保健師になるには
- 2020.05.14
保健師の概要や仕事内容
保健師とは
保健師とは、健康や保健指導により公衆衛生を担う職業です。主に保健センターや医療施設などに勤めて、健康相談や健康診断、病気の調査、健康に関する啓蒙活動などを行い、人々の健康をサポートしています。
保健師は元々保健婦と呼ばれ、女性しか就くことのできない職業でした。しかし、1993年に法律が改正されたことにより同じ業務に男性が就けるようになり、その場合は保健士を名乗るよう定められたのです。そしてさらに、2002年には性別による違いや制限は取り払われ、現在の保健師という呼び名に統一されるようになりました。
そんな歴史を持つ保健師という職業は、近年企業や学校など活躍の場を広げており、また、高齢化や核家族化が進む日本において活躍が期待されています。そして今後も、保健師は社会的にますます大きな役割を担っていくでしょう。
保健師の仕事内容とは
保健師の仕事は公衆衛生の向上や人々の健康サポートですが、その具体的な仕事は多岐に渡ります。ここでは主な仕事内容をご紹介しましょう。
- 健康・介護相談、指導
- 健康・生活診断の実施
- 健康教室の開催
- 病気の予防対策やその啓蒙活動
- 怪我や病気の応急処置
- 患者の退院後計画の作成
- 労働環境の整備
保健師は、このような仕事をこなし、病気の患者や家族をサポートしたり、地域や企業に属する人々の健康を守ったりしています。また、保健センターや病院などで仕事を行うだけではなく、時には施設や家庭を訪問することもあるでしょう。
さらに保健師は、病気だけでなく、生活困窮や虐待、DVなど、生活環境に関わる案件にも携わり、ケアを行います。
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保健師になる方法
保健師になるには、国家資格である保健師資格とともに看護師資格を取得しなければなりません。そしてその資格受験条件としては、看護系の学校を修了していることが求められます。
保健師になるための流れは大きく以下の2パターンに分けられます。
●看護系の4年制大学や4年制専門学校を修業した場合
→保健師資格試験・看護師資格試験両方の受験資格を得られます。これらの試験に合格し就職すれば、保健師として働けます。
●看護系の3年制短大や3年制専門学校などを修業した場合
→まずは看護師の資格試験を受け、看護師資格を得る必要があります。
そしてその後、文部科学大臣の指定する学校の保健師養成課程に1年以上通い定められている学科を修了する、もしくは厚生労働大臣の指定した保健師養成所を卒業すると、保健師資格試験の受験資格を得られます。これに合格し就職すれば、保健師として働けます。
ただし、保健師資格を取得した後には、一般企業と同じように就職活動を行わなければなりません。企業や医療施設の採用試験を受ける他、自治体や学校の保健師を目指す場合には公務員試験への合格も必要になるので注意しましょう。
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保健師に求められる資格や試験
先ほどもご紹介したように、保健師には看護師資格とともに、保健師資格が必須になります。この保健師資格とは、厚生労働省が定める国家資格であり、国家試験に合格しなければ取得することはできません。その科目は、公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健医療福祉行政論の4種。公衆衛生や保健に関する専門的な内容となっています。
また、保健師資格試験については、数年前に大学における保健師教育が選択制となってからは、受験者が大幅に減少しました。とはいえ、現在でも毎年約8000人の受験者がおり、その多くが資格を取得しています。
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難易度や試験について
近年の保健師資格の合格率は80%ほどとなっており、難易度はそれほど高くはないと予想されます。ただし、受験資格自体が厳しいため、簡単な資格試験だとは言えません。
試験の概要については、以下の表をご確認ください。
受験日程 | 2月 |
受験料 | 5,400円 |
試験会場 | 北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県 |
試験形式 | 不明(前後110問) |
試験時間 | 1時間35分(午前75分、午後80分) |
受験資格 | 受験資格は先ほどご紹介した通りですが、詳しくは厚生労働省HPをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/hokenshi/ |
合格条件 | 得点率60%前後(その年による) |
2020年現在の概要です。
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今後の保健師の将来性
日本では、近年健康への関心が高まり、また高齢化が進んでいます。高齢化については医療機関や介護施設におけるサポートの限界も問題視され、セルフメディケアの推進も進んでいますね。そんな中で、保健師は地域に密着して健康相談や健康診断など予防医療に関わる仕事を行い、さらに近年目立つ虐待や貧困に関する問題を解決するためにも活動しています。
また、日本では心の病を患う人も増加していますが、保健師は企業や学校でのメンタルヘルスケアも行います。
このように、保健師の果たしている役割を考えると、それは現代における人々の健康や生活を維持するために不可欠なものであることがわかります。よって、保健師という職業の将来性は高く、それと同時に担う社会的役割も大きいと言えるでしょう。
そんな保健師は離職率が低い職業のひとつ。長く働く人が多いことからも、将来性の高さが感じられます。
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保健師の就職先
保健師の就職先は、多岐に渡ります。主なものを挙げてみましょう。
- 病院
- 診療所
- 訪問看護ステーション
- 社会福祉施設
- 介護福祉施設
- 保健所、保健センター
- 地方自治体
- 教育機関
- 一般企業
- 研究施設
このように、様々な場所で保健師は働いており、また就職先によって担当する業務も変わってきます。病院では患者を、地方自治体では地域の人々を、学校では生徒を、そして企業では社員を相手に健康相談・指導などを行うことになるでしょう。
また、この中には就職するにあたって公務員試験への合格が必須となる施設も多く、さらに全体的に求人数が少ない傾向にあります。離職者も少ないため空きが出にくく、資格を取得してもその後の就職活動は決して簡単ではないでしょう。
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保健師の平均年収・MAX年収
保健師の就職先は幅広く、就職先によって大きく年収は変わります。そのため、保健師の平均年収は一概には言えませんが、400〜600万円程度のケースが多いようです。日本の平均給与が400万円代であることを考えると、その水準は高めだと言えるでしょう。
また、保健師の待遇は就職先の正社員と同等になることが多く、賞与や有給、退職金などもその所属先に応じて付与されるのが一般的です。中には、資格保有による手当や救急業務などを要請された場合の手当が付くこともあるでしょう。
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保健師に向いているのはこんな人
保健師に向いている人の条件としては、まず優れた洞察力・判断力が挙げられます。健康相談や生活相談を受け適切なアドバイスをしたり、リスクを察知して対応を取ったりするためには、適切に相手の様子や状況を読み取り、論理的に判断しなければならないためです。
また、健康や生活に関する相談は、センシティブな話になりやすいため、うまく話せない相談者も多いでしょう。よって、そういった人達の気持ちを汲める気遣いも保健師には求められます。
さらに、予防医学の分野は進歩しており、新しい病気や治療法も生まれています。保健師として長く活躍するためには、日々進歩する医療について、知識を磨いていかなければならないでしょう。そのため、向上心があって努力を続けられる方も、保健師には向いていると言えます。
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保健師に関連する職業や資格
保健師に関連する職業
保健師に関連する職業には、「看護師」や「ケアマネージャー」、「養護教諭」などがあります。
「看護師」は、ご存知の通り医療機関で働く仕事。保健師になるために必要な看護師資格を持っているため、医療の現場で経験を積んでから保健師を目指す人も多いようです。
また、「ケアマネージャー」は介護のスペシャリスト。介護を受ける人のためにプランを作成します。保健師と仕事内容が似ている部分がありますが、担当する分野は違っています。
そして、「養護教諭」とは、俗に言う保健の先生のこと。学校に駐在する保健師は学校保健師と呼ばれますが、これは「養護教諭」とは別。「養護教諭」になるには、「養護教諭」の免許が必要です。
他にも保健師は、医師や教師、自治体の担当者などと必要に応じて連携し、業務を進めています。
保健師に関連する資格
保健師に必要なのは、先ほどご紹介したように保健師資格と看護師資格の2つ。数多くある医療系や介護系、教育系の資格内容には共通する点もありますが、全面的に保健師に関連している資格は挙げられません。
保健師になったなら、他の資格に手を付けるよりも、予防医学や流行している感染症など、具体的な状況や対処法を学ぶと良いかもしれませんね。
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