あん摩マッサージ指圧師の概要や仕事内容

あん摩マッサージ指圧師とは

あん摩マッサージ指圧師とは、あん摩やマッサージ、指圧などの手技により、人の体の不調を和らげる職業です。

「あん摩」とは、「押さえる」「撫でる」を意味する言葉であり、あん摩マッサージ指圧師は、主に「撫で」「揉み」「押し」「さすり」といった手法を使い、東洋医学の考え方に基づいた治療を行います。また、マッサージは元々ドイツ医学から来たものであると言われており、あん摩とマッサージ、指圧を使い分けるこの職業は、海外の療法が伝わった江戸時代・明治維新以降、日本独自に進化してきたものであると考えられます。

体に負担の少ないあん摩マッサージ指圧師による施術は、老若男女問わず多くの人にとって欠かせないものとなっており、現在ではさまざまな店舗や施設でその施術が活用されています。

あん摩マッサージ指圧師の仕事内容とは

あん摩マッサージ指圧師の仕事内容は、患者が抱える不調や痛みをあん摩、マッサージ、指圧の技術を用いて緩和することです。症状に応じて療法を使い分けながら、患者ひとりひとりに適した施術を行なっていきます。
また、あん摩マッサージ指圧師は必要に応じて、ミーティングやヒアリング、書類作成、予約管理などを行い、時には店舗や施設運営のための清掃や電話・メール対応なども行います。
特に、独立して開業している場合には、経理や人事など店舗の経営に伴う業務もこなさなければならないため、仕事量は多くなるでしょう。

あん摩マッサージ指圧師になる方法

あん摩マッサージ指圧師になるためには、高校卒業後にあん摩マッサージ指圧師養成カリキュラムがある学校で学び、その後「あん摩マッサージ指圧師」の国家試験を受けなければなりません。この試験に合格すれば、あん摩マッサージ指圧師として働くことができるため、その後は就職活動を行うことになるでしょう。
マッサージ店や各種施設などの採用試験に応募し合格すれば、それぞれの就職先であん摩マッサージ指圧師としての実務を行えます。あん摩マッサージ指圧師の活躍する分野は広いので、働き方ややりがいに関する自身のニーズを明確にした上で、就職活動を行うと良いですね。
必要な学歴や国家試験についての詳細は、次章以降でご説明します。

あん摩マッサージ指圧師に求められる資格や試験

先述の通り、あん摩マッサージ指圧師には、「あん摩マッサージ指圧師」資格が求められます。
この資格は「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」に基づいて厚生労働省が実施している国家資格であり、受験には条件が定められています。その条件とは、あん摩マッサージ指圧師の養成カリキュラムがある大学、短大、専門学校などで3年以上学び、必要科目を修了していること。この条件を満たして初めて、「あん摩マッサージ指圧師」国家試験の受験資格が得られるのです。
国家試験の詳細については、次章でもご説明しましょう。

難易度や試験について

2019年のあん摩マッサージ指圧師国家試験合格率は、86.8%でした。この数字の高さを鑑みると、きちんとカリキュラムを経ておけば、試験自体は難しいものではないと考えられます。
試験の概要については、以下の表をご覧ください。

※2020年現在の概要です。

今後のあん摩マッサージ指圧師の将来性

近年、マッサージはさまざまな分野で取り入れられるようになりました。スポーツやリバビリをはじめ、医療や介護の現場でも、その効果が期待されています。そして、高齢化社会である日本において、そのニーズはますます高まっていくと考えられます。セルフメディテーション推進の観点から考えても、あん摩マッサージ指圧師の需要は高く、将来性も期待できるでしょう。

しかし、マッサージ店は数多く存在し、その中にはマッサージではなくリラクゼーションなどを謳うことによって無資格者が働いているケースも多く見られます。そのため、店舗同士の競争がかなり激しいというのが現実です。長くあん摩マッサージ指圧師として活躍するためには、技術やサービス、宣伝などさまざまな努力が必要でしょう。

あん摩マッサージ指圧師の就職先

あん摩マッサージ指圧師は、さまざまな分野で活躍しています。その主な就職先としては、以下のようなものがあります。

• 治療院
• マッサージ、リラクゼーション店
• 整形外科
• リバビリ施設
• スポーツクラブ
• スポーツ実業団
• 介護系施設

このように、あん摩マッサージ指圧師の就職先は病院やマッサージ店、スポーツクラブなど幅広く、近年では特に介護分野での求人が多く出されています。また、マッサージ店の数も増えており、求人数は比較的多いと予想されるため、就職自体は難しくはないでしょう。
しかし、病院やスポーツ実業団などへの就職は数が少ないため難しく、採用を勝ち取るには優れた技術が求められます。

あん摩マッサージ指圧師の平均年収・MAX年収

あん摩マッサージ指圧師の年収は、300万円〜400万円が相場であるようです。
しかし、実際の待遇は就職先や勤務形態、実績などによって大きく違うため、個々での年収の差は大きいと考えられます。また、指名数によって手当が発生するケースが多いため、人気のあるあん摩マッサージ指圧師であるほど、年収は上がるでしょう。
とはいえ、店舗や施設に所属するあん摩マッサージ指圧師の年収の上がり幅は、さほど大きくはありません。そのため、独立して開業する指圧師も多くいます。開業した店舗がうまくいけば、より高い年収を得られる可能性がありますが、その競争率は高く、運営は決して簡単ではないでしょう。

あん摩マッサージ指圧師に向いているのはこんな人

あん摩マッサージ指圧師は、自身の手や指により指圧を行います。圧をかけるには全身を使うため、腰や脚にも負担がかかる仕事です。そのため、あん摩マッサージ指圧師には、体力に自信がある人が向いています。時には長時間の施術を行うこともあるため、それに耐えられるスタミナは必要でしょう。
また、不調を抱えている患者の信頼を得るためには、相手の気持ちをよく考えられることやコミュニケーション能力に優れていることも大切です。患者の容態を理解し、しっかりとコミュニケーションを取りながら施術を進めなければ、効率的で正確に不調を回復させることはできないでしょう。
他にも、技術面はもちろんサービス面でも努力を続けられれば、患者からの信頼や人気が得られると考えられます。

あん摩マッサージ指圧師に関連する職業や資格

あん摩マッサージ指圧師に関連する職業

あん摩マッサージ指圧師に関連する職業には、「柔道整復師」や「鍼灸師」があります。これらはどちらも外科的治療や投薬治療を行わずに患者の不調を改善する職業であり、柔道整復師は「柔道整復師」の国家資格を、鍼灸師は「はり師」と「きゅう師」の国家資格を保有しています。
また、「整体師」や「カイロプラクター」なども、手技により体を整える職業として、治療院やマッサージ店などで活躍しています。

あん摩マッサージ指圧師に関連する資格

あん摩マッサージ指圧師に関連する資格には、先ほども述べた「柔道整復師」や「はり師」、「きゅう師」などがあります。これらは全て国家資格であり、その中でも「はり師」と「きゅう師」資格は、「あん摩マッサージ指圧師」とともに取得する方が多数います。
また、マッサージ系の民間資格は多く存在しており、国家資格のみならず、民間資格の中からも関連資格を取得しておけば、施術の幅が広がるでしょう。