テキスタイルデザイナーになるには
- 2020.02.28
テキスタイルデザイナーの概要や仕事内容
テキスタイルデザイナーとは
テキスタイルデザイナーは、テキスタイルのデザインを行う職業で、このテキスタイルとは、アパレル製品やインテリア製品における布織物を指します。つまり、テキスタイルデザイナーは、アパレルやインテリアの元となる、布織物の素材や柄を専門的にデザインするデザイナーなのです。
また、これらの織物はファブリックとも呼ばれますが、その場合は織物だけでなく編み物も加えたより広い意味になります。
ファッションデザイナーよりも聴き慣れないテキスタイルデザイナーという職業ですが、その仕事は古くから世界中で培われ、国や地域によって特徴あるテキスタイルのパターンが生み出されてきました。そういった伝統的な要素もテキスタイルの魅力であり、現在でも古い時代からのテキスタイルが継承され続けている製品が存在します。
テキスタイルは、製品の素材となる布です。それは製品の根幹となるものであるため、テキスタイルデザイナーの仕事は製品の出来を左右するものであると言えるでしょう。
テキスタイルデザイナーの仕事内容とは
先述のように、テキスタイルデザイナーの仕事は、製品の元となる布織物をデザインすることです。具体的には布織物の素材や色を決めたり、柄をデザインしたりします。
ここでは、テキスタイルデザイナーの仕事内容を挙げてみましょう。
- 打ち合わせ(デザイナー・担当者)
- コンセプト・プラン立案
- 素材選定(繊維・糸)
- パターン(柄)作成
- 素材開発
- 加工案立案(染色・縫製)
- 業者選定
- サンプル作成
- 修正
テキスタイルデザイナーは、関連するデザイナーや企画担当者と綿密な打ち合わせを行い、イメージを共有しながら、それにマッチするテキスタイルをデザイン・開発していきます。ちょっとした色味の差やパターンのラインによっても完成品の雰囲気は変わるため、イメージ通りの製品を生み出すにはセンスと根気が求められるでしょう。
テキスタイルデザイナーになる方法
テキスタイルデザイナーになる方法としては、以下のような方法が挙げられます。
学校で学ぶ
ファッションの専門学校や美術大学に入り、テキスタイルデザインの基礎を身に付ける方法です。中にはテキスタイルコースがある美術大学も存在します。
学生のうちにテキスタイルデザインを学んでおけば、就職後に即戦力として働ける他、学歴を就職活動に活かせるでしょう。
製品メーカーに就職する
アパレルメーカーやインテリアメーカーに就職すれば、テキスタイルデザイナーとして働ける可能性が生まれます。ただし、そのためには商品企画部やデザイン部に所属できなければなりません。またその場合、テキスタイルデザインだけでなく、製品全体のデザインを手掛けることも多いようです。
生地メーカーに就職する
繊維・素材メーカーや生地問屋など、生地そのものを扱う会社に就職するのも、テキスタイルデザイナーとして働くためのひとつの方法です。
この場合は、アパレルメーカーやインテリアメーカーなど、クライアントの依頼を受けてテキスタイルデザインを行うこともあるでしょう。
他には、デザイン事務所などでもテキスタイルデザインの仕事を請け負っている場合があります。
テキスタイルデザイナーに求められる資格や試験
テキスタイルデザイナーになるにあたって、必須となる資格や試験はありません。
しかし、テキスタイルに関連する資格としては、衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)という資格が存在します。ここでは、その概要をご紹介しましょう。
衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)とは
衣料管理士(テキスタイルアドバイザー)とは、一般社団法人日本衣料管理協会が実施する認定資格です。テキスタイルアドバイザーを略してTAと呼ばれることもあります。
これは、繊維製品を企画したり生産、販売したりする場合において、活躍できる知識や技術を学び、スペシャリストとして認定するものです。
レベルは1級と2級に分かれており、企画から消費者対応まで学べるため、テキスタイルデザイナーはもちろん、販売員の実務にも役立ちます。
難易度や試験について
衣料管理士の認定資格を取得するには、試験は必要ありません。ただし、協会が認定した大学や短大で4つの専門分野を学び、単位を取得する必要があります。いつでも試験を受けて資格を取得できるのではなく、大学で学ばなければならないという点では、難易度は高いと言えるでしょう。
●単位を取らなければならない専門分野
1.材料(繊維学、材料学、統計学等)
2.加工・整理(染色加工学、繊維加工学等)
3.企画・設計・生産(アパレル企画論、アパレルデザイン論等)
4.流通・消費(生活行動論、ファッションビジネス論等)
●取得必要単位
1級衣料管理士→43単位以上(4年制大学)
2級衣料管理士→28単位以上(2年制短大)
今後のテキスタイルデザイナーの将来性
テキスタイルデザイナーは、多くの国々で長く続いてきた伝統ある職業です。
しかし、近年の日本のファッション業界は、厳しい状況が続いています。ファストファッションの台頭や、中国・韓国などで生産される安価な洋服の増加により、人々が手に取る洋服の価格が低下傾向にあるためです。日本国内で生産されるテキスタイル・ファッションアイテムは、質が高い分価格が張ることも多いため、日本国内のメーカーや問屋は苦戦を強いられています。
そのため、日本でテキスタイルデザイナーとして活躍していくことは、決して簡単なことではないでしょう。ただし、値段が高くても買いたいと消費者に思わせるような、付加価値のあるデザインを行えるテキスタイルデザイナーであれば、今後も活躍が見込め、日本のファッション業界全体にも貢献できると予想されます。つまり、テキスタイルデザイナーとしての将来性を広げるためには、実力やセンスが必要なのです。
テキスタイルデザイナーの就職先
テキスタイルデザイナーの就職先は、何のテキスタイルをデザインするかによって変わります。洋服のテキスタイルを行いたいならアパレルメーカー、インテリアのテキスタイルを行いたいならインテリアメーカーを選ぶと良いでしょう。
他には、生地そのものを扱う繊維・素材メーカーや生地問屋なども、テキスタイルデザイナーの就職先として挙げられます。
ただし、テキスタイルデザイナーとしての就職案件は決して多くはありません。一方で職業としての人気は高く、就職は狭き門だとも言えるでしょう。
また、テキスタイルデザイナー専門としての募集は少なく、ファッションデザイナーや商品企画などといった名目で募集されることが多いようです。
テキスタイルデザイナーに向いているのはこんな人
テキスタイルデザイナーは、テキスタイルの色や柄、加工などをデザインする職業です。そのため、高いセンスや独創的な感性を持つ方は、テキスタイルデザイナーに向いていると言えるでしょう。さらに、テキスタイルのプリントはデザイナーのデザイン画をもとに行われるため、絵の技術に優れていることも大切です。
また、織物・繊維に関する知識や色彩に関する知識に長けていることも、テキスタイルデザイナーにとっては重要です。たとえセンスがあってもこれらの知識がなくては、テキスタイルに適したデザインは行えないでしょう。
加えて、テキスタイルには流行が反映されることが多いため、ファッションやインテリアに興味があり、それらの流行に敏感であることも、テキスタイルデザイナーとして必要な要素だと考えられます。
テキスタイルデザイナーに関連する職業や資格
テキスタイルデザイナーに関連する職業
テキスタイルデザイナーに関連する職業としては、以下のようなものが挙げられます。
- ファッションデザイナー
- パタンナー
- インテリアデザイナー
- マーチャンダイザー
- スタイリスト
- モデル
- 販売員
テキスタイルデザイナーは、このような職種の人々とコンセプトや進行状況を共有しながら、仕事を行なっています。
テキスタイルデザイナーに関連する資格
テキスタイルデザイナーに関連する資格には、以下のようなものが挙げられます。
- ファッション色彩能力検定
- 色彩検定
- カラーコーディネーター 検定
- ファッションビジネス能力検定
- 洋裁技術認定試験
- パターンメイキング技術検定
- インテリアコーディネーター
- インテリアプランナー
テキスタイルデザイナーは、ファッションやインテリアに関わることが多いため、これらに関する資格は実務に生かせます。また、デザイン画を描くにあたっては、PhotoshopやIllustratorなどの画像編集技術が役立つことがあるため、それらの関連資格も取得しておいて損はないでしょう。
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