生活指導員になるには
- 2020.05.14
生活指導員の概要や仕事内容
生活指導員とは
生活指導員とは、福祉系施設において利用者の健康管理や自立のサポートを行う職業です。
老人ホームや障がい者施設など、主に大人が入所する施設を対象に、利用者ひとりひとりのケアプラン作成や生活の管理を行っています。生活指導員は直接的な介護を行うわけではありませんが、利用者ひとりひとりの状態をよく理解し、時には看護師や栄養士とも連携しながら、より良い生活ができるような生活のコーディネートを行っているのです。
さらに、生活指導員は利用者本人に対する仕事だけでなく、その家族からの相談を受けたり利用者の世話をしている介護者の指導をしたりと、利用者をサポートする人々のケアも行います。
そんな生活指導員の仕事は、施設を利用する高齢者や障がい者が毎日を快適で健康に過ごすために、欠かせないものです。そして、今後も深刻化していくであろう高齢化社会において、その活躍は大きく期待されています。
生活指導員の仕事内容とは
先述のように、生活指導員の主な仕事は、福祉施設利用者の生活を管理し、ケアプランを作成することです。しかし、その具体的な仕事内容は多岐に渡ります。
そこでここでは、生活指導員の具体的な仕事を挙げてみましょう。
- ケアプラン作成
- 訓練プログラム、イベントの立案
- 介護者の指導
- 家族からの相談対応
- 利用者トラブルの仲裁
- 利用者の生活習慣チェック
- 他業種、外部機関との連絡業務、打ち合わせ
- 入退所手続き
- その他書類作成等事務仕事
このように、生活指導員は施設利用者ひとりひとりにあったケアプランを作成します。しかし、一言にプラン作成と言っても、適したプランを考えるためには、それぞれの利用者の健康状態や生活習慣、性格などを把握しておかなければならず、利用者本人とのコミュニケーションや情報収集が必要になります。
他にも、生活指導員は幅広い業務をこなし、施設全体をサポートしています。
生活指導員になる方法
生活指導員になるためには、社会福祉法により資格要件が定められています。規定の資格もしくは経験を有していることが、生活指導員になるための条件となるのです。
まずは、生活指導員になるための資格要件をご紹介しましょう。
●生活指導員になるための資格要件
①社会福祉士資格取得者
②精神保健福祉士資格取得者
③社会福祉主事任用資格取得者
※条件付き資格(規定期間の実務経験などが必要になる場合があります。)
・介護支援専門員
・介護福祉士
・老人福祉施設における施設長経験者
・特別養護老人ホーム等で、介護に係る計画作成の実務経験が1年以上ある者
・その他(長期における介護実務経験有り等)
このような条件の内どれかひとつを満たせば、生活指導員として働くことは可能です。
ただし、そのためには就職活動を行わなければならず、私立施設の場合にはその施設の採用試験を、公立施設の場合には公務員試験を受けることになるでしょう。これらに合格すれば、私立福祉施設、もしくは地方自治体から配属された公立福祉施設で、生活指導員として働くことができます。
生活指導員に求められる資格や試験
生活指導員に求められる資格は、前章の通りですが、ここではその中から「社会福祉士」資格についてご紹介しましょう。
社会福祉士とは生活が困難な人々に対して福祉サービスを提供する職業です。そして、社会福祉士になるためには国家資格である「社会福祉士」資格の取得が必要になります。さらに、この資格を取得するためには、規定の学歴や実務経験などといった要件を満たし、その後国家資格試験に合格しなければなりません。
国家資格試験を受けるための規定要件は、以下の12ルートに分けられます。
●社会福祉士国家資格試験を受験するための指定要件
-福祉系大学・短大等における指定科目履修を経る場合
①福祉系大学(4年)にて指定科目履修
②福祉系短大(3年)にて指定科目履修+相談援助の実務経験1年以上
③福祉系短大(2年)にて指定科目履修+相談援助の実務経験2年以上
-一般養成施設(1年以上)等を経る場合
①一般大学(4年)+一般養成施設等入学・修了
②一般短大(3年)+相談援助の実務経験1年以上+一般養成施設等入学・修了
③一般短大(2年)+相談援助の実務経験2年以上+一般養成施設等入学・修了
④相談援助の実務経験4年以上+一般養成施設等入学・修了
-短期養成施設(6ヶ月以上)等を経る場合
①福祉系大学等(4年)にて基礎科目履修+短期養成施設等入学・修了
②福祉系短大等(3年)にて基礎科目履修+相談援助の実務経験1年以上+短期養成施設等入学・修了
③福祉系短大等(2年)にて基礎科目履修+相談援助の実務経験2年以上+短期養成施設等入学・修了
④社会福祉主事養成機関(2年以上)にて相談援助の実務経験2年以上+短期養成施設等入学・修了
⑤児童福祉士司もしくは身体障害者福祉士、審査指導員、知的障害者福祉士、老人福祉指導主事の実務経験4年以上+短期養成施設等入学・修了
このように、社会福祉士の国家資格試験受験要件は比較的厳しく定められています。これらの要件を満たした後には、実際に試験を受けることになりますが、試験の詳細については次章でご紹介しましょう。
難易度や試験について
「社会福祉士」国家資格試験の近年の合格率は、25〜30%程度と低く、かなりレベルの高い試験であることがわかります。さらに、先ほどご紹介した受験要件を鑑みると、総合的な難易度はかなり高いと言えるでしょう。
試験の概要は、以下の表をご覧ください。
受験日程 | 2月 |
受験料 | 15,440円(税込) |
試験会場 | 北海道、青森県、岩手県、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県、鹿児島県、沖縄県 |
試験形式 | マークシート |
試験時間 | 約2時間 |
受験資格 | 前章およびこちら(http://www.sssc.or.jp/shakai/gaiyou.html)をご確認ください。 |
合格条件 | 各科目の総得点60%以上 |
※2020年現在の概要です。
今後の生活指導員の将来性
現在の日本は、超高齢化社会です。割合では2.2人で高齢者1人を支える構図となっており、またこの先さらにその割合は増すと予想されています。そして、このような高齢者の人数および割合が増える背景により、今後の施設利用者も増加していくでしょう。
こういった背景を考えると、生活指導員の需要や仕事は今後ますます増加していくと予想され、その将来性は高いと考えられます。社会的に見ても、高齢者の健康的な生活に寄与する生活指導員の役割は大きいと言えるでしょう。
生活指導員の就職先
生活指導員の就職先は、高齢者や障がい者など、大人の利用者を対象とする福祉系施設です。主な例を挙げてみましょう。
こういった福祉施設の中でも、生活指導員は特に知的障害者のための施設において多く活躍しており、施設利用者の生活をサポートしています。
生活指導員の平均年収・MAX年収
生活指導員の年収については、情報がほとんどなく、不明です。
しかし、生活相談員やケアマネージャー、ケースワーカーなど、生活指導員と同じく福祉に関わる職業の年収が300〜400万円ほどであることを考えると、生活相談員の年収も同等程度であると予測されます。
ただし、待遇は勤務形態や勤務先、勤続年数などによっても大きく変わるため、個々が受け取る年収には差がある可能性もあります。
生活指導員に向いているのはこんな人
生活指導員の仕事は、施設を利用する高齢者や障害者の健康に深く関わるものです。そのため、業務を行うにあたって責任感は必須。重要な仕事を担っていると自覚した上で、適切な対応を行うことが求められます。
また、生活指導員には優れたコミュニケーション能力や相手の立場に立って考えられる気遣い、思いやりも必要です。なぜなら、生活指導員は施設利用者やその家族、スタッフ、関連機関従事者など、多くの人と関わり、さらに施設の利用者にはさまざまな問題や不安を抱えている人も多いためです。
加えて、社会や人の役に立ちたいという熱意もあると良いでしょう。
生活指導員に関連する職業や資格
生活指導員に関連する職業
生活指導員に関連する仕事には、以下のようなものがあります。
- 生活相談員
- ケアマネージャー
- ケースワーカー
- ソーシャルワーカー
- ホームヘルパー
- 社会福祉士
- 社会福祉主事
- 介護福祉士
- 児童指導員
このような職業は、それぞれ対象者や具体的な役割は違うものの、全て生活指導員と同じ福祉に関わる仕事です。
中でも生活指導員と生活相談員は混同されやすいですが、生活指導員が施設利用者の健康や生活を管理するのに対し、生活相談員は主に施設利用者やその家族に対する窓口業務を行なっており、その業務内容はやや異なります。
生活指導員に関連する資格
生活指導員に関連する資格には、先ほどご紹介した「社会福祉士」資格の他にも、「社会福祉主事」資格や「介護福祉士」資格があります。特に「社会福祉主事」資格は、生活指導員として働くための要件にもあたる資格であり、関連性は深いと言えるでしょう。
また、「ケアマネージャー」をはじめとするその他の介護系、福祉系資格も、生活指導員の仕事に役立つと考えられます。
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