義肢装具士になるには

  • 2019.12.25
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義肢装具士になるには
      
              

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義肢装具士の概要や仕事内容

義肢装具士とは?

義肢装具士は国家資格です。
義肢装具士法第3条において「厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の指示の下に、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合を行うことを業とする者をいう。」と定められています。

医師の処方に従って病気や事故によって手足を失ってしまった患者さんの採型・採寸を行い、それをもとに失った機能を補完するための義肢装具を制作・提供します。
義肢装具を作る職業=物づくりのイメージがありますが、職人気質というよりは患者さんとコミュニケーションを取りながら義肢装具を作成していくことや、医師をはじめとした医療関係者と連携を取っていくことになりますのでただ義肢装具を作るだけでなく、高いコミュニケーション能力も求められる職業でもあります。

義肢装具士の仕事内容とは?

義肢装具士が行う業務は主に義肢装具の作成です。
義肢とは、失った手足を補完するもので、手の代わりの義手や足の代わりの義足がこれにあたります。見た目を補う装飾用と、実際に指先などを動かす能動用に分かれています。
装具とは一時的に失った機能を補完し回復を図るためのもので、コルセットやサポーター、インソールなどがこれにあたります。

義肢装具を作成するためには、まず患者さんが医師の診察を受けます。
それから義肢装具士が医師の指示を受けて体のサイズを採寸し、型を作るためにギプスなどで採型を行います。
採寸・採型が終わったら患者さんにあった義肢装具を作成します。材料は様々で、金属やプラスチック、繊維材料、皮革などを機械や工具を使って加工していきます。
そして最後は適合させます。患者さんの体にうまくフィットしなかった場合は原因を調べて、細かい調整を繰り返し行っていきます。

義肢装具士になる方法(資格取得方法等)

初めに述べたとおり、義肢装具士は国家資格です。
義肢装具士の国家試験を受験するためには次のいずれかの条件を満たして受験資格を得る必要があります。
①高校卒業後に文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した義肢装具士養成所(大学や専門学校)で3年以上必要な知識・技能を修得した者
②義肢装具士関連過程のない大学や短期大学、高等専門学校などを卒業し、かつ厚生労働大臣の指定する科目(※)を修めた者であって、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した義肢装具士養成所において2年以上義肢装具士として必要な知識・技能を修得した者
③その他外国の義肢装具士養成所を卒業し免許を得た者や法施工前に知識・技術を得ている者など
※・理学、倫理学、社会学、人間発達学及び社会福祉学のうち1科目
・数学、物理学、生物学及び数理統計学のうち2科目
・外国語
・保健体育

これらの条件を満たして受験資格を得て国家試験に合格した後、厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係に義肢装具士の免許の申請を行い、取得することによって義肢装具士を名乗ることができるようになります。

資格難易度や試験について

試験について

義肢装具士の国家試験は毎年2月下旬頃行われます。
合格率は2019年度は89.4%でした。ここ10年だと一番低い年で80.3%、一番高い年で90.2%となっています。決して低くない合格率ですが、養成校を卒業した人が受ける試験ですので在学中にしっかりと勉強しておかなければいけない試験だということになります。

●試験の概要
※下記は2020年度の試験の日程です。
受験書類の配布:各義肢装具士養成校で入手するか、公益財団法人テクノエイド協会にはがきかFAX、メールにて請求して入手します。

受験書類の受付:2020年1月6日(月曜日)から2020年1月20日(月曜日)までに公益財団法人テクノエイド協会に提出します。郵送の場合は簡易書留で送付しなければなりません。

試験日程:2020年2月21日(金曜日)

試験地:東京都

試験科目:臨床医学大要(臨床神経学、整形外科学、リハビリテーション医学、理学療法・作業療法、臨床心理学・関係法規を含む。)
義肢装具工学(図学・製図学、機構学、制御工学、システム工学、リハビリテーション工学)
義肢装具材料学(義肢装具材料力学を含む)
義肢装具生体力学
義肢装具採型・採寸学
義肢装具適合学
合格ラインは合格発表後に掲示されるため不明ですが、全体の80%を得点していない場合はその時点で不合格になるそうです。

合格発表:2020年3月26日(木曜日)

今後の義肢装具士の将来性

これまでの義肢装具は身体の形に近いものが多かったのですが、現在はデザイン性が高いものが増えてきています。義肢装具をつける方の生活スタイルや体重、運度量など様々なことを考慮したうえでオーダーメイドで作成することによって、患者さんに希望を与えることができます。

また、最近は東京パラリンピックに向けてパラスポーツが取り上げられることも多いですよね。そうすると義足をつけて陸上競技などをされている方をよくテレビなどで見かけるのではないかと思いますが、義足だけではなく義手をつけてスポーツをする選手もいらっしゃいます。
このようにパラスポーツの義肢装具を作ることでも注目されています。

そして最近になってよく見かけるようになったのがペットの義肢装具です。
足が不自由になってしまった犬の義足などをつけて散歩をしている人を見かけたことがあるのではないかと思いますが、人間だけでなくペットの義肢装具を作る義肢装具士もいます。

このように様々な面で義肢装具士は注目されており、活躍の場を広げているのです。
高齢化で体が不自由になっている人が増えていることや、生活習慣病で手足を失う人が後を絶たないことなどから、義肢装具のニーズは高くなってきています。
ロボットの開発にも義肢装具士の技術がつかわれていることもあり、これからも十分に将来性がある資格だと言えるでしょう。

義肢装具士の就職先

義肢装具士は医療関係者ですが、主な就職際は義肢装具制作会社です。
その理由は義肢装具を取り扱っているのが制作会社であるからで、求人のほとんどは一般企業です。提携病院を訪問して患者さんにカウンセリングを行うなどして義肢装具を作成します。入院からリハビリまで行う義肢装具制作会社もあります。
もちろん医療機関からの求人もあります。規模が大きい整形外科や形成外科の「義肢室」で義肢装具の政策や修理を行っています。
他にもリハビリ施設や高齢者施設、パラスポーツ選手の帯同など、様々な分野で活躍しています。

義肢装具士に向いているのはこんな人

医療技術や義肢装具は日々進化していきます。
常に進化する技術や機能について学び、積極的に情報収集をしてついていける人であることが求められます。
そしてその技術などを患者さんのために提供することができることが大切です。
もちろん、ただ新しいものを提供するのではなく、患者さんの症状などに合わせて適切なものを見つけられる能力が必要です。

義肢装具は機械だけでなく手作業で作成する部分も多く、繊細な作業が求められます。特に人の体に直接装着するものですので、細かな調整は欠かせません。
器用な人でなければなれないというわけではありませんが、器用であればあるほど仕事がしやすいのではないかと考えられます。

義肢装具士に関連する職業や資格

関連する職業

まず大前提として義肢装具士は医師の指示の下義肢装具を作成していきますので、医師と関わることは間違いありません。
そしてリハビリを行っていく際には理学療法士や作業療法士といったリハビリの国家資格を持っている医療関係者が患者さんに義肢装具の訓練をしていきます。特に理学療法士がもつ背屈角度などの知見は、義肢装具士が知りたい情報の一つです。
お互いに情報を共有することで患者さんに合った義肢装具を作ることができるようになります。
他にも看護師や医療事務、薬剤師など、患者さんの治療を行うに当たってはチーム医療として様々な医療関係者と一緒に業務を行っていくことになります。

関連する資格

義肢装具士が理学療法士の資格も持っていれば、よりよく患者さんの状態を知り、向き合うことができます。
理学療法士も国家資格であるため、養成校で学んで受験資格を得てから国家試験を受けなければなりません。そうなると取得までにかなりの時間と労力を要することになると思いますが、患者さんのため、自分のスキルアップのためにも取得しておいて損ではない資格だと言えるでしょう。

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