通訳ガイドになるには

  • 2020.05.14
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通訳ガイドの概要や仕事内容

通訳ガイドとは

通訳ガイドとは、訪れた外国人を案内する職業です。日本の場合で言えば、来日した外国人に対し、主に日本の名所や観光地などを紹介・案内したり買い物や飲食のアドバイスをしたりと、彼らが快適に日本の旅を楽しめるようなサポートを行ないます。

また、通訳ガイドが担当する外国人は外国語のみを話すことが多いため、ガイドはそれに対応し、外国語での受け答えや店員への翻訳などを行わなくてはなりません。そのため、このような職業は「通訳」ガイドと呼ばれており、外国語能力の高い日本人や、日本に詳しく日本語にも堪能な外国人などがその役割を果たしています。
近年、インバウンド客が増加し、あらゆる観光地に外国人が訪れるようになりました。アジアを中心にさまざまな国の人々を目にすることも増えたのではないでしょうか。そして、このような流れに伴い通訳ガイドの活躍も増えており、彼らは外国人客を案内しながら、日本の魅力やマナーを伝えたり店員との橋渡しをしたりと、重要な役割を担っています。

通訳ガイドの仕事内容とは

通訳ガイドの仕事はツアーコンダクター(添乗員)と似ており、担当する外国人客に対しさまざまなサービスを行います。具体的な仕事の例を見てみましょう。

  • 観光案内
  • ゲストの出迎え
  • 宿泊チェックイン、チェックアウト
  • 観光スケジュール作成
  • 買い物・飲食サポート
  • 荷物管理

このように、通訳ガイドはゲストの旅行に関して総合的にサポートを行います。体調管理や言語、マナーなどの点でも細やかな気遣いが必要になるため、同行中の勤務はかなりハードであると考えられます。

通訳ガイドになる方法

通訳ガイドは、学歴や年齢に関係なく目指すことができる職業です。しかし、実際に通訳ガイドとして働くためには、「通訳案内士」という資格を取得し、都道府県に通訳ガイドとして登録するのが一般的です。この資格については、次章で詳しくご紹介しましょう。また、旅行業法では、添乗を行う者のうち最低1人は「旅程管理主任者」という資格を保持していなければならないとされており、この資格取得も通訳ガイドを目指すプロセスとして有効であると考えられます。
さらに、通訳ガイドを目指すなら、資格取得前に大学や専門学校で観光学や語学を学んでおくのもおすすめです。学校で通訳ガイドの基礎となるこれらの知識を身に付けておけば、その後の資格取得はもちろん、通訳ガイドとして働く際の実務にも役立つでしょう。

通訳ガイドに求められる資格や試験

先述のように、通訳ガイドには、必須ではないものの、「通訳案内士」と「旅程管理主任者」という資格の取得が有効です。「旅程管理主任者」資格はツアーに同行する添乗員のうち最低1人が保持していれば良いとされていますが、通訳ガイドは1人でガイドを行う場合もあるため、この資格はできるだけ取得しておいた方が良いでしょう。
一方、「通訳案内士」資格は通訳ガイドにとって必須となるものであり、以前はこの資格を保持していなければ通訳ガイドとして働くことはできませんでした。平成30年4月からは「通訳案内士」資格がなくても有償でのガイドが行えるようになりましたが、この資格は通訳ガイド業務に大きく役立つため、持っていて損はないでしょう。そこでここでは、「通訳案内士」資格について概要をご紹介しましょう。

通訳案内士とは

通訳案内士とは、通訳案内士としての知識や能力を測るために行われている資格試験であり、これは通訳案内法で定められている国家資格です。正式名称は、全国通訳案内士と呼ばれています。
通訳案内士の試験では、日本の地理や歴史はもちろん、外国語知識も問われ、その言語は下記の中から選べます。

  • 英語
  • フランス語
  • スペイン語
  • ドイツ語
  • 中国語
  • イタリア語
  • ポルトガル語
  • ロシア語
  • 韓国語
  • タイ語

また、試験は筆記形式の1次試験と口述形式の2次試験に分かれており、どちらもの試験に合格してはじめて、全国通訳案内士として都道府県に登録することができます。

難易度や試験について

2019年度の通訳案内士試験合格率は8.5%であり、受験者は約7,200人に対し合格者は約620人でした。この合格率からもわかるように、試験の難易度はかなり高いと予想されます。資格取得には、かなりの努力が必要でしょう。
試験の詳細については、以下の表をご覧ください。

1次試験(筆記) 2次試験(口述)
受験日程 8月 12月
受験料 1ヶ国語11,700円/2ヶ国語23,400円
試験会場 札幌、仙台、新潟、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、熊本、沖縄、ソウル、台北(選択言語による) 東京、大阪、福岡(選択言語による)
試験形式 マークシート、記述 口述
試験時間 10:00〜17:00(休憩あり) 不明
受験資格 特になし 筆記試験合格者

※2019年の概要です

今後の通訳ガイドの将来性

先述のように、近年観光目的で来日する外国人が増えています。そして、少し前までは中国人観光客が中心であった訪日観光客の国籍も、タイやベトナム、シンガポールなど多様になりました。また、海外旅行先としての日本の人気は非常に高く、政府もそれを推奨しているため、今後もこの流れは続くと予想されます。その中で、通訳ガイドが果たす役割は大きく、今後も需要は高まるでしょう。
ただし、通訳ガイドを務めるには高いスキルが必要です。多様な言語が必要になることも予想されるため、通訳ガイドとして活躍するためには大きな努力が求められるでしょう。

通訳ガイドの就職先

通訳ガイドの主な就職先は、各旅行会社です。通訳ガイドとして採用されれば、自社の開催する旅行ツアーにおいてガイドを行うことになります。
また、通訳ガイドにはフリーランスとして働く方も多数います。その場合は、日本観光通訳協会や旅行代理店に通訳ガイドとして登録を行い、依頼された仕事を行う形になるでしょう。
先ほどご紹介したように、現在は通訳ガイドを行うにあたって資格の取得は義務付けられていませんが、「通訳案内士」資格を取得しておけば、就職にはもちろん、フリーランスの仕事斡旋においても有利になると考えられます。

通訳ガイドの平均年収・MAX年収

通訳ガイドはフリーランスで活動している方々多く、正確な平均年収を述べることはできません。メインの仕事として通訳ガイドを行っている場合と副業として行っている場合とでも収入には差があり、年収が400万円を超えている方も、100万円以下の方もいるようです。

ただし、日本の平均年収が400万円代であることを鑑みると、その水準はあまり高くないと言えるでしょう。とはいえ、高いスキルや人気を誇るガイドであれば、より高い年収を得られる可能性もあります。
また、特にフリーランスの通訳ガイドの報酬は案件ごとに支払われることも多く、1案件35,000円程度〜60,000円程度と、案件あたりの相場報酬にも幅があります。

通訳ガイドに向いているのはこんな人

通訳ガイドは、外国人を相手に外国語を話しながら旅行のサポートを行います。そのため、外国語が得意な方や旅行が好きな方は、通訳ガイドに向いていると言えます。さらに、顧客のニーズを汲んだり楽しませたりするためには、優れたコミュニケーション能力も必要となるでしょう。
また、旅行にはさまざまなトラブルやスケジュール変更が起こりやすく、ガイドはその都度適切な対応をしなければなりません。そんな時にうまく対応を行うには、高い判断力や柔軟性、そして気遣いが求められると考えられます。
加えて、言語や地理・歴史など、外国人旅行者に楽しんでもらうための知識を増やす努力ができれば、優れた通訳ガイドとして活躍できるでしょう。

通訳ガイドに関連する職業や資格

通訳ガイドに関連する職業

通訳ガイドに関連する職業としては、ツアーコンダクターが挙げられます。ツアーコンダクターは外国人の通訳を行うわけではありませんが、通訳ガイドと同じように旅行ツアーに同行し、お客様のサポートを行う職業です。
また、ツアーの旅程を組み必要な手配などを行うツアープランナーや、海外旅行に必要な手配を行うツアーオペレーター、バスツアーにおいて観光案内を行うバスガイドなども、通訳ガイドと同じ旅行業のひとつであり、深く関連する職業だと言えるでしょう。

通訳ガイドに関連する資格

通訳ガイドに関連する資格は、先ほどご紹介した「通訳案内士」の他にも、以下のようなものがあります。

  • 総合旅行業務取扱管理者
  • 国内旅行業務取扱管理者
  • 総合旅程管理主任者
  • 国内旅程管理主任者
  • 旅行地理検定
  • 世界遺産検定
  • 歴史能力検定
  • 観光英語検定

これらは全て旅行業に関連する資格です。特に「総合・国内旅程管理主任者」の資格は、取得しておくことで通訳ガイドの仕事の幅が広がるでしょう。また、地理や歴史に関する検定も、観光案内に生かすことができます。
さらに、「TOEIC」や「中国語検定」、「フランス語検定」などの語学系資格も有効です。これらは、通訳ガイドの就職や仕事斡旋、または実務に役立つでしょう。

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