ガイドヘルパー(外出介護員)になるには

  • 2020.02.28
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ガイドヘルパー(外出介護員)の概要や仕事内容

ガイドヘルパー(外出介護員)とは?

 ガイドヘルパーとは外出介護員(移動介護従事者)の通称で、全身性障がいや視覚障がい、知的障がいなどの障がいを持つ方の外出介助を行う職種です。

 要介助者にとって移動とは、仕事や学校に通う、銀行や役所に手続きに出かける…といった必要最低限のことだけではなく、ランチを食べに行ったり散歩をしたりというその人らしいライフスタイルの実現をするためにも重要なことなのです。
 不自由なく移動できる人は誰にも迷惑をかけずに移動をすることができますが、要介助者は誰かに迷惑をかけるのがいやで諦めてしまうことがあります。
 要介助者がやりたいことだけではなく自立した生活や社会参加を実現することにもつながります。
 ガイドヘルパーはそのための移動を手助けする重要な役割を担っているのです。

ガイドヘルパー(外出介護員)の仕事内容とは?

 ガイドヘルパーの仕事は要介助者が持つ障がいの特性によって提供する介助内容が異なります。
 
●視覚障がい者ガイドヘルパー
視覚障がいによって移動が著しく困難な障がい者などを対象としたガイドヘルパーです。
外出に同行し移動のサポートを行うだけでなく、移動時や外出先で必要な情報を提供することも行います。言葉での状況を説明や、代筆なども行います。
排泄や食事など、外出先で必要となる生活動作のサポートも行います。

●全身性障がい者ガイドヘルパー
四肢に機能障害があり、1人で移動することが困難な要介助者のサポートを行うガイドヘルパーです。
生まれつきの脳性麻痺の方、脳血管障害や事故などの後遺症を持っている方、脊髄や頚椎を損傷してしまった方、ALSや筋ジストロフィーなどの進行性疾患の方など、さまざまな障がいを持つ方が対象となります。
視覚障がい者ガイドヘルパーと同じように移動だけでなく排泄や食事など、外出先で必要となる生活動作のサポートも行います。

●知的障がい者ガイドヘルパー
知的障がいや精神障がいがある方が外出する際のサポートをを行うガイドヘルパーです。
知的障がいがあっても、人それぞれコミュニケーションのとり方や興味を持つもの、記憶力や判断力が異なります。要介助者の特徴に合わせてサポートを行う必要があります。
要介助者の中には、小学生ぐらいの年齢から余暇活動に利用している子どももいます。ガイドヘルパーとのコミュニケーションを通して、自立や社会参加への一歩となっているケースもあるのです。

ガイドヘルパー(外出介護員)になる方法(資格取得方法等)

 移動を安心・安全にサポートできるように、ガイドヘルパーは研修を通して一定の知識やサポート技術を身につけなければなりません。
研修修了後に都道府県よりガイドヘルパーの資格が与えられます。
障がいの種類によって研修内容が異なりますので、それぞれの研修について見ていきましょう。

●視覚障害者ガイドヘルパー
視覚障害者ガイドヘルパーは「同行援護従業者養成研修」という研修で専門知識を学びます。
一般課程と応用課程があり、それぞれの課程を単独で受講することもできます。
ガイドヘルパーとして働きたい人は一般課程を修了すれば視覚障がい者の外出介助に従事することができます。応用課程まで修了した者はサービス提供責任者になることができます。
研修の内容には次のようなものがあります。
・視覚障がい者(児)福祉サービス
・同行援護の制度と従業者の業務
・障がい、疾病の理解
・障がい者(児)の心理
・情報支援と情報提供
・代筆代読の基礎知識
・同行援護の基礎知識
・演習(移動支援の基本技術・応用技術、場面別の移動支援の技術)
自治体や都道府県が指定した福祉系の学校、社会福祉協議会などで研修が実施されています。受講する場所によって費用が異なりますが、自治体が実施する研修では、非常に安価で実施されていることもありますので費用についてはよく確認しておきましょう。

●全身性障害がい者ガイドヘルパー養成研修
全身性障がい者ガイドヘルパーは「移動支援従業者養成研修・全身性障がい者課程」を修了しなければなりません。障がい者自立支援法に基づく資格で、市町村によってはこの資格を取得していなければ全身性障がいの方の外出介助を行うことはできません。

全身障がいがある方の移動をするにあたっては身体介護が必要なことが多く、研修の内容にも盛り込まれています。介護福祉士、ホームヘルパー1・2級、介護職員初任者研修課程修了など介護職の資格を有している方は、科目免除の対象となり、費用が安くなることもあります。
研修の内容には次のようなものがあります。
・ホームヘルプサービスに関する知識
・ガイドヘルパーの制度と業務
・障がい者(児)福祉の制度とサービス
・障がい者(児)の心理
・重度脳性麻痺者など全身性障がい者を介護する上での基礎知識
・移動介護にあたっての一般的注意
・演習(移動介助の方法、排泄や食事といった生活行為の介護)
同行援護従業者養成研修と同じく、受講する場所によって受講料が異なります。科目免除についても研修を主催する団体によって条件が異なりますのであらかじめ確認をしておきましょう。

●知的障がいガイドヘルパー研修
知的障がいガイドヘルパーになるには「移動支援従業者養成研修・知的障がい者課程」を修了しなければなりません。研修は、介護職員初任者研修課程修了者などすでに外出サポートを行っている人だけではなく、これから取り組みたいという人も対象としています。ただし、地方公共団体によっては有資格者でなければ受講できないとしているところもありますし、他の研修と同じく受講料も異なります。あらかじめ確認しておきましょう。
研修の内容には次のようなものがあります。
・ホームヘルプサービスに関する知識
・ガイドヘルパーの制度と業務
・障がい者(児)福祉の制度とサービス
・障がい疾病の理解
・障がい者(児)の心理
・移動介護の基礎知識 など
なお、知的障がい者や精神障がい者の外出に関わる研修に「行動援護従業者養成研修」というのがあります。行動援護は、その行動に適切なサポートが求められる知的障がいや精神障がい、発達障がいのを持つ人が、安全に外出できるように知識や技術を学ぶ研修です。
2018年より外出介護員として仕事に携わるためには、研修の修了と、知的障がい者や精神障がい者と直接接した実務経験1年以上が必須となりました。

※介護職員初任者研修課程修了(旧ホームヘルパー2級)や介護福祉士などの資格を持っている方は知的障がい者の外出支援や介護を業務として行うことができます。

資格難易度や試験について

ガイドヘルパーになるための試験はありません。
前述した研修のすべてのカリキュラムを履修すると、修了証明書を授与されます。

ガイドヘルパー養成研修は、各課程とも14~20時間程度、3~5日間の講習で実施する機関がほとんどです。
 

今後のガイドヘルパー(外出介護員)の将来性

 ガイドヘルパーは人手不足ですので、就職や転職しやすくなっています。
指定同行援護事業所においては、2014年10月以降は視覚障がい者ガイドヘルパーを修了しているサービス提供責任者の配置が必須となりましたので、特に視覚障がい者ガイドヘルパーの応用課程修了者は就職、転職がしやすくなります。

介護職員初任者研修課程修了者は外出援助を行うことができますので、わざわざ講習を受ける必要はありません。しかし、ガイドヘルパー資格を取得することで外出援助について詳しく学ぶことができるため、介護職者としての視野が広がります。

 高齢化により体が不自由になる高齢者の方が増えてガイドヘルパーの需要が高まる可能性もありますので、十分に将来性があると言えるでしょう。

ガイドヘルパー(外出介護員)の就職先

 ガイドヘルパーの就職先には次のような場所があります。
  ・障害福祉サービス事業所(居宅介護、同行援護)
  ・訪問介護事業所
  ・市町村の実施する移動支援事業を受託する事業所

ガイドヘルパー(外出介護員)の平均年収・MAX年収

 ガイドヘルパーの平均年収は約250~300万円となっているようです。
 ただし地域や就職先によって大きく変動しますので、例えば東京で調べたところ、高額な年収の職場であれば年収500万円〜600万円というところもありました。

 就職する前にいろいろと職場を比較して、よく探してみる方がよいでしょう。

ガイドヘルパー(外出介護員)に向いているのはこんな人

 ガイドヘルパーの仕事内容は外出時の介助ですので、老若男女問わずフットワークが軽い人に向いています。
要介助者の余暇活動に同行し、楽しむ姿を見られるのもやりがいになるでしょう。

ガイドヘルパー(外出介護員)に関連する職業や資格

関連する職業

 ガイドヘルパーをしていく中で、介護の資格を取得したいと考える方がいるそうです。
 介護の資格と言えば
  ・介護職員初任者研修(いわゆるヘルパーの資格)
  ・介護支援専門員実務研修(ケアマネージャーになるための研修)
  ・介護福祉士(介護職唯一の国家資格)
 などがあります。
 ガイドヘルパーとしてスキルアップを目指すだけでなく、ヘルパーなどとして働くこともできますし、両方の資格を取得していると言うことで就職が有利になる可能性もあります。

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