診療放射線技師になるには

  • 2019.12.25
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診療放射線技師の概要や仕事内容

診療放射線技師とは?

診療放射線技師とは、医療における放射線を扱うことができる国家資格のことです。
主な仕事は診療画像を撮影すること、がんなどの放射線治療を行うことで、よく聞く業務内容としてはレントゲンやX線の撮影、MRI検査や超音波検査などが挙げられます。
よくレントゲン技師や放射線技師などと呼ばれることがありますが、正式名称は診療放射線技師です。

診療放射線技師は診療放射線技師法によって「診療放射線技師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、医師又は歯科医師の指示の下に、放射線を人体に対して照射(一部省略)することを業とする者をいう。」と定められています。
医師または歯科医師の指示の下、検査や治療に必要な放射線を人体に照射できる資格ということですね。

診療放射線技師の仕事内容とは?

では具体的にどういった仕事をしているのかをみていきましょう。

●一般X線撮影(レントゲン撮影)
肺や心臓の検査をするための胸部撮影や歯科治療を行うための歯のレントゲン撮影などを行います。健康診断などでもレントゲン撮影が行われます。

●消化管造影検査(バリウム検査)
食道や胃、十二指腸の病気を発見するための検査です。
X線を通過しないバリウムを飲むことによって、消化管が狭くなっているとことがないかどうか、がんや胃潰瘍による粘膜の凹凸かないかどうかなどをチェックしていきます。

●CT検査
円形状の機械によってX線撮影をし、体の断面図や内臓、血管、骨などの立体的な3D画像をコンピューターで作成します。
短期間で体の内部の詳細がわかるため、病気の早期発見につながります。

●MRI検査
磁気共鳴診断装置という強力な磁石でできた円形状の機械で、人の体の70%を占める水分に含まれる水素原子(強い磁場に反応する性質がある)を利用して体の臓器や血管を撮影する検査のことです。
CTとの違いは放射線を使わないので被爆しないこと、造影剤を使わず撮影できることなどが挙げられますが、それぞれ臓器ごとに撮影に優れた面が異なるため、検査によって使い分けられることになるでしょう。

●血管造影検査
血管に造影剤を流し込み、血管の形や血流の形を画像診断できるようにする検査です。太ももの付け根や腕の動脈から細い管(カテーテル)を通して、撮影したい部分の血管に造影剤を流しながらX線撮影をしていきます。カテーテルを差し込んだり、差し込むための局所麻酔などを行いますが、これらは医師や看護師が行いますので、診療放射線技師は撮影や機械の操作を行います。まさに連携が必要なチーム医療の縮図ともいえる検査です。

●乳房撮影(マンモグラフィ)
乳房を様々な角度からX線で撮影し、乳がんの初期症状である腫瘍や石灰化の有無などを調べます。
マンモグラフィは乳がんの早期発見のための検査ですが、乳がんの割合は女性が99%となっているため女性が受けることがほとんどです。検査の特性上、直接乳房をさらけ出すことになりますし、撮影位置の調整など必要に応じて乳房に触れることがあります。そのため、女性の診療放射線技師が担当することが多くなっています。

●核医学検査
微量の放射線医薬品を体内に投与し、放射線医薬品から出てくる放射線を画像で記録していく検査です。臓器の形や機能、血流の量などを調べることができます。

●放射線治療
体を傷つけることなくがんなどの治療を行う方法です。
機械から発せられる高エネルギーX線や電子線を病巣に当てて治療を行っていきますが、熱や痛みを感じることはありません。

●超音波検査(エコー)
人の耳には聞こえない超音波を体内に送り、その反射波を画像にして行う検査です。
腹部(肝臓、膵臓、腎臓など)や乳房、心臓、膀胱、血管、甲状腺などの検査を放射線を使わずに検査を行うことができます。
医療用の超音波は骨や空気には伝わらないため、骨や肺の検査はできません。
超音波検査については放射線を使わないため臨床検査技師が行うことが多いです。

●骨密度検査
骨粗しょう症の予防のための検査で、X線を用いる方法と用いない方法があります。診療放射線技師が行うのはX線を用いた「骨塩定量検査」で、骨折リスクが高い腰椎や大腿部の付け根などの骨量を検査します。

他にも放射線機器の点検や品質管理、検査で使用する放射線の量が適切かどうかの検査(放射線被曝管理)なども行います。

診療放射線技師になる方法(資格取得方法等)

診療放射線技師になるためには高校卒業後に国家試験の受験資格を得て、国家試験に合格し、免許を取得しなければなりません。
受験資格は以下の条件を満たすことで取得することができます。
①文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した診療放射線技師養成所(大学や短大、専門学校など)において、3年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習を終えたもの(卒業見込みを含む)
②外国の診療放射線技術に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で法第3条の規定による免許に相当する免許を受けた者であって、厚生労働大臣が①に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有するものと認めたもの
などです。

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資格難易度や試験について

試験について

診療放射線技師の国家試験は毎年2月下旬頃行われます。
合格率は2019年度は79.2%とそれほど高くありませんが、新卒者だけの合格率だと89.4%に上ります。新卒で一発合格することができるように在学中にしっかりと勉強をしておいたほうがよいでしょう。

●試験の概要
※下記は2020年度の試験の日程です。
受験書類の配布:各学校や養成所において入手する方法の他に、診療放射線技師国家試験運営本部事務所もしくは診療放射線技師国家試験運営臨時事務所又は厚生労働省からも郵送によって入手することができます。

受験書類の受付:2019年12月16日(月曜日)から2020年1月6日(月曜日)までに診療放射線技師国家試験運営本部事務所に郵送、もしくは診療放射線技師国家試験運営臨時事務所に直接持参することで提出します。

試験日程 2020年2月20日(木曜日)
試験地 北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県
(旧法の合格者などで試験科目の免除を受けて診療放射線技師国家試験を受けようとするものについては、東京都に限る。)
試験科目 基礎医学大要
放射線生物学(放射線衛生学を含む)
放射線物理学
放射化学
医用工学
診療画像機器学
X線撮影技術学
診療画像検査学
画像工学
医用画像情報学
放射線計測学
核医学検査技術学
放射線治療技術学
放射線安全管理学

合格ラインは200問(1問1点で計200点)出題されるうち60%以上の120点を取得することです。ただし、0点科目が1科目以下でなければなりません。

合格発表:2020年3月23日(月曜日)

今後の診療放射線技師の将来性

医療技術は日々進歩していますので、これからも放射線に関する機械を取り扱う診療放射線技師の活躍の場は広がっていくと考えられます。
また、背中の撮影などがあることや、正確に撮影しなければならないことからスマホのカメラのようにセルフで撮影することは困難です。さらに言うとそもそも放射線なので取り扱い方を間違えると被爆します。きちんとした知識がある人が放射線を取り扱う必要があります。このことからも自動化することはしばらく考えられません。

今や診察のためだけではなく健康志向の方が増えて健康診断のニーズが高まっていることや、メーカーでの機器開発など、取り扱う業務の範囲が拡大していることなどからも将来性は十分にあると考えられます。

診療放射線技師の就職先

主な就職先は医療機関です。
中でも国立病院や公立病院、大学病院などの大きな病院や、保健所や健診センター、検診車などの健診施設などが大半を占めます。
ほかにも医療機器メーカー、放射線の知識を必要とする電力会社や原子力発電所など、医療機関以外でも活躍している診療放射線技師がたくさんいます。

診療放射線技師に向いているのはこんな人

診療放射線技師は細かい画像をずっとチェックしていく作業を行います。
病気の早期発見などを目的とした画像の撮影やチェックを行っていくため、病気の状態などを理解する能力が求められます。医師が求める画像を撮るために連携を取っていく必要がありますので、診断ができるぐらいのレベルが求められることもあります。
さらに言うと放射線を取り扱うためミスも起こさないようにしなければなりません。そのため高い集中力と、高い理解力が求められます。

ほかにもチーム医療を行うため、医師や看護師、その他多くの医療関係者と円滑なコミュニケーションが取れるコミュニケーション能力も求められます。

診療放射線技師に関連する職業や資格

関連する資格

●放射線危機管理士
放射線関連機器の性能維持や安全確保を行い、良質で安全な医療の提供を目的とした国際認定試験です。

●放射線管理士
医療機関で使用される放射線の安全管理や医療被曝の低減などの知識や技術を身につけて、国民の安全確保に務めることなどを目的とした国際認定試験です。

●医療画像情報精度管理士
医療画像情報の知識を修得し、より良い画像提供を行うための適切な利用・管理を行うことを目的とした資格です。

これらの資格はe-ラーニングによる在宅講習を受講した後、認定試験に合格することで資格を得ることができます。スキルアップのために取得してみてはいかがでしょうか。

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