農家になるには

  • 2020.07.21
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農業の概要や仕事内容

農業とは

農業は、農作物を育成・生産する職業です。田畑に苗を植えて米や野菜などを育て、育った作物を
出荷し、市場に供給しています。農業を営む農家が育てる作物は、米や野菜をはじめ、果物や生花、穀物、畜産など幅広く、中には繊維製品へと加工される綿や麻といった作物も手掛けています。つまり、農業は食以外の面でも私達の生活を支えていると言えるでしょう。
また、農業を行う農家は、生計の立て方によって大きく以下の2種に分けられます。

・専業農家→世帯に兼業従事者がおらず、農業のみで生計を立てている農家。
・兼業農家→農業以外の収入がある兼業従事者が世帯に1人以上いる農家。

さらに、近年では以下のように分けられることもあります。

・販売農家→ 経営耕地面積が30a以上、または農産物販売金額が50万円以上の農家。さらに以下の3種に分けられます。
 1.主業農家→ 農業所得が所得の50%以上であり、65歳未満かつ農業従事日数60日以上の者がいる農家。
 2.準主業農家→ 農業以外の所得が所得の50%以上であり、65歳未満かつ農業従事日数60日以上の者がいる農家。
 3.副業的農家→ 1年間に60日以上農業に従事しておらず、また65歳未満の世帯員がいない農家。

・自給的農家→ 経営耕地面積30a未満、かつ農産物販売金額が年間50万円未満の農家。

そんな農業界の抱える問題は、従事者の高齢化および後継ぎ問題の深刻化です。とはいえ、近年ではIT技術の導入による農作業の効率化が進み、若年層の農業従事者も増加傾向にあります。さらに、農家としての働き方も多様化しており、今後の農業は時代に合わせた形で変化を遂げながら、人々の生活を支えていくものと考えられます。

農業の仕事内容とは

農業の主な仕事は、農作物を育てることです。土壌を整えて苗を植え、肥料を与えたりシートを張ったりと、作物の成長や気候に合わせて必要な世話を行っていきます。手作業だけでなく、時には農業機器を用いながら農作業をこなし、成長した農作物は随時収穫していきます。また、農家は農作物を収穫した後には、出荷のための洗浄や梱包も行います。自ら店舗や市場へ納品に行くこともあるでしょう。
さらに、農業では多くの場合、このような農作物の育成だけでなく、農作物の育成方法の追求や経営戦略の思案、収支の管理なども自身で行います。
このように、農業の仕事は実際に農作物に触れる仕事から事務仕事まで多岐にわたり、加えて、より良い農作物を作るための努力も行っています。

農業になる方法

農業には、規定された学歴や資格はなく、いつでも誰でも始められます。しかし、農地に使用する土地の購入・借用には「農家資格」というものが必要です。この「農家資格」についての詳細は、次章でご紹介しましょう。
また、実際に農業を行うためには、専門的な知識や技術が必要です。そのため、農家を目指す方は、「農業高校・大学で学ぶ」「農家のスタッフとして働く」など、必要な知識・技術を身に付けてから自身の農地を開くケースが多く、また農家の家庭に生まれて農地を受け継ぐケースも見られます。
ただし、農業は植物を相手にする仕事であるため、その育成や生産は一筋縄ではいきません。そのため、事前の勉強だけではなく、実務の中でも常に勉強や創意工夫が必要になるでしょう。

農業に求められる資格や試験

先ほども触れたように、農業をするにあたって必須となる資格や試験はありませんが、農地の購入や借用にあたっては「農家資格」の取得が必要です。これは各市町村における農業委員会によって認定されるものであり、農地法第3条で定められています。この「農家資格」は、格市町村の農業委員会に認定申請書や営農計画書といった書類を提出し、農地基本台帳に登録されると取得できるため、一般的な資格のように学習や試験は必要ありません。
また、農業を行うにあたっては「普通自動車免許」はもちろん、農耕車を扱うための「大型特殊自動車免許」や「牽引免許」、農薬や重油を扱うための「毒物劇物取扱者免許」や「危険物取扱者免許」などが必要になることもあります。
自身が扱う農法や農機具によって持っておかなければならない資格は変わるため、事前によく確認しておきましょう。

今後の農家の将来性

日本の農家の数は、年々減少しています。この大きな要因は高齢化であり、跡継ぎ問題も相まって、農業従事者は少なくなっています。
しかし、だからといって農作物の生産額が大幅に減少しているわけではありません。近年の農業総産出額は9兆円を超え、やや増加傾向にあります。
そして、このような背景には、農業従事者1人あたりの生産数の増加があり、これは技術の発展や若い農家の台頭などによるものだと考えられます。実際に、農業ではさまざまなIT技術による効率化が進んだり、若い世代の新規参入が進んだりしており、また「週末だけ」「手が届く小規模な畑で」といったような個々のライフスタイルに合った働き方も増えています。つまり、農業の総従事者は減っているものの、若年者や技術は盛んに参入し、生産効率も高まっているのです。また、農作物自体は人の生活に欠かせないものであり、これからもそれが変わることはありません。さらに、国からも農業従事者を増やすための政策が行われています。
よって、農家の将来性は決して低くはなく、うまく技術を取り入れた生産ができれば、今後の伸び代も期待できると言えるでしょう。

農業の就職先

農業界への就職先は、個人事業主の農家もしくは農業法人です。農家や農業法人にスタッフとして就職することも、自身が農家になることもできますが、後者の場合に農地を購入・借用するには、先述のように農家資格の取得が必要です。
また、農家ではアルバイトやパートを募集することも多く、特に繁忙期などには期間限定のスタッフを雇う農家が多数あります。農業に興味がある人は、まずはこういった求人に応募し、農業の現場を体験してみるのも良いでしょう。

農業の平均年収・MAX年収

農家の平均年収は、畑の規模や生産量、作物の種類などによって大きく異なります。また、同じ農家であっても収穫や販売の状況はその都度違うため、毎年年収は変わってくるでしょう。このように、個々の条件によって農家の年収額には大きな幅があるため、農家の平均年収は一概には言えません。農家の年収だけでは十分ではないため、他の仕事と兼業している農家もあるでしょう。ただし、人気の高い作物の生産に成功したり新技術の投入により効率的な生産を叶えたりして非常に高い年収を得ている農家も少なくはなく、その場合の年収は日本全体の平均年収を大きく超えることもあります。

農業に向いているのはこんな人

農業は、力仕事や立ち仕事が多い職業です。そのため、農業を行うためには体力が必須。気温の変化や日差しに負けず一日中野外で働くこの仕事は、タフでないと務まらないでしょう。
また、農業では地道な作業をコツコツと続けて作物を育てます。作物は生きているため放置することはできず、時には天候や災害によりうまく作物が育たなかったということもあるでしょう。そのため、地道な努力を続けることができ、体力面に加え精神面でもタフであることも、農業をするにあたっては必要であると考えられます。
さらに、自然や植物が好きであることも、農業を行う上で重要です。人や機械に囲まれた仕事ではなく、自然の中で仕事ができることにやりがいを感じられれば、農業という仕事により力を入れて取り組めるためです。自然に囲まれた田舎暮らしに憧れている方も、その要素があると言えますね。
ただし、農業は決して優しいものではなく、収入面でも一定のリスクを伴う仕事です。リスク管理や将来的なビジョン形成などをしっかりと行っていなければ、災害や不作など何か問題があった時に対応できません。よって、そういったデメリットについてもしっかりと理解している方ほど、農業に向いていると言えるでしょう。

農業に関連する職業や資格

農業に関連する職業

農業に関連する職業には、漁業(漁師)があります。これらは第一次産業にあたる職業であり、どちらも自然を相手にするという点で関連性が高いと言えるでしょう。
また、動物を育てて製品を生産する酪農や畜産にも、農業との関連性が見られます。これらには動物と植物という対象の違いはあるものの、どちらも育成・生産というプロセスを踏む職業であるためです。これらは農業の一種とも言えるかもしれません。
なお、こういった職業は、全て自然からの影響を大きく受けるものであり、また社会的な変化も相まって、従事者は減少傾向にあります。とはいえ、これらは人々の生活の基礎を支える職業でもあるため、今後も私たちが問題なく野菜や魚を口にするためには、何らかの新たな対策が求められるでしょう。

農業に関連する資格

農業に関連する資格には、先ほどご紹介した以外にも以下のようなものがあります。

  • 日本農業技術検定
  • 日本農業検定
  • 農薬管理指導士
  • 農業簿記検定
  • 農業機械士
  • 土壌医検定
  • 水田環境鑑定士
  • 野菜栽培士
  • 産業用マルチローターオペレータ技能認定証

農業に関する資格には、農業や栽培全般に関わるものや特定の業務に関わるものなど幅広く、このような農業に関する知識は、農家の実務に大きく役立ちます。さまざまな農業のノウハウを身につけるためは、これらの資格について勉強しておくのもひとつでしょう。

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