心理カウンセラーになるには
- 2020.05.14
心理カウンセラーの概要や仕事内容
心理カウンセラーとは
心理カウンセラーは、相談者に対してカウンセリングを行い、解決へと導く職業です。悩みや問題を抱えている人を相手に、心理的なテストや質問などを行い、そこから見えた結果を元に、状況改善へ繋がる指導やアドバイスを行います。また、ただカウンセリングを行うだけでなく、心理療法と呼ばれる心理的な治療を行うこともあるでしょう。状況によっては、医療機関や教育機関と連携するなどし、心理的な面から人々の抱える問題を取り除くためのサポートを行なっています。
そんな心理カウンセラーは、カウンセリング技術を用いて人の心理を追求しなければなりません。人の心理は目には見えないため、その追求は決して簡単なものではなく、そのためのカウンセリングには特殊な知識や技術が必要です。よって、心理カウンセラーは非常に専門性の高い職業だと言えるでしょう。
現代の日本では、精神的な疾患を抱える人が増加していると言われており、その中で心理カウンセラーは今後も重要な役割を果たしていくでしょう。
心理カウンセラーの仕事内容とは
心理カウンセラーの主な仕事は、カウンセリングや心理療法です。専門知識を用いて相談者と会話をしたり相談者の相談に乗ったりして、問題解決を導くサポートや治療を行っています。
対象となるのは、児童相談所の子どもや精神科の患者、学校の生徒、企業の社員、または刑務所の受刑者などさまざま。こういった対象者に対し、心理テストやカウンセリングを行い、必要に応じてケアを進めていきます。
また、カウンセリングの内容を医師や教師、行政機関などと共有するための、連絡業務や報告書作成も心理カウンセラーの仕事のひとつ。心理カウンセラーは必要に応じて各種機関と連携し、業務を行っていきます。
心理カウンセラーになる方法
心理カウンセラーになるために、定められている学歴や職歴、資格などはありません。誰でも、心理カウンセラーを名乗って働くことは可能です。
しかし、先述のように心理カウンセラーには専門的な知識や技術が必要です。それらを身に付けるためには、独学よりも、大学や専門学校で心理学・臨床心理学を学んでおく方が確実。また、心理学に関する資格を取得しておくのも良いでしょう。
こういった学歴や資格は、心理カウンセラーとして機関や企業へ就職するために大きく役立ちます。さらに、身に付けた知識や技術は実務にも活かせるでしょう。
心理カウンセラーに求められる資格や試験
先ほど触れたように、心理カウンセラーは必ず資格を取得していなければならないわけではありません。ただし、心理カウンセラーの実務に直結する資格はいくつか存在します。ここでは、その中でも心理系資格として一般的な「公認心理士」という資格をご紹介しましょう。
公認心理士とは
公認心理士とは、日本で初めて創設された心理職の国家資格です。保健医療や福祉、教育など幅広い分野にまたがる凡庸資格として知られ、近年増加する国民の心の健康問題に対応すべく作られました。誕生したのは公認心理士法が施行された平成29年で、その歴史は古くはありません。しかし、この資格は今後社会的に大きな役割を果たしていくと期待されています。
そんな公認心理士資格を取るには試験に合格しなければなりませんが、それには受験資格が設けられており、独学のみの学習では試験を受けることができません。また、受験資格には学歴や履修科目が含まれるため、手続き時には修了証明書や履修証明書の提出が必要になるので注意しましょう。
難易度や試験について
公認心理士試験の合格率は、第1回が79.6%、第2回が46.4%だったようです。開始されたばかりの資格であることもあり、年によって大きな差があることが分かりますね。そのため難易度は一概には言えませんが、公認心理士は専門性の高い国家資格であるため、決して簡単なものではないでしょう。
試験の概要については以下の表をご確認ください。
受験日程 | 6月 |
受験料 | 28,700円(税込、合格後の登録料別) |
試験会場 | 北海道,宮城県,東京都,愛知県,大阪府,岡山県,福岡県 |
試験形式 | マークシート(一般問題、事例問題) |
試験時間 | 240分(午前120分、午後120分) |
受験資格 | https://www.mhlw.go.jp/content/000306882.pdf
をご参照ください |
合格条件 | 総得点の60%前後だと推測される |
※2020年の試験概要です。
今後の心理カウンセラーの将来性
近年の日本では、心理的な病を患う人が増えていると言われています。厚生労働省によると、精神疾患患者総数は400万人を超えており、10年前に比べると約100万人の増加となっています。つまり、数多くの人々が、会社や学校、家庭などでなんらかのストレスを抱え、生活に支障をきたしているのです。
そして、そういった病は外科的治療ができず、求められるのは心理的な治療になります。そこで活躍するのが、心理カウンセラー。心理カウンセラーは、心理的な病にかかった人の治療はもちろん、心理的な病の防止の面でも役立つため、最近では病院に限らず、企業や学校など、活躍の幅を広げています。
今後も、増加する患者の治療やその予防のために、心理カウンセラーの需要はますます高まっていくでしょう。人々のメンタルヘルスケアを行う心理カウンセラーは、社会にとって欠かせない存在となっているのです。
心理カウンセラーの就職先
心理カウンセラーの就職先は、幅を広げています。主な例を挙げてみましょう。
- 病院、クリニック
- 一般企業
- 学校
- 教育センター
- 保健所
- 介護施設
- 福祉センター
- 児童相談所
- 身体障害者相談所
- 知的障害者相談所
心理カウンセラーは病院やクリニックに就職することも、施設や企業に直接就職することもあります。病院に就職した場合には、各施設・各企業に派遣されてカウンセリングを行うこともあるでしょう。
また、就職はせず、独立して自身のクリニックを開く例も珍しくはありません。
常勤から非常勤、アルバイト、パートまで働き方もさまざまです。
心理カウンセラーの平均年収・MAX年収
心理カウンセラーの年収は、400万円前後が相場となるようです。ただし、これは働き方や就職先によっても大きく異なり、小規模な医療機関や学校所属の場合であれば、相場を下回る可能性もあります。逆に、人気や実績があったり大規模な病院に勤めたりしている心理カウンセラーになると年収は上がり、中には年収1000万以上を得ていることもあります。
また、心理カウンセラーの中には報酬を得ず、ボランティアとして働く方もいます。報酬ではなく人を助けることを目的に据えるのも、心理カウンセラーとしてのひとつの道でしょう。
心理カウンセラーに向いているのはこんな人
心理カウンセラーの仕事は、悩みやストレスを抱える人々の問題解決をサポートすることです。クライアントの話を聞いたり相談に乗ったりと、親身なサポートが求められます。そのため、「人を助けたい」「力になりたい」という思いが強い方や聞き上手な方は、心理カウンセラーに向いていると言えるでしょう。
また、クライアントとのカウンセリングでは、些細な一言がクライアントを傷つけたり状態を悪化させたりすることもあります。それを防ぐためには、冷静さや洞察力、包容力も必要だと考えられます。
さらに、クライアントはひとりひとり違った状況や思考を持つため、自身の先入観によって物事を決めつけることのない視野の広さも心理カウンセラーには必要です。
心理カウンセラーに関連する職業や資格
心理カウンセラーに関連する職業
心理カウンセラーに関連する職業には、「臨床心理士」があります。これらはどちらも心の病を改善に導くという点で共通しており、職業として混同されやすいですが、大きな違いがあります。それは、心理カウンセラーには資格が必要ないのに対し、「臨床心理士」は「臨床心理士資格」取得者でないと名乗ることができない点、また、「臨床心理士資格」は指定の大学院を出ていなければ取得できない点です。
このように、「臨床心理士」には学歴や資格が定められており、社会的にもより高い信頼を得る職業として知られています。
心理カウンセラーに関連する資格
心理カウンセラーに関連する資格には、先ほどご紹介した「公認心理士」の他に、「臨床心理士」や「認定心理士」、「産業カウンセラー」、「メンタルケア心理士」などがあります。これらはどれも心理学やカウンセリングに関する内容です。しかし、「公認心理士」資格が国家資格であるのに対し、これらの資格は民間資格であるという違いがあります。就職や実務において最も役立つ可能性が高いのはやはり「公認心理士」ですが、これらの関連資格も取得しておけば知識の幅が広がり、心理カウンセラーとしての実力は向上するでしょう。
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