福祉住環境コーディネーターになるには

  • 2020.05.14
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福祉住環境コーディネーターの概要や仕事内容

福祉住環境コーディネーターとは

福祉住環境コーディネーターとは、福祉の観点から住環境のアドバイスを行う職業です。福祉だけでなく、医療や建築についての知識を併せ持ち、障がい者や高齢者にとっての住みやすさを考慮しながら、住宅の改修プランの提案や介護・生活用品の開発、使用方法のアドバイスなどを行っています。
例えば、バリアフリー化の提案もそのひとつで、段差をなくしたり手すりを付けたりといったことも、施工を行う工務店や介護プランを担当するケアマネージャーなどと連携しながら、また依頼者のニーズに沿って行っていきます。
このように住環境が整えば、家族や介護士の補助なしに生活できる障がい者や高齢者は多く、つまり福祉住環境コーディネーターの仕事は障がい者・高齢者の自立支援も担っていると言えるでしょう。
日本は高齢化が大きく進み、介護や医療による高齢者のサポートが課題とされてきました。そんな中で、福祉住環境コーディネーターは課題の一端を担うことができる職業であり、住環境の面から超高齢化社会を支えていくことが期待されています。

福祉住環境コーディネーターの仕事内容とは

福祉住環境コーディネーターの主な仕事を挙げてみましょう。

  • 新築・リフォーム・リノベーションにおける改修プラン作成
  • 新築・リフォーム・リノベーションにおけるプラン提案
  • 介護用品・生活用品の提案、使用のアドバイス
  • クライアントヒアリング
  • 関連職との打ち合わせ(医療従事者や介護従事者、工事業者等)
  • 施工チェック
  • 書類作成等事務作業
  • 電話、メール等顧客対応

福祉住環境コーディネーターは、依頼者の自宅を訪問し、問題点やニーズの把握、または施工後の安全性や利便性の確認を行うなど、現場に行くことが多い仕事です。
また、個人の住宅だけでなく、老人ホームやケアハウスといった介護施設のコーディネートを手掛けることもあります。

福祉住環境コーディネーターになる方法

福祉住環境コーディネーターとは、東京商工会議所により認定されている民間資格のひとつであり、その職名で働いている人はあまり多くありません。建築や介護、医療関連職など障がい者や高齢者に関わる仕事に就いている方が、専門的知識を増やし仕事の幅を広げるために、福祉住環境コーディネーター資格を取得しているケースがほとんどでしょう。
よって、福祉住環境コーディネーターを名乗るには福祉住環境コーディネーターの資格取得が必要ですが、その後就職するためには建築や介護、医療関連職の経験や知識を持っていた方が良いと考えられます。障がい者や高齢者のケアに関わる専門分野での知識や実務経験を持って、福祉住環境コーディネーター資格を取得し、その後福祉住環境コーディネートを行う会社や団体に就職するのが一般的な流れだと言えるでしょう。

福祉住環境コーディネーターに求められる資格や試験

先述のように、福祉住環境コーディネーターは、東京商工会議所が認定する民間資格です。そしてこれに合格すれば、福祉住環境コーディネーターの称号が与えられます。
そんな福祉住環境コーディネーター資格試験の内容は、医療・福祉・建築に関する総合的なものとなっています。また、そのレベルは1級・2級・3級と3種に分けられており、受験者は建設業や医療業、福祉関連業に就いている人が多数。また学生の受験も多く、将来的な期待度も感じられます。
介護の現場はもちろん、建築関連職や医療関連職にも役立つこの資格のニーズは、高齢化が進む日本において今後ますます高まっていくでしょう。

難易度や試験について

福祉住環境コーディネーターの合格率は、1級が13.8%、2級が44.6%、3級が55.8%でした(2019年の場合)。最もレベルが低い3級であっても合格者は半数なので、全体的にその難易度は高めだと考えられます。
試験の概要は、以下の表をご確認ください。

1級 2級 3級
受験日程 7月 7月・11月
受験料 11,000円(税込) 6,600円(税込 4,400円(税込
試験会場 全国都道府県の指定場所
試験形式 マークシート、記述 マークシート
試験時間 前半2時間、後半2時間 2時間
受験資格 2級合格者 特になし
合格条件 マークシート、記述のどちらもの得点率が総得点の70%以上の正解率 総得点の70%以上の正解率

※2020年現在の概要です。

今後の福祉住環境コーディネーターの将来性

先ほども触れたように、日本では高齢化が今後も進んでいきます。そしてそれに伴い、介護や医療によるサポートの重要性が注目されると同時に、住環境の整備による生活サポートも重要視されるようになるでしょう。個々の障がいに合わせた住環境を提供できれば、より多くの人が自立した生活を行え、それは障がい者や高齢者の生き生きとした生活にも繋がります。また、キャパシティに限界のある介護や医療分野にとっても、自立のサポートに繋がる住環境のコーディネートは大きなメリットとなるでしょう。
このような社会的に重要な役割を、福祉住環境コーディネーターは担います。よって、そのニーズは今後も広がりを見せると予想され、将来性は高いと言えるでしょう。

福祉住環境コーディネーターの就職先

福祉住環境コーディネーターの主な就職先は、医療機関や保健センター、介護施設、工務店、建設会社、リフォーム会社などです。また、介護用品関連会社や障がい者支援のNPO法人などで福祉住環境コーディネーターを募集していることもあります。
ただし、福祉住環境コーディネーターに限定した求人はまだまだ少ないのが現実。一般的には、建築士や福祉系の相談員など他の職業と兼任する場合が多く、また採用にあたっては、介護や医療、建築分野での経験も重視されます。
つまり、福祉住環境コーディネーターとして就職するためには、幅広い関連知識や経験が重視されるのです。

福祉住環境コーディネーターの平均年収・MAX年収

先ほども述べたように、福祉住環境コーディネーターの仕事は、他の仕事と兼任している方がほとんどです。そのため、福祉住環境コーディネーターとしての平均年収を出すのは難しく一概には言えないのですが、目安の年収は350万円ほどだと言われています。
ただし、この金額は勤続年数や年齢、また地域によっても違ってきます。また、雇用形態が正社員か非正規社員かによっても待遇は大きく変わるため、個人差は大きいと言えるでしょう。

福祉住環境コーディネーターに向いているのはこんな人

ご紹介してきたように、福祉住環境コーディネーターには、医療や介護、建築に関する知識が必要です。このすべてに対して知識を持ち、またその知識を広める努力ができなければ、依頼者にとって本当に過ごしやすい住環境の提案はできないでしょう。よって、医療・介護・建築すべての分野に興味を持ち、知識を深める努力ができる方は、福祉住環境コーディネーターに向いていると考えられます。
さらには、相手の立場に立って物事を考えられる想像力や、依頼者のニーズを引き出したり他職種とスムーズな連携を取ったりするためのコミュニケーション能力も、福祉住環境コーディネーターには求められるでしょう。

福祉住環境コーディネーターに関連する職業や資格

福祉住環境コーディネーターに関連する職業

福祉住環境コーディネーターに関連する職業には、ケアマネージャーや建築士、また医療従事者などがあります。福祉住環境コーディネーターは、これらの職業の担当者と連携して、業務を行うことが多いためです。
また、同じ福祉関連の仕事には、社会福祉士という職業もあります。この職業は、さまざまな理由で生活に困難を抱えている人々の相談を受けサポートするもので、福祉住環境コーディネーターと同じように障がい者や高齢者のサポートを行い、社会を支えています。

福祉住環境コーディネーターに関連する資格

福祉住環境コーディネーターに関連する資格には、介護福祉士やケアマネージャー、介護職員初任者研修(ホームヘルパー)などが挙げられます。これらは全て介護に関する資格であり、その知識は被介護者の視点での住宅・介護用品作りに大きく役立つでしょう。
また、建築士やインテリアコーディネーターといった建築系の資格も有効。優れた住まいの提案は建築に関する知識がなければ難しく、福祉住環境コーディネーターで扱う分野にプラスアルファとなる知識を持っておけば、それは実務において強みになるでしょう。
このように、介護分野や建築分野に関する資格は、福祉住環境コーディネーターの仕事に生かすことができます。

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