エンバーマーになるには?│仕事内容や必要な資格、オススメ学校をご紹介!
- 2019.12.25
エンバーマーの概要や仕事内容
エンバーマーとは?
エンバーマーはエンバーミングを行う人のことです。
エンバーミングとは「遺体衛生保全」のことで、遺体を衛生的に修復・保全して長期間保存することができる施術のことを言います。保存ができる期間は数日~2週間ほどだと言われています。
また、エンバーミングを行うことによって、病気や事故で亡くなってしまった方の遺体を生前の元気だったころの姿に近づけることができます。
土葬が主流のアメリカなどではエンバーミングはとても一般的な方法ですが、火葬が主流の日本ではこれまであまり注目されていませんでした。
しかし、エンバーミングを行うことによって生前の姿に近い姿でお別れができることや、葬儀までに時間がかかることがあり、その間に遺体が変化してしまうことを防ぐためなどから最近は注目されるようになってきました。
エンバーマーの仕事内容とは?
日本では「おくりびと」という映画などでも取り上げられた「納棺師」の仕事として、遺体を湯灌したりドライアイスで腐敗を防いだり、お化粧を施したりということが一般的に行われていることは広く知られていると思います。
エンバーミングはさらに遺体に化学的・外科医学的防腐処置技術を施すことによって、外観的に変化することなく長期間保存する方法なのです。
そして、遺体の一部(頸動脈部など)を切開し、動脈から全身にめぐらされている循環経路を利用して防腐剤を注入し、同時に静脈から血液を排出していきます。
また、腹部に金属管を差し込み、胸腔や腹腔に残った血液や腐敗する可能性がある残存物を吸引し、そこにも防腐剤を注入します。
防腐剤の注入が終わったら、切開した部分の縫合を行い、損傷部分の修復を行っていきます。損傷部分についてはテープを貼るなどして目立たなくします。
亡くなった方を生前の元気な姿に近づけるように、防腐剤に色素を入れて肌を自然な肌色にしたり、事故などで損傷があった場合は修復を行い元の状態に近づけたりします。
例えば遺体に陥没している箇所がある場合はシリコンを注入するなどします。
技術者のレベルによっては、数時間で表情がわからない状態から嘘のようにきれいな顔に戻すことができるそうです。
そして最後に、もう一度全身を洗浄し、衣服を着せて化粧などを施します。
これがエンバーミングの仕事です。
このように遺体の腐敗を防ぐこと、殺菌・消毒を行うことで衛生的に遺体を保ち感染症などを防ぐことはもちろん、遺体をきれいにすることによって、遺族が亡くなった方ときちんとお別れをすることができるようになります。
実際に、病気で亡くなった方がガリガリに痩せてしまい、残された遺族が「この人は自分が知っているあの人ではない!」とお別れできずに悲しんでいたところ、エンバーミングを施して生前の元気な状態に近づいたことで気持ちの整理がつき、きちんとお別れをすることができたという例もあったそうです。
ドライアイスを使わなくても済むため、時間が経って肌の色が変わっていく姿を見て悲しむこともありません。感染もしないので亡くなった方の体に触れることもできます。
ただし、湯灌のように立ち会うことはできません。
施術をする2~3時間の間は遺体と離れることになります。
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エンバーマーになる方法(資格取得方法等)
エンバーマーになるには一般社団法人 日本遺体衛生保全協会(IFSA)が認定する養成学校に通うか、海外に留学して学ぶかのどちらかの方法でエンバーマーの資格を取得することになります。
ここでは日本で資格を取得する方法についてみていきましょう。
日本にある養成学校は神奈川県と大阪府、福岡県にある3件のみです。
この養成学校で一般教養や葬祭学、遺体衛生保全、実習などを2年間学び、必要な知識や心構え、技能を学びます。
卒業後はIFSAのエンバーマー資格試験を受験します。
合格したらエンバーマーとなりますが、国家資格ではありません。
資格難易度や試験について
試験について
まず、エンバーマーの養成学校に入学するには次のいずれかの条件を満たさなければなりません。
・外国の学校教育において12年の課程を修了した者
・文部科学大臣が指定した者
・文部科学大臣が行う高校卒業程度認定試験、または大学入学資格検定に合格した者
養成学校の卒業後はIFSA認定のエンバーマー試験を受験します。
年1回(3月の予定)の試験となっていますので、卒業後すぐにエンバーマーとして働きたい方は一回で合格しておきたいところです。
しかし、合格率は約50~60%とされており、決して簡単な試験ではありません。しっかりと在学中に勉強しておくことが大切です。
今後のエンバーマーの将来性
注目されているとはいえ、ほとんどの遺体が火葬されている日本ではエンバーミングは主流ではありません。
しかし2011年の東日本大震災の際に身元不明の遺体を一定期間保存するためにエンバーマーが活躍したことや、高齢化社会で亡くなる人が増えているため葬儀までに時間を要し一定期間保存が必要なこと、孤独死の増加によって損傷の激しい遺体が増えており、その修復が必要なことなど、様々な理由からエンバーミングの需要が増えてきています。
また、IFSAはエンバーマーの人数が少なく限界である状態から脱出するために、人数を増やし施術件数を増やしたいとしていますので、まだまだ人手が足りていない状況ということもわかります。
これらのことから、エンバーマーは将来的に必要とされていくことがわかります。
余談ですが、エンバーマーは国家資格ではないため規制する法律がありません。
そのため手荒な処置をしたり、湯灌やエンゼルケア(死後処置として行われる遺体清拭など)をエンバーミングだとして高額な料金を請求する悪徳な業者がいることが問題視されています。
この状況を打開するためIFSAはエンバーマーの国家資格化と法制化を急いでいると言います。
これから先国家資格になる可能性があるという点からしても、エンバーマーの資格を取っておくことはメリットになるかもしれませんね。
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エンバーマーの就職先
エンバーマーの主な就職先は葬儀会社です。
大手葬儀社、納棺専門会社、冠婚葬祭互助会などが挙げられます。
日本で外国の方が亡くなった場合は、エンバーマーが遺体の処置を行い、役所で手続きをして故国に送り出すそうです。
衛生上の問題があり、エンバーマーの処置が施されていない遺体は航空機に乗せられないのだそうです。
このような場面でもエンバーマーの仕事があることがわかりますね。
エンバーマーに向いているのはこんな人
亡くなった方の遺体を扱うデリケートな仕事であるエンバーマーに向いている人は、防腐や化粧の知識やスキルを持っているだけではなく、損傷が激しい遺体などをもとの状態に近づけることができるよう解剖学の知識を持っている人であることが求められます。
また、愛する家族が亡くなった悲しみを抱える遺族と接する機会がありますので、悲しみを理解してあげることができる優しい気持ちと、同時に感情に流されずにエンバーミングを行うことができる冷静さも大切です。
残された遺族が亡くなった方ときちんとお別れをすることができる大切なお仕事です。
遺族のことを考えて、亡くなった方と向き合える人はエンバーマーに向いていると言えるでしょう。
エンバーマーに関連する職業や資格
関連する職業
葬儀全般の手配や演出を行う職業です。
葬儀プロデューサーや葬儀ディレクターと呼ばれることもあります。
遺族の要望や予算を考慮した葬儀の演出や、斎場や葬儀場、火葬場、祭壇の手配や役所の手続きの手助けも行います。
●神職など
亡くなった方やその遺族の宗教によって異なりますが、仏式の場合は僧侶、神式は神主、キリスト教は牧師などが式を執り行います。
●納棺師
納棺師は亡くなった方を棺に納める際に必要な作業を行う人のことです。
遺体の湯灌をしたりドライアイスで腐敗を防止したり、含み綿で表情を整える、メイクをする、髭をそるといったことを行います。
葬儀が終わるまで遺体状態の保全・管理を行って遺された人たちがきちんとお別れをすることができるようにする仕事です。
他にも葬儀にかかわる司会者や花屋さん、霊きゅう車やマイクロバスのドライバーなど、いろいろなスタッフと関わることになります。
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