車掌になるには
- 2021.02.16
車掌の概要や仕事内容
車掌とは
車掌とは、電車を安全でスムーズに運行するための乗車義務を行う職業です。運転士のように電車の運転は行わず、電車発車時の安全確認や合図、車内での切符確認、乗客案内といった車内での事務・案内業務を担っています。
車掌は、鉄道関連の代表的な職業として、広く活躍してきました。しかし最近では、ワンマン運転の増加により車掌業務を取り止める鉄道会社も出てきています。とはいえ、安全確保や案内業務は、まだまだコンピューターだけでは十分に行えません。電車業務は特に人々の安全に深く関わるため、安全性を確保するために、どうしても人による車掌業務が必要になることもあります。
つまり、車掌は、コンピューターでは賄えない安全性の確保やスムーズな運行を支える役目を果たしているのです。
車掌の仕事内容とは
車掌の仕事は、電車に乗り、スムーズな電車の運行をサポートすることです。具体的な仕事内容を挙げてみましょう。
- 電車の出発合図
- 電車の扉の開閉
- ホーム、電車内の安全管理
- 電車内アナウンス
- 乗客の案内、補助
- 切符の確認、販売
- トラブル対応
車掌は、出発時の確認やアナウンスを行うだけではなく、新幹線や特急電車の車両を回って、切符の確認や販売も行っています。また、必要に応じて乗客の案内や補助、トラブルにも対応します。
このように、電車の運行が円滑にそして安全に進むよう、車掌はホームや電車内での総合的な案内や管理業務を担っているのです。
車掌になる方法
車掌になるためのルートは、高校や大学、短大、専門学校を卒業後、鉄道会社に就職するというのが一般的です。就職にあたっては、学歴や経歴、資格についての規定はなく、就職して車掌職に配属されれば車掌になることはできます。
しかし、鉄道会社入社後にすぐ車掌職に抜擢されることはほぼありません。まずは駅員として実務経験を積み、各社の車掌登用試験に合格してはじめて車掌として働けます。
そのため、車掌になるためには、就職後の実務に対する取り組みや向上心が重要になるでしょう。
車掌に求められる資格や試験
車掌になるために、必ず取得しておかなければならない資格、及び合格しておかなくてはならない資格はありません。資格はなくても、鉄道会社に就職して車掌職に任命されれば、車掌として働けます。
車掌に求められるのは、電車を安全でスムーズに運行させるための知識や優れた判断力です。そのため、実務の中で経験を積んでその時々の適切な対応を学び、知識及び判断力を身に付けていくことになるでしょう。
ただし、車掌からキャリアアップして運転士になるためには、「動力車操縦者運転免許」が必要になります。
今後の車掌の将来性
近年、電車の運行はコンピューターによって管理されることが多くなりました。機械化の流れは今後も続くと予想されることから、車掌の役割に対する需要も減少していくと考えられます。
しかし、安全確認や案内、緊急時の対応においては、どうしても人による業務が必要になることもあります。そのため、車掌職が完全になくなることはないでしょう。
職業としての将来性を高めるためには、車掌から運転士へのキャリアアップが有効です。運転士は専門性の高い職種であり、また、今後機械化は電車の運転にも及ぶと考えられるものの、運転を完全に機械に任せることは考えにくいためです。運転士になるためには車掌職の実務経験や資格の取得が必要であるため、技術や知識を高める努力が必要でしょう。
車掌の就職先
車掌になるための就職先は、鉄道会社です。鉄道会社は日本各地に多数存在し、地域の交通を繋いでいます。
また、鉄道会社は運営形態によって、大きく以下の4種に分けられます。
- JR
日本国有鉄道が民営化された鉄道会社。JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州の6会社に分割されている。 - 私鉄
民間企業によって運営されている鉄道会社。短距離を繋ぐ鉄道が多い。
例:京王電鉄、小田急電鉄、東京メトロ、名古屋鉄道、近畿日本鉄道等 - 第三セクター
第一セクターと呼ばれる国または地方公共団体と第二セクターと呼ばれる民間企業が共同で運営している鉄道会社。
例:ゆりかもめ、多摩都市モノレール、千葉都市モノレール、三陸鉄道、愛知環状鉄道、信楽高原鉄道 - 公営鉄道
自治体や地方公営企業によって運営されている鉄道会社。
例:東京都交通局(浅草線や新宿線、日暮里舎人ライナー等)、名古屋市交通局(名城線、東山線等)、大阪市交通局(御堂筋線、四つ橋線等)、福岡市交通局(空港線、箱崎線等)
それぞれの鉄道会社によって、地域はもちろん、特徴や待遇、求人の有無は異なります。そのため、車掌として就職を目指すなら、まずは就職したい鉄道会社の情報を集め、選定することから始めることになるでしょう。
車掌の平均年収・MAX年収
車掌の年収は、550万円ほどが相場になります。月収にすると、35万円前後でしょう。
日本人全体の平均年収は400万円台なので、比較すると、車掌の年収は高い水準にあると言えます。
ただし、勤める鉄道会社やキャリア、年齢などによって年収は大きく変わります。特に、規模が大きなJR系の鉄道会社に車掌として勤める場合には、他の鉄道会社よりも高年収が見込めるでしょう。一方、規模の小さな鉄道会社であれば、年収が300万円台であることもあります。
また、年齢で言うと、車掌の年収は50代が最も高く、700万円近くの年収を得ている人もいます。
車掌に向いているのはこんな人
車掌には、このような人が向いています。
- 管理能力が高い人
- 優れた判断能力を持つ人
- コミュニケーション能力が高い人
- 責任感がある人
- 電車が好きな人
車掌は、電車を安全に、そして時間通りに運行させることが仕事です。そのため、顧客や運行時間を管理するための高い管理能力は、車掌にとって必須です。
さらに、車掌は電車を利用する多くの顧客と接し、不測の事態には臨機応変な対応をしなければならないため、優れた判断能力やコミュニケーション能力も求められるでしょう。
また、車掌は電車の安全な運行に欠かせない役割を担っているため、十分に役割を果たすためには、強い責任感や電車への熱意も必要です。そのため、電車が好きな人や責任感の強い人も、車掌に向いていると言えます。
車掌に関連する職業や資格
車掌に関連する職業
車掌に関連する職業をご紹介します。
- 運転士
電車やバスの運転を担う職業。 - 駅員
切符の販売や問い合わせ対応等、駅構内業務を担う職業。 - 鉄道整備士
鉄道車両及び線路、機器等の点検や整備、修理を行う職業。 - 鉄道会社社員(営業・開発・企画等)
所属する鉄道会社の営業や企画、広報、誘致等を担い、新たなサービスやイベントを開発していく。
これらは全て鉄道会社に所属する職業で、仕事の内容は、電車の運行に直接的に関わる仕事と裏方として鉄道会社の運営を行う仕事に分けられます。
運転士や整備士をはじめとするこれらの職業は、それぞれが専門業務を担当し、安全でスムーズな電車の運行を支えています。
車掌に関連する資格
車掌に関連する資格をご紹介します。
- 動力車操縦者運転免許試験
動力車を操縦するために必須となる国家資格。免許は12種に分かれている。動力車とは、電車や新幹線、蒸気機関車、路面電車、モノレール等。 - 鉄道設計技士試験
鉄道設計業務の総合的な管理能力を認める登録試験。合格者は、「鉄道設計技士(鉄道土木/鉄道電気/鉄道車両)」の称号を受けられる。 - サービス介助士試験
高齢者や障害を持つ人を介助するための技術を、知識・対話・実践の面から認定する資格試験。
「動力車操縦者運転免許」は電車の運転士として働くために必須であり、「鉄道設計技士」は鉄道設計職の実務に役立ちます。
また、「サービス介助士」資格は、車掌として乗客の案内を行う際に生かせます。
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