作業療法士になるには

  • 2019.12.25
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作業療法士の概要や仕事内容

作業療法士とは?

作業療法とは身体や精神に障害がある方に対して、食事をする・入浴する・着替えをするなど日常生活を送る上で必要不可欠な全ての活動ができるように回復させることや社会適応能力を回復させる…など、日常生活における作業(活動)を行うことができるように治療を行うことです。
作業療法士はこの作業療法を行うリハビリテーションに従事する専門職の1つです。
英語では「Occupational therapist」と言い、日本ではよく「OT」と略して使われます。

同じリハビリテーションに従事する専門職として「理学療法士」という職がありますが、こちらは立ち上がる・歩くといった身体の基本の動きの回復を図る仕事となりますので専門性が少し違うということになります。一番の違いは精神的な障害に対して治療を行うという点です。

怪我や病気によって作業がうまくできなくなった患者さんが自分らしい生活を送れるように身体と心のサポートをするのが作業療法士です。

作業療法士の仕事内容とは?

作業療法では「3つの能力」の維持と改善を行っていきます。
その能力とは次の3つのことを言います。
・基本的動作能力
・応用的動作能力
・社会的適応能力

●基本的動作能力
基本的動作能力とは運動や感覚・知覚、心肺・精神・認知などの心身の機能のことをいいます。
心機能や呼吸機能など生命の維持に関する機能や立つ・座る・歩くといった基本動作など,日常生活に必要不可欠な心身機能の回復・改善・維持をすることと,例えば右半身不随になってしまった場合に左利きの訓練を行うなど、失った身体構造を補完することが治療の目的です。
具体的なケアとしては準備運動やトランポリン、滑り台、ダンス、体操や軽いスポーツを行っていきます。

●応用的動作能力
応用的動作能力とは食事・排泄・家事など日常で必要となる活動のことを言います。
日常生活に必要とされる活動を回復・改善・維持することが治療の目的です。
具体的なケアとしてはセルフケアの練習(食事・排泄・着替え・入浴など)、各種管理の練習(金銭・貴重品管理や火の元の管理など)、外出訓練、コミュニケーションの練習、福祉用具の作成・使用、退院後の住環境の適応訓練など身の回りのことを行います。木工・手芸、将棋、園芸などを取り入れるなどして、豊かな生活のサポートも行います。

●社会的適応能力
社会適応能力とは地域活動への参加、就労や就学のことを言います。
地域活動への参加、就労や就学に不便が無いよう訓練を行うことが目的で、具体的には対人技能訓練や生活圏拡大(外出活動や各種施設・公共交通機関の利用など)、職業訓練(計算やパソコン操作)だけでなく書字や絵画、音楽、各種ゲームなども行います。

このように、患者さんが自分らしい生き方を送れるように健康と幸福を促進していけるように、日常生活を行う上での様々な作業に焦点を当てて治療を行っていきます。
また、治療だけでなくライフスタイルの再設計や生活環境の改善、家庭や職場の関係者との相談調整なども行うなど、幅広く業務を行っています。

作業療法士になる方法(資格取得方法等)

作業療法士は国家資格です。
作業療法士になるには受験資格を得て、国家試験に合格しなければなりません。
次の条件を満たした人は受験資格を得ることができます。

  • 作業療法士の養成課程がある学校(大学、短大、専門学校。以下養成校といいます。)で3年以上学び、所定の課程を修了している者(卒業見込みも含む)。
  • 理学療法士の資格を取得しており、作業療法士の養成校で2年以上学んだ者。
  • 外国で作業療法士の学校を卒業した者
  • 外国で作業療法士の免許を取得した者

作業療法士の養成校は全国にあります。
修養年数は3年から4年となっていますが、卒業するまでに修得する知識や技術に差はありません。養成校では医学的な基礎知識を学ぶところから実際の現場での臨床実習を行うところまで、幅広く知識や技術を習得することができます。

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資格難易度や試験について

試験について

作業療法士の国家試験は毎月2月頃に実施されます。
年によって合格率は異なりますが、平均80%程度です。2019年度は合格率71.3%で、新卒者だけだと80.0%でした。
養成校で勉強をしてから受験をするため合格率は決して低くないと言えます。
しかし、仮に不合格になっても翌年試験を受けることはできますが、合格率が下がってしまうところを見ると、養成校でしっかりと勉強をしておかなければ合格は難しいということになるかと思われます。

●試験の概要

受験書類の配布:2019年10月下旬以降

受験書類の受付:2019年12月16日(月曜日)から2020年1月6日(月曜日)までに作業療法士国家試験運営本部事務所に郵送で提出、または作業療法士国家試験運営臨時事務所に直接持参する。

試験日程:筆記試験…2020年2月23日(日曜日)
口述試験及び実技試験…2020年2月25日(火曜日)
※口述試験及び実技試験は重度視力障がい者の方のみ

試験地:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県及び沖縄県
(口述試験及び実技試験については東京都のみ)

試験科目:一般問題…解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む。)、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法
実地問題…運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

口述試験及び実技試験…重度視力障害者に対して、筆記試験の実地問題に代えて次の科目について行う。運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発達学を含む。)及び作業療法

合格発表:2020年3月23日(月曜日)

今後の作業療法士の将来性

全国には7万人を超える作業療法士の有資格者がいます。
数字を見るとかなり多く見えますが、実際の現場では作業療法士が足りないと言われています。そのため求人数が多く、就職先には困らないといえます。
求人を出しているのは医療機関だけではなく、介護福祉施設やリハビリテーション施設、教育機関などがあります。

また、日本の現状として「超高齢化社会」に突入していくことから、作業療法士の仕事の1つである「老年期障がい」に関する仕事が増えると考えられるため、この先も需要は増えていくと考えられます。

これまで病院のリハビリテーション科などの医療機関が作業療法士の一般的な就職先でしたが、前述したように介護福祉施設やリハビリテーション施設、教育機関などからも求人が来るため、病院以外で働く割合も増えてきています。

これらのことから将来的にも仕事が無くなったり求人が減ったりする可能性が低く、需要が増えていく可能性がある作業療法士の将来性は十分にあると言えるのではないでしょうか。

作業療法士の就職先

作業療法士の主な就職先はやはり病院です。70%近くは病院に就職しているそうです。病院以外だと

  • ・介護老人保健施設
  • 老人福祉施設、デイケア
  • 診療所
  • 養成校
  • 児童福祉施設
  • 老人訪問介護ステーション
  • 身体障害者更生援護施設
  • 行政機関(保健所、ハローワーク、就労支援事業施設など)
  • 指定障がい者福祉サービス事業所
  • 指定障がい者支援事業所
  • 有料老人ホーム
  • 特別支援学校

などが就職先として挙げられます。

作業療法士に向いているのはこんな人

作業療法士になるにあたって特別な資質を求められることはありません。
しかし患者さんに寄り添っていくことができる人であることが大切です。
ここまで見てきたように作業療法士の仕事の範囲は幅広く、日常生活を送ることができるようになるサポートから家に帰って生活をすることができるようになるサポートまで行わなければなりません。

患者さんがうまく体を動かすことができず落ち込んだり、イライラしたり、精神的に不安定になることもあると思います。そんな時に患者さんの気持ちに寄り添いサポートすることができる、辛くてくじけそうな患者さんに前を向いてもらうことができるよう根気強くいられる、患者さんの気持ちや体調などの小さな変化にも気づくことができる観察力がある…そういった人が作業療法士に向いている人だと言えるのではないでしょうか。

他にも患者さんと関わるだけでなく他のスタッフとの連携を取るための高いコミュニケーション能力を持っている人や、リハビリテーションを行う際には生活だけでなく遊びや仕事に関わる色々な作業を行うため、色々なことに興味を持てる人、好奇心がある人などが求められる人材として挙げられます。

作業療法士に関連する職業や資格

関連する職業

どのような患者さんの治療を行うのかにもよりますが、作業療法士は医師や看護師、理学療法士や言語聴覚士、介護福祉士、栄養士など、様々な関連職種の人と関わることになります。

関連する資格

前述したように作業療法士の資格をお持ちの方は理学療法士の資格を取ることもできますが、必要性が低いことから両方取得する方はあまりいらっしゃらないようです。

一方で、スキルアップのために作業療法士としての各種能力が一定水準以上あると認定される資格である「認定作業療法士」、介護プランや自治体との調整などを行うための「ケアマネジャー」の資格、患者さんの最良の栄養管理を行い、疾病の治療や合併症の予防を目指すために「栄養サポートチーム専門療養士」の資格を取得するなど、作業療法士の資格を取得していることによって受けられる資格、作業療法士として一定の実務経験を積むことによって受けられる資格が人気だそうです。

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