パティシエの求人自体は多くはありませんが、一定の需要はあるため、就職先を見つけるのは困難ではないでしょう。しかし、採用されるためには実力や実績が重視され、場合によっては見習いからスタートということも少なくはありません。
さらに、このような先に就職せず、自身で店舗を開業するパティシエも多くいます。その場合は比較的自由な業務が叶い、経営状況によっては所得が増える可能性もありますが、その分大きな責任を負うことにもなるでしょう。
パティシエの平均年収・MAX年収
パティシエの平均年収は300万円ほどが相場で、これは月給に換算すると19万円〜25万円ほどになります。
しかし、パティシエには洋菓子店やレストランなどに雇用されるケースと自身の店舗を開業しているケースがあり、それによって年収には差があります。雇用されている場合の年収はご紹介した平均年収ほどになることが多いですが、開業している場合にはその店の人気や売上が年収に直結するため、平均年収より高い年収を得ていることも、逆に年収が低いこともあるでしょう。
また、勤め先やその規模、勤続年数、役職などによっても年収は変わるため、総合的に見てパティシエの年収には大きな幅があると言えます。
パティシエに向いているのはこんな人
パティシエには、洋菓子が好きで、さらに洋菓子作りや料理が得意な人が向いています。洋菓子作りには大変な労力が必要となり、また専門的な知識や技術も求められるため、洋菓子に対する熱意や洋菓子作りおよび料理の技術がなければ、パティシエの仕事は務まらないでしょう。
また、ケーキをはじめとした洋菓子は、見た目も大切。細やかなデコレーションや優れた色遣いが商品の人気を左右します。そのため、手先が器用で優れたデザインセンスを持っていることも、パティシエになるためには必要な要素だと考えられます。
さらに、パティシエの仕事の中には、重い材料を運んだり長時間材料を混ぜたり捏ねたりといった力仕事も少なくはありません。クリスマスやバレンタインなどの繁忙期には、勤務時間が長くなることもあるでしょう。よって、体力に自身がある方も、パティシエには向いています。加えて、洋菓子作りでは材料の分量を正確に計ることが重要なので、几帳面な性格だとなお良いでしょう。
パティシエに関連する職業や資格
パティシエに関連する職業
パティシエに関連する職業には、ブーランジェと呼ばれるものがあります。これは、ブーランジェリー、つまりパン屋で働くパン職人を指す言葉であり、パティシエが洋菓子を作るようにパンを作り、お客様へと提供しています。
また、チョコレート菓子を製作するショコラティエも、パティシエの関連業と言えるでしょう。チョコレート菓子を手掛けるという点でこれらの職業は共通していますが、パティシエが洋菓子全般を手掛けるのに対し、ショコラティエはチョコレート菓子のみを専門に手掛けるという違いがあります。
さらに、洋菓子ではなく和菓子を扱う職人は和菓子職人と呼ばれ、これも種類は違うものの菓子を製作するという点で、パティシエに関連する職業だと言えます。
パティシエに関連する資格
パティシエに関連する主な資格をご紹介します。
- 菓子製造技能士
- 食品衛生責任者
- 製菓アドバイザー
- スウィーツスペシャリスト
- お菓子作りパティシエ
- スイーツコンシェルジュ
これらは全て菓子作りに関連する資格ですが、その内「菓子製造技能士」と「食品衛生責任者」は国家資格であり、その他は民間資格になります。
パティシエの場合は、先ほどご紹介した「製菓衛生師」の他に、国家資格である2種の資格を取得することが多いようです。
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