通関士になるには
- 2020.01.29
通関士の概要や仕事内容
通関士とは?
通関士とは、日本の貿易業界における唯一の国家資格です。
国家試験に合格した者のうち、勤務先の通関業者の申請に基づく財務大臣の確認を受けて、通関業務に従事する者のことを通関士といいます。
輸出入されている物品の輸出入者が通関(※)手続を通関業者に依頼をした際に通関手続きの代理・代行および税関への申請をするのにも必要な財務省管轄の国家資格となっています。
※貿易において貨物を輸入・輸出をしようとする者が、税関官署に対して貨物の品名・種類・数量・価格などを申告し、必要な検査を受けた後に、輸入の場合は関税など必要な税金を納付させ、税関から輸出入の許可を受ける手続きのことを言います。
通関士の仕事内容とは?
通関士は一般的に運送会社や海運会社、倉庫会社といった通関業者に勤務しています。
取引先企業の輸出入物品に対する通関手続の代行業務が主な仕事となっています。
具体定期な業務内容としては
・通関に必要な書類の作成
・対象の物品自体が規制や法令に対して問題のない貨物なのかどうかのチェック
・関税・消費税などを徴収するべきかどうかといった判断
・輸出申告、輸入申告
などがあります。貿易の最前線に立つ通関のプロフェッショナルです。
通関士になる方法(資格取得方法等)
通関士の国家試験には受験資格がありません。そのため学歴、年齢、経験、国籍など関係なく、誰でも受験する事が可能です。
試験合格後は税関長に届出を行い、承認を得れば通関士になることができます。
通関士になれる専門学校はこちら資格難易度や試験について
試験について
●試験の概要
※下記は2019年度の試験の日程です。
受験書類の配布:試験実施地を管轄する税関で例年7月上旬~8月上旬の受験の申込み締切りの日まで配付しています。
郵送により請求する場合には、受験希望の試験実施地を管轄する税関の通関業監督官まで、受験願書受付期間に間に合うよう請求します。
受験書類の受付:2019年7月22日(月)~2019.年8月5日(月)
受験願書の提出は、例年7月下旬~8月上旬に2週間程度受付しています。受付期間内に受験希望の試験実施地を管轄する税関に提出してください。
試験日程:2019年10月6日(日)
試験はおおむね10月上旬に行われます。
試験地:北海道、新潟県、東京都、宮城県、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県、熊本県、沖縄県
試験科目:①関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(同法第6章に係る部分に限る。)
②通関書類の作成要領その他通関手続きの実務
③通関業法
関税法等と通関業法は満点の60%以上、通関書類の作成等は満点の50%以上を取得することが合格基準となっています。
また、科目免除制度というのもあり、一定の条件をクリアして申込時に税関の審査をクリアすれば1~2科目の科目免除で受験が可能です。
合格発表:2019年11月29日(金)
合格発表は例年11月下旬~12月上旬に行われます。
通関士の国家試験の合格率は2018年が14.6%、2017年が21.3%、2016年が9.8%とかなり低めです。かなり難しい試験だと考えられますのでしっかりと勉強しておくことが大切です。
今後の通関士の将来性
関税の規制緩和がどんどん進められており、海外との貿易取引が活発になってきています。また、大企業だけでなく中小企業も海外で販売するなど、グローバル化も進展していることから通関士の需要がどんどん高まっています。
税関に対して輸出入を行う通関業者の営業所には従業員10名につき1名以上の通関士が必要だとされていますが、通関の作業量が増えていることから、通関士の数が不足しているのが現状です。
アジア方面の貿易量についてはこれからも伸び続けられると考えられていることからも、通関士の需要は増え続けていくと予想され、将来性は十分あると考えてよいでしょう。
通関士の就職先
●通関業者
輸出入に関する業務を請け負っている業者です。
輸入の場合は税関への輸入申告、検査の立ち会い、関税の支払い、輸入の一連の通関業務を行います。
通関業者の多くは、税関のある港湾や空港の近くに営業所を設置して、スムーズに貿易が行えるように業務を行っています。
●運送会社
運送会社は物品の輸送だけでなく、物品の保管など輸出入にかかわるあらゆるサービスを提供しています。
また、業務には通関手続きも含まれるため、陸・海・空の輸送を手がける運送会社は、通関業の許可を取得して通関業務も行っているのです。
●倉庫会社
大手の倉庫会社は保税蔵置場(外国貨物を置くことができる場所のこと)の許可を取得して、輸出貨物の保管業務も行っています。
この業務を行うために通関業の許可を取得し、通関業を兼業している会社が増えてきています。
●貿易会社
貿易会社は、顧客と契約を締結する前に輸入品の税率などを把握し、利益の予測をすることがあります。国際的なビジネスを行う貿易会社にとっては専門的な知識をもつ通関士の存在が欠かせません。
●メーカー
メーカーはコスト削減や品質向上などの目的で、自社製品に使用する部品の一部を直接海外から仕入れることがあります。そのため多くのメーカーでは社内に通関部署があります。
●百貨店など
百貨店や量販店などでは輸入商品の直接買い付けるケースが増えてきています。近年では通関業の許可を取得して、通関業務を兼業している百貨店などが増えてきています。
●郵便事業会社
2009年から、郵便で運ばれる貨物の一部について輸出入申告をしなければならなくなりました。それ伴い郵便事業株式会社が通関業に進出し、通関士を採用しています。
通関士に向いているのはこんな人
通関士が行っているのは主に書類のチェックです。
税関に提出する書類に間違いがあると依頼者が罰則を受けたり損失を被ってしまう可能性があります。そのため書類は間違いなく作成しなければなりません。
まずは正確に業務を行えることが大切だということになります。
同時に、輸出入する貨物にはさまざまな種類があります。
輸出入が禁止されているものや規制がかかっているものがあります。
それらを正確に把握していなければ正確な業務を行うことができません。
また書類作成や海外の取引先とやり取りをする際には英語が話せることや、英文の読み書きができることが求められます。実際に求人情報には「英語を使って会話やメールの作成をすることができる」「TOEIC○○点以上」といった応募資格が設定されている会社がほとんどです。
英語力も含め、規制品について知識や経験を積んでいく常に学んでいける前向きな姿勢も通関士に求められる条件です。
通関士に関連する職業や資格
関連する資格
●TOEIC
TOEICといえばだれもが知る英語力測定検定です。
TOEICには4つの種類がありますが、一般的にはリスニングとリーディングの「TOEIC Listening & Reading Test」のことを指すようです。
リスニングとリーディングがそれぞれ495点ずつの計990点となっており、合格不合格ではなく点数で結果が出ます。500~650点以上で応募資格を設定している会社が多いため、通関士として会社で働く場合はTOEIC650点以上取 得できるよう勉強しておくとよいでしょう。
●マイクロソフトオフィススペシャリスト
マイクロソフトオフィススペシャリストを取得すると、エクセルやワードなどのオフィスの操作スキルを証明することができます。試験はエクセル、ワード、パワーポイントなどソフトごとに分かれており、その上ソフトのバージョンごとに試験内容は異なります(たとえばエクセル2013、エクセル2016など)。
難易度もスペシャリストレベル(一般)とエキスパートレベル(上級)に分かれています。貿易事務として資格を取得するのであれば、エクセルとワードのスペシャリストレベル(一般)を取得しておけば必要なスキルを持っているとみなされるでしょう。
●日商ビジネス英語
商工会議所法に基づいて、全国統一基準で開催されている試験です。
英文書類作成に役立つライティング能力を重視しているのが特徴で、難易度別に3級、2級、1級となっており、共通する出題範囲に貿易書類と貿易実務に関するものが含まれています。
英語力とともに貿易実務の知識も持っていることを証明することができます。
特に3級に関しては、英文レター、英文メール、英文FAXといったビジネス英語文書作成に関する基礎知識に加えて、「インボイス(商業送り状)」「パッキングリスト(梱包明細書)」「船荷証券」「信用状」といった貿易書類の基本が出題範囲となっているので、3級を受験する価値は十分にあります。
通関士になれる専門学校はこちら-
前の記事
歯科衛生士になるには
-
次の記事
救命救急士になるには