店舗デザイナーになるには
- 2020.02.28
店舗デザイナーの概要や仕事内容
店舗デザイナーとは
店舗デザイナーとは、さまざまな店舗のデザインを行う職業です。外装内装からインテリアの配置、ファブリックまで、店舗を総合的にデザイン・コーディネートしていきます。そして、その対象は飲食店や物販店が一般的です。
店舗デザイナーはデザインだけではなく、企画から完成まで幅広く関わり、優れた空間を作り上げています。また、近年ではコンセプトを重視し店舗デザインにこだわった店舗が増加しているため、店舗デザイナーは大きな役割を担っています。その腕前が、店舗の人気や売上を左右すると言っても過言ではないでしょう。
また、店舗デザイナーは空間デザイナーと混同されやすく、実際に空間デザイナーが店舗デザインを手掛けるケースもあります。ただし、店舗デザイナーが店舗のみを手掛けるのに対し、空間デザイナーは店舗に限らずさまざまな空間をデザインするという違いがあります。
店舗デザイナーの仕事内容とは
店舗デザイナーの主な仕事は、依頼を受けた店舗の外装や内装をデザインすることですが、先述のようにプロジェクト全体に携わります。ここでは、具体的な仕事内容を見ていきましょう。
- ヒアリング、ミーティング
- パース、図面等資料作成
- プレゼンテーション
- 修正
- 必要備品の手配
- 業者選定
- 装飾品サンプル作成
- 現場指揮、作業
店舗デザイナーはこのような業務を行い、店舗の内装や外装がコンセプト通りに仕上がるための進行管理も手掛けています。
店舗デザイナーになる方法
店舗デザイナーになるための一般的な方法をご紹介します。
学校で専門知識を学ぶ
専門学校や美術大学、大学コースなどで、建築系、もしくはデザイン系の学校で専門知識を学ぶことは、店舗デザイナーを目指すための第一段階です。店舗デザインには専門的な知識が必要であるため、学校で基礎から応用までを身に付けておけば、将来的に店舗デザイナーの実務をこなすにあたって大きな強みとなるでしょう。
また、その学歴は就職活動でも役立ちます。
建築系会社に就職する
建築会社や設計事務所、デザイン事務所など、店舗デザインを手掛ける会社にデザイナーとして採用されれば、いよいよ実際の店舗デザインに携わることができます。入社してすぐにデザイン業務を行うことは少ないですが、先輩デザイナーに付いて経験を積めば、次第に仕事を任せられるようになるでしょう。
ただし、デザイナーとして就職するのは簡単ではなく、知識・技術やセンスなど実力が問われます。提出するポートフォリオを充実させるなど、自身の能力をアピールする手段を用意しておかなくてはなりません。
独立して活動する
店舗デザイナーの中には、フリーランスの店舗デザイナーとして独立して活動している方もいます。フリーランスの場合、働き方や表現の自由度が増す他、うまくいけば収入アップも見込めますが、その分責任や業務は増加するでしょう。
とはいえ、フリーランスで成功するには実績や人脈が必要です。そのため、まずは会社に所属し、経験を積む方が多いようです。
店舗デザイナーに求められる資格や試験
店舗デザイナーには、必ず取得しておかなければならない資格や試験はありません。
ただし、店舗デザインを行うには建築やインテリアに関する知識が必要であるため、これらに関連する資格を持っておいて損はないでしょう。中でも建築士の資格は非常に専門的であり、取得しておけば幅広い業務に役立てられます。
そこでここでは、建築士資格(1級、2級)について概要をご紹介しましょう。
建築士資格(一級、二級)とは
*一級建築士とは
一級建築士は、取得することで幅広い建築設計を行うことが認められている国家資格です。面積500m2以上の大規模建築、または高さ13m以上の木造建築の設計も可能とされています。
この資格は、建築の資格の中でも難易度が高く、受験資格も厳しいのが特徴。取得するにはかなりの努力が必要でしょう。
*二級建築士とは
二級建築士は、取得することで、規模が小さな建築物の建築設計を行うことが認められている国家資格です。
一級建築士に比べると扱える建築物の幅は狭まりますが、住宅をメインに手掛けるのであれば、二級建築士資格取得で事足ります。また、受験資格はやや緩く、難易度も少し下がります。
難易度や試験について
一級建築士の難易度や試験について
2019年一級建築士試験の合格率は22.8%でした。また、総得点125点中97点が合格ラインとなり、受験者レベルの高い試験であったと予想されます。
試験の詳細は、以下の表をご確認ください。
受験日程 | 学科7月/製図10月 |
受験料 | 19,700円(その他事務手数料がかかる場合あり |
受験場所 | 各都道府県指定場所 |
試験内容 | 学科(四肢択一)・設計製図 |
試験時間 | 学科6時間30分/製図6時間30分 |
受験資格 | ①大学で指定科目を修めて卒業し、その後の建築実務経験が2年以上あること②短期大学(3年制)で指定科目を修めて卒業し、その後の建築実務経験が3年以上あること③短期大学(2年制)もしくは高等専門学校で指定科目を修めて卒業し、その後の建築実務経験が4年以上あること④二級建築士として4年以上の建築実務経験があること⑤建築設備士として4年以上の建築実務経験があること⑥その他国土交通大臣が特に認め、所定の建築実務経験がある場合 |
合格条件 | 各科目において合格基準点を上回っていること |
※2019年の概要です
二級建築士の難易度や試験について
2019年二級建築士試験合格率は42%でした。また、合格ラインは総得点100点中60点であり、一級建築士試験より難易度は下がることがわかります。
試験の詳細は、以下の表をご確認ください。
受験日程 | 学科7月/製図9月 |
受験料 | 17,700円(その他事務手数料がかかる場合あり) |
受験場所 | 各都道府県指定場所 |
試験内容 | 学科(五肢択一)・設計製図 |
試験時間 | 学科6時間/製図5時間 |
受験資格 | ①大学、短期大学、こうまたは高等専門学校において指定科目を修了して卒業していること②高等学校、または中等学校において指定科目を修めて卒業し、その後の建築実務経験が3年以上あること③建築設備士④ その他都道府県知事が特に認め、所定の建築実務経験がある場合⑤7年以上の建築実務経験があること |
合格条件 | 各科目において合格基準点を上回っていること |
※2019年の概要です
今後の店舗デザイナーの将来性
近年、個性的なコンセプトを掲げ、デザインにこだわった店舗が増加しています。そして、そういった店舗は、SNS利用率の高い若い世代を中心に高い人気を誇っています。今や、商品だけでなく、店舗自体を楽しむことが、顧客の来店理由になっているのです。この点では、店舗のトータルデザインを行う店舗デザイナーは、店舗運営において非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
そして、こういった傾向は今後も続くと考えられます。よって、店舗デザイナーの将来性も期待できるでしょう。
とはいえ、人気の店舗デザイナーとして長く活躍するのは、決して簡単なことではありません。活躍を続けるためには、センスを磨く努力や流行に敏感でいる努力が必要です。
店舗デザイナーの就職先
店舗デザイナーの就職先としては、建築会社や設計事務所、デザイン事務所等があります。どの場合も、クライアントの依頼を受け、ニーズに沿った店舗デザインを行うことになるでしょう。ただし、会社によってデザインのカラーには違いがあるので、会社選びの際には、自身の感性に「合う」「合わない」の見極めが大切です。
また、これらのような会社には所属せず、フリーランスの店舗デザイナーとして働くこともできます。この場合は、営業活動から事務作業まで全て自身で行わなければならず、責任やリスクも生じますが、働き方の自由度は高まるでしょう。
店舗デザイナーの平均年収・MAX年収
店舗デザイナーの年収は、所属会社やキャリアによって大きく異なります。平均的なものを挙げるなら、勤続1年目で200万円前後、10年目以降になると400万円以上と言われています。ただし、同じ実務年数であっても、実績や評価によっては極端に年収が高いデザイナーも、低いデザイナーもいます。また、フリーランスの場合には、さらに高収入を目指すこともできるでしょう。
このように、店舗デザイナーの年収は、自身の実力に比例すると考えられます。
店舗デザイナーに向いているのはこんな人
店舗デザイナーは、コンセプトに沿って、人を魅了するデザインを行うことが仕事です。そのため、美的センスに優れている方やクライアントのニーズを叶える表現力に長けている方は、店舗デザイナーに向いていると考えられます。
また、独創的なアイディアを出せる想像力や提案力も大切です。店舗デザインは、他にはないデザインで人々の興味を集めてこそ、集客効果を得られるからです。
また、店舗の完成までに、店舗デザイナーはクライアントやチームメンバー、業者など多くの人と接します。そのため、作業をスムーズで的確に進めるためには、高いコミュニケーション能力も求められるでしょう。
店舗デザイナーに関連する職業や資格
店舗デザイナーに関連する職業
店舗デザイナーに関連する職業には、このようなものがあります。
- 空間デザイナー
- インテリアデザイナー
- インテリアプランナー
- インテリアコーディネーター
- 建築士
- 建築デザイナー
- 建築模型士
- 建築設備士
- 家具職人
これらは、全て空間作りや建築に携わる職業です。中には、専門の店舗デザイナーではなく、空間デザイナーが店舗デザインを手掛けたり、インテリアデザイナーが店舗内装を手掛けたりすることもあります。
店舗デザイナーに関連する資格
店舗デザイナーに関連する資格には、ご紹介した「建築士」の他にも、以下のようなものがあります。
- インテリアコーディネーター
- カラーコーディネーター
- 色彩検定
- CAD利用技術者試験
- 建築CAD検定試験
店舗デザイナーは、内装やインテリアまでトータルデザインを行うため、インテリアコーディネーター資格はもちろん、色彩系の資格も、実務に役立ちます。
また、図面作成作業に活かせるCADの知識を持っておくのも良いでしょう。
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