照明スタッフになるには
- 2021.02.16
照明スタッフの概要や仕事内容
照明スタッフとは?
照明スタッフはライブやコンサート、劇場、映画制作、テレビ番組などの照明プランの作成や、照明機材の操作を行う人のことをいいます。
単純に光を当てているわけではなく、どうすればより良く見えるかといった計画から照明器具の準備、最後は撤収まで照明に関する業務を幅広く行っています。
では想像以上に忙しい照明スタッフの仕事について詳しくみていきましょう。
照明スタッフの仕事内容とは?
照明スタッフが活躍するのは前述したライブやコンサートといった舞台や映画の演出などです。
そこで照明スタッフが行う仕事は
・照明の計画、打ち合わせ
・照明機材の準備、搬入、セッティング、撤去・撤収
・本番のオペレーション
・安全管理
などが挙げられます。
例えばライブやコンサート・舞台であれば、照明を使うことによってアーティストや音楽、演出、構成が引き立つように計画をしていかなければなりません。具体的にはコンセプトや曲調、構成に合わせた照明の色や照明の当て方などです。
そのため多くの照明機材の中から適切な機械を選び、どういった演出をしたらアーティストが引き立つのか、空間を作り上げることができるのかなどを舞台監督やディレクター、アーティストなどと詳細に打ち合わせをしていきます。
演出によってはアーティストの着替えの時間などに照明を使った幻想的な空間を作ることもありますので、この計画・打ち合わせの段階が非常に重要となっています。
計画が通れば本番前に機材を準備・搬入し、照明のオペレーション(実際に照明機材を使って光を放つこと)などを行い、本番後は照明機材の撤去や撤収を行うというのが照明スタッフの仕事の一連の流れとなります。
行う業務内容が多いため、特に大きい規模の会場でライブやコンサートが行われる場合、照明スタッフは「プランナー」と「オペレーター」に分けられます。
プランナーは計画段階を、オペレーターはオペレーションを行います。
照明スタッフになる方法(資格取得方法等)
照明スタッフになるための特別な資格はありませんが、照明に関する専門的な知識は必要不可欠となります。
そのため映像系や美術家の大学、専門学校などで照明の専門知識を得てから就職するケースが一般的です。
また、就職する際に知識があることの証明をするため、スキルアップをするためなどの目的で関連する資格を取得する人も多いようです。
照明スタッフが取得している資格には次のような資格があります。
・照明士
⇨詳細は後述します。
・照明コンサルタント
⇨住宅や店舗・事務所など日常生活に役立つ照明計画や照明コンサルティングに必要な照明技術を通信教育で学ぶことができる。
・照明技術者技能認定
⇨エンターテイメントに欠かすことができない照明の知識や技術をはかることができる認定試験。照明設計や調光操作、照明機材の配置や保守・管理の知識が必要で、2級を受験するためには1年以上の実務経験が、1級を受験するためには2級取得後3年以上の実務経験もしくは5年以上の実務経験が必要となっています。
資格難易度や試験について
試験について
ではおすすめの資格のうち、照明士について参考にみていきましょう。
照明士は一般社団法人照明学会が認定する称号で、取得している人は照明に関する専門知識を持つスペシャリストという位置づけとなります。
通信教育で受講し、認定条件を満たせば合格となります。通信教育であるという特徴から大学に通ったり働いたりしながら取得することができる資格となっており、忙しい人にもおすすめの資格となっています。
ただし、専門性が高い認定資格となりますので5年ごとにレポートの提出とスクーリングに参加することによって資格を更新しなければなりません。
ではどういった条件を満たせば資格を取得することができるのかチェックしてみましょう。
●試験の概要
※下記は2020年の講座日程です。
講座申込受付:2020年3月2日〜5月20日
講座期間:2020年6月〜2021年2月
受講資格: 照明学会の会員であること。
(学生会員は、受講の翌年度から正会員へ会員種別を変更)
カリキュラム:
Ⅰ編:照明設備
Ⅱ編:視覚の基礎、色彩学
Ⅲ編:初等幾何光学と測光量
Ⅳ編:光環境の見え方とその役立ち
Ⅴ編:市街地のトラフィック
Ⅵ編:視覚情報表示とシステム
Ⅶ編:防災照明システム
Ⅷ編:生物環境
Ⅸ編:工業分野
Ⅹ編:光エネルギーの障害
Ⅺ編:照明関係の安全基準
Ⅻ編:環境与件
付録
認定条件:各回の演習問題とレポートの全てに合格し、スクーリング履修が認められること。但し、学会の会員資格がない場合は認定されない。
今後の照明スタッフの将来性
照明機材や映像技術は日々進歩していますので、照明スタッフが行う業務の幅は広がっています。
単に光を照らすだけでなく、コンピューター技術を使った照明のプログラミングやコントロールを行うことによって多彩な演出ができるようになっています。そのため照明による表現は更に自由にできるようになりました。
また、今やライブやコンサート、テーマパークなどでは定番になっているプロジェクションマッピングの映像技術も、音楽と映像・照明の組み合わせとなっています。プロジェクションマッピングの場面でも照明スタッフの技術が問われることになります。
このように照明スタッフの活躍の場所はたくさんあります。
さらに今ライブやコンサートの市場は右肩上がりとなっており、公演数も増えていることから、需要も十分にあると考えられます。
そのため照明スタッフの将来性はあると言って良いのではないでしょうか。
ただし、節電や省エネといった問題も解決しなければなりませんので、照明技術はもちろんですがLEDなどを使った省電力での演出なども求められるので、そういった課題をこなしていくことができる能力が求められるでしょう。
照明スタッフの就職先
照明スタッフの主な就職先には次のような場所があります。
・照明専門会社
・照明メーカー
・照明販売店
・テレビ制作会社
・映画制作会社
・公共施設
・結婚式場
・ショークラブ
・建築設計事務所
・工務店
・モデルハウス
・インテリアデザイン会社
・フリーランス など
みていただいたらわかるように、大きな会場から日常生活に関わるまで広く照明スタッフが活躍する場所があります。
照明スタッフの平均年収・MAX年収
照明スタッフの平均年収は約300~600万円となっており、日本人の平均年収と比較しても決して高い年収になるとは言えません。アルバイトの募集も多いため、それが全体の平均年収を引き下げているという要員もありますが、正社員として就職してもそれほど高くないのが現状のようです。
もちろん就職先によっても異なりますが、中でも高年収になるのはテレビ局に就職して照明スタッフとして採用された場合で、30代で年収が1,000万円になるケースもあるようです。
また、フリーランスとして成功している人は普通に会社勤めしている人よりも高い年収を得ることができる場合もあります。
ただし多くの人はテレビ局の下請け会社や番組制作会社などに就職しているようですので高年収を得ることができる人は一握りとなってしまいそうです。
照明スタッフに向いているのはこんな人
照明スタッフはライブやコンサート、舞台などで活躍する仕事です。そしてライブなどには多くのスタッフが関わってきます。
その多くのスタッフと協力しあったりコミュニケーションを取ったりしながら作り上げていくことになりますので、挨拶がきちんとできる、礼儀正しいなど基本的な礼儀作法が必要ですし、コミュニケーション能力を欠かすことはできません。
そして前述したとおり照明スタッフが行う仕事は業務内容が多く、拘束時間が長いのも特徴です。
自分のタイミングというよりはアーティストや出演者たちの動きに合わせて自分も動かなければならないため、ライブのリハーサルの最初から最後まで参加するというケースもあります。
そのため長時間の勤務に耐えられる体力やタフさ、柔軟さ、長時間の仕事をしていても計画通りに照明の仕事ができる集中力なども必要となります。
照明スタッフに関連する職業や資格
●関連する職業
ライブやコンサートなど舞台を作り上げるためには多くのスタッフがいると言いましたが、プロデューサーや監督のもとに美術や音楽などのスタッフがいます。
・プロデューサー
・舞台監督
・脚本家
・演出家
・美術スタッフ
・音楽スタッフ
・音響スタッフ
・大道具・小道具スタッフ
・衣裳スタッフ
・ヘアメイクスタッフ など