助産師になるには

  • 2019.12.25
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助産師の概要や仕事内容

助産師とは?

助産師は女性のみ取得できる国家資格です。
出産に立ち会い、赤ちゃんを取り上げるイメージがありますが、それだけではなく妊婦さんの健康管理や食事の指導、産後は褥婦(※)さんの体調管理や母乳・乳児の指導を行うなど、妊娠中から出産後まで、母子の健康を守るための一連の業務を行っています。

※褥婦(じょくふ)とは、妊娠・出産によって変化した母体や生殖器が、分娩終了後に妊娠前の体に戻るまでの「産褥」の期間にある女性のことを言います。

助産師の仕事内容とは?

保健師助産師看護師法第3条において、助産師は「この法律において「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう」とされています。
手術をしたり、麻酔を打ったりという医療行為は医師でないとできませんが、正常分娩であれば医師の指示がなくても自分の判断で分娩介助をすることが可能です。そのため独立して「助産院」を開業することもできるのです。

では助産師の仕事内容を「産前」「出産」「産後」に分けて詳しくみていきましょう。

●産前
医師と協力して「妊婦健診」や、妊娠生活中の食事や運動などについての「各種指導」、母親・父親になる心構えや産後の沐浴方法などを教える「両親学級」、陣痛周期や入退院など出産に関する基礎知識を伝える「母親学級」など、妊婦さんに対するアドバイスやサポートを行っていきます。
また、妊娠中は母親になる不安などからマタニティブルーになってしまうなどメンタル的に不安定にもなりやすいため、メンタルケアも行います。

●出産
出産時には「分娩介助」を行います。
分娩介助とは分娩前の準備から分娩中の妊婦のケア、赤ちゃんの取り上げ、赤ちゃんと産後の妊婦の清拭など、お産の初めから最後までのあらゆる作業のことを言います。
助産師は分娩がスムーズに進む提案やケアをしながら一緒に進めていくという大変重要な役割を果たしているのです。
一般的な分娩の場合は医師1名、分娩介助を行う助産師1名と赤ちゃんを受け取る助産師(または看護師)1名で分娩が行われます。

●産後
産後は褥婦の体調管理や母乳指導、育児指導、乳児の保健指導などいろいろな管理指導を行います。ほかにも退院後の生活や育児のアドバイスなども行っています。

助産師になる方法(資格取得方法等)

助産師は国家資格です。
そして、助産師になるためには看護師の資格がなければなりません。
最短ルートは看護大学に進学し、看護師と助産師両方の国家試験に合格し、資格を取得するルートです。
両方の国家試験を受けて助産師だけ合格したとしても、助産師の資格を得ることはできません。翌年以降にまた看護師国家試験を受けて合格すれば助産師免許の申請をして資格を得ることができます。

助産師国家試験を受けるためには受験資格を得なければなりません。
受験資格は高校卒業後に次の条件を満たした人が得ることができます。
①看護師国家試験に合格した者
②看護師国家試験の受験資格を得たもので、かつ次のいずれかの条件を満たした者
(1)文部科学省が指定した学校で6か月以上助産に関する学科を修めた者
(2)文部科学省が指定した助産師養成所を卒業した者
(3)外国の看護学校を卒業した者、または外国の看護師免許を得た者であって、厚生労働大臣が(1)(2)に掲げるものと同等以上の知識及び技能を有すると認めた者

といっても少しわかりにくいですので、助産師になるための主なルートで受験資格を確認してみましょう。

●4年制大学(文部科学大臣指定の看護学科・助産師養成課程)
卒業することで看護師国家試験と助産師国家試験の受験資格を得ることができます。
ダブル受験ですが前述した通り助産師国家試験に合格しただけでは助産師になることはできません。
※これが看護師資格を持っていない状態で助産師になる最短ルートですが、大学在学中に助産師課程に進むためには「学内選抜試験」に合格する必要があります。
学内選抜試験に合格できる人は一握りとなっていますので、かなり狭き門だといえます。

●4年制大学、短大、専門学校(文部科学大臣指定の看護学科)
卒業することで看護師国家試験の受験資格を得ることができます。
卒業後は看護師国家試験を受験、合格したのちに短大や専門学校、大学院などで助産師課程を修得した後、助産師国家試験の受験資格を得ることができます。

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資格難易度や試験について

試験について

助産師国家試験は毎年2月上旬ごろに行われます。
合格率は90%台後半とかなり高めです。ここ数年だと一番低い年で93.0%、高い年は99.9%の方が合格しています。
きちんと勉強していれば取得できる資格ですが、助産師になるまでに看護師の資格を取らなければなないため、看護師国家試験と助産師国家試験を同時に取得しようと考えている方は両方の資格の勉強をしなければなりません。
また、新卒の合格率は高めですが既卒の合格率は新卒より2割程度低くなる傾向にあるようですので、既卒の方はよりきちんと勉強をして臨むことになるでしょう。

看護師国家試験も助産師国家試験も、落とすための試験というよりはまじめに勉強していれば合格できる資格だと考えられますので、いずれにせよしっかりと勉強して国家試験に臨めば合格する確率は高いと言えます。

●試験の概要
受験書類の配布:受験願書・受験手続に必要な書類は以下の場所や方法で請求することができる。
・各学校養成所
・助産師国家試験運営本部事務所または厚生労働省医政局医事課試験免許室に郵送で請求
・助産師国家試験運営臨時事務所の窓口で請求

受験書類の受付:2019年11月15日(金曜日)から2019年12月6日(金曜日)までに助産師国家試験運営本部事務所に書留郵送、または助産師国家試験運営臨時事務所に直接持参で提出する。

試験日程:2020年2月13日(木曜日)

試験地:北海道、青森県、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県

試験科目:基礎助産学
助産診断・技術学
地域母子保健
助産管理
※助産師国家試験には「一般常識・状況設定問題」があり、必修問題は5一般常識が75問/1問1点で75点、状況設定問題が35問/1問2点で70点。60%以上正解しなければなりません(年度によって前後することがあります)。

合格発表:2020年3月19日(木曜日)

今後の助産師の将来性

いまどんどん少子化が進んでおり、ついに2019年の出生数は90万人を割るという予想が発表されたそうです。
少子化しているのではこの先助産師の需要は少なくなっていくのでは…?と思われるかもしれませんが全国的に産科の医師が不足していること、助産師として働く人が減少していることなどから助産師の需要は高くなってきています。

実際に医師不足によって「助産師外来」といって経験豊富な助産師が医師の代わりに妊婦健診を行う医療機関が増えているといいます。助産師に診てもらうことで相談しやすく、リラックスして検診を受けられるという声もあるようです。
このように、助産師が活躍する場が増えていますし、いくら少子化とはいえ出産がなくなることはありません。
この先も助産師の需要がなくなることはないと考えられるため、将来性は十分にあるといえるでしょう。

助産師の就職先

助産師の主な就職先は病院や診療所で、2017年の看護関係統計資料集によると、病院と診療所が占める割合は約87%になります。
そのほかは助産院や保健所、市町村役場や教育機関などとなっています。

助産師に向いているのはこんな人

助産師は「かわいい赤ちゃんが好きだから、赤ちゃんにかかわるお仕事がしたい」という単純な理由では成り立ちません。
助産師は人ひとりの誕生をサポートする素晴らしいお仕事ですが、出産の場面は必ずしも幸せとは限りません。不幸な場面があったり、悲しい思いをすることもあります。
赤ちゃんという一つの命を大切に思う気持ちを持っていることが大切です。

また、出産が大変なのは妊婦だけではなく、助産師も同じなのです。
長時間陣痛が続いている間も助産師はフォローをしなければなりませんし、出産が長引けば勤務時間に関係なく分娩介助を行わなければなりません。さらにいうと陣痛は夜中に起こることも多いというデータからわかるように、普通に夜勤もありますし、場合によってはオンコールなどで呼び出しをされることもあります。
つまり、体力や精神力が必要です。

そして、よく「妊婦は病気ではない」といわれます。
実際そうなのですが、妊娠中は体の変化やひとつの命が体の中にある不安、これから起こる生活の変化などで体や心がつらくなっているものです。妊娠による体調不良が起こることもあります。
気持ちがピリピリしたり、不安になったり、体調不良になっている妊婦さんに対して温かい心で接してあげることができる人というのも大切な条件になるでしょう。

命を大切に思えて、体力精神力があるひと、そして温かい心を持っている人が助産師に向いているということになるのではないでしょうか。

助産師に関連する職業や資格

関連する資格

●エキスパート助産師
ハイリスク出産などより幅広い範囲の分娩に立ち会ったり、積極的に経験の浅い助産師のサポートをすることができるといった、助産師としてより高い知識や技術を高めたい人のための資格です。約600時間の講習(学科と臨床)に参加して認定を受けることができます。

●認定看護師
特定の看護分野において高水準の看護実践ができるよう、熟練した看護技術と知識を持つ者として日本看護協会の認定を受けた看護師のことを言います。
助産師であれば「不妊症看護」や「感染管理」「新生児集中ケア」などを受講してスキルアップをすることができます。

●専門看護師
認定看護師と同じく日本看護協会の認定を受けた看護師なのですが、こちらは患者やその家族のために質の高いケアを行うための特定分野の知識や技術を備えた看護師です。
こちらも「母性看護」などを受講することでスキルアップが図れます。

●民間資格
たとえばマタニティヨガやベビーヨガのインストラクター、アロマテラピー、母乳関連の資格など、民間にも妊婦さんや赤ちゃんにかかわる資格がたくさんあります。
特に助産院などを開業しようと考えている方はこのような民間資格があってもいいのではないでしょうか。実際の産婦人科などでもこのようなレッスンを行っている教室はたくさんあります。

このように助産師のスキルアップの資格はたくさんあります。
どのような助産師を目指すのか、どのように働くのかなどによって取得を検討してみてはいかがでしょうか?

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