コンサートスタッフになるには
- 2021.02.16
コンサートスタッフの概要や仕事内容
コンサートスタッフとは?
コンサートスタッフとは、コンサートに関わって働くすべてのスタッフのことです。
1つのコンサートは多くのスタッフの支えによってできています。
どのようなスタッフがいるのか、それぞれどういった仕事をしているのかをチェックしていきましょう。
コンサートスタッフの仕事内容とは?
さて、コンサートスタッフと聞いてまず思い浮かぶのは誰でしょうか。
ぱっと思い浮かぶのはグッズ販売やチケットもぎり(チケットの確認をして半券を切り取る作業)、会場の警備など目に見えるスタッフではないでしょうか。
しかし実際のところ目に見えない、聞きなじみのないスタッフも実はかなり多いのです。要は裏方と言われる人たちですね。
具体的には以下のようなスタッフがいます。
・プロモーター(イベントの企画、準備、運営などを請け負う人)
・演出家
・舞台監督(演出家のイメージを実現する現場監督)
・美術家(ステージのデザインや演出)
・大道具(ステージの設計や施工)
・照明(曲や構成に合った照明を行う)
・音響(=ミキサー。音質や音量の調整)
・衣裳(衣装の製作を行う)
・ヘアメイク
・スタイリスト
・映像(ステージなどに設置された再生装置の設営や再生)
・トランスポーター(機材を運ぶトラック運転手など)
・ローディー(楽器の調整やケア、機材の取り扱いを行う)
このうち音響や映像、照明の仕事を行っている人たちは「ステージエンジニア」という専門職です。専門性が高いので中には資格を取得している人もいます。
そして、目に見えるスタッフはコンサートの前後で次のような仕事があります。
●コンサート前
・機材搬入、セッティング
・来場客に渡すチラシ準備
●コンサート開演前
・グッズ販売
・クローク(案内や手荷物預かり)
・チラシ配布
・チケットもぎり
・持ち物検査
・会場案内
・警備
●コンサート開演中
・会場内の警備
●コンサート終演後
・出口案内
・機材撤収
・清掃
このように、非常に多くの仕事があり、その分だけ多くのスタッフがコンサートを支えているのです。
実際に働くのはコンサート当日とかその前後の数日間ですが、数日にまとめられているからこそスタッフの業務量はかなり膨大です。アルバイトの募集は約半日であることが多いですが、実際のところは早朝から夜まで丸1日を費やすこともざらにあります。
コンサートスタッフになる方法(資格取得方法等)
コンサートスタッフになるための特別な資格はありません。
体力や気力があれば働くチャンスがあります。
アルバイトの場合は、求人誌や求人サイトなどから求人を探して応募します。採用されればコンサートスタッフとして働くことができます。
正社員の場合も同じく求人を探して応募します。専門学校などで前述した裏方の仕事の専門知識を学んでいる人やコンサートスタッフとしての経験がある人などは就職に有利になる可能性があります。
特に就職に有利になる資格として、裏方を支えることができる資格を取得しておくと良いでしょう。
その中でひとつ、「舞台機構調整技能士」の資格についてご紹介します。
資格難易度や試験について
試験について
●舞台機構調整技能士
舞台機構調整技能士は厚生労働省が主催、都道府県職業能力開発協会が実施する国家資格の1つです。
舞台機構調整に関する学科及び実技試験に合格することで取得することができます。
舞台機構調整技能士は音響のバランス・クォリティーを任される仕事を担うため、試験で出題されるミキシングコンソールや台本に基づいた音量調整、マイクのセッティング、出演者とのコミュニケーションといった基本能力などをクリアすることによって、音響技術を証明することができるようになります。
試験は1級~3級まであり、取得するとそれぞれ上級技能者、中級技能者、初級技能者が通常有すべき技能を持っているとされます。
舞台機構調整技能士の資格者はコンサートホールや劇場、舞台などの音響装置を扱う音響エンジニアやPAエンジニアとして活躍しています。
●試験の概要
※下記は2021年に開催される1・2級の試験の日程です。
受験書類の受付:
2020年10月5日(月)~10月16日(金)
試験日程:
実技試験…2021年1月中旬~2月中旬
学科試験…2021年2月3日(水)
試験地:
北海道、宮城県、秋田県、山形県、埼玉県、東京都、神奈川県、
石川県、静岡県、愛知県、大阪府、島根県、岡山県、福岡県、長崎県
大分県、鹿児島県
試験科目:
舞台に関する全般的な知識、舞台機構・照明の基本的な知識と音響に関する基本と専門的な問題を真偽法(正誤を判断する)と択一法(正解に○を付ける)によって答える学科試験、実技試験は二種類あり、音を聞いて質問に答える要素試験と実際にセッティングから音を出すまでの作業試験があります。
合格発表:
2021年3月12日(金)
今後のコンサートスタッフの将来性
CDの売り上げが減少していると言われている一方で、ライブやコンサートの公演数や入場者数、売上金額は年々右肩上がりに増加しています。
また、映像技術も日々進歩しているので映像技術に特化した技術者も必要とされています。
そのためこの先もコンサートの需要があることは間違いなく、映像技術を扱うことができるスタッフの需要は高まると考えられます。
これらのことからコンサートスタッフの将来性は十分にあると言えるでしょう。
コンサートスタッフの就職先
コンサートスタッフの主な就職先には次のような場所があります。
●プロモーター・ステージエンジニアなど
・イベント制作会社
・プロモーション会社
・放送局
・広告代理店
・レコード会社
●その他スタッフ
・派遣会社
・警備会社
・イベント会社 など
コンサートスタッフの平均年収・MAX年収
コンサートスタッフはアルバイトから正社員まで幅広くいることや、専門性の違いから平均年収を出すことは困難です。
例えばプロモーターとして活躍する人は年収1,000万円を越える人もいますし、少しだけアルバイトで働いたと言う人は数万円になることもあるでしょう。
また、同じコンサートでも都会と地方では時給や日給が異なります。
参考までに、コンサートスタッフとしてのアルバイトの平均時給は約1,200円、派遣会社の平均時給は約1,300円、正社員の平均年収は約375万円となっています。
コンサートスタッフに向いているのはこんな人
コンサートスタッフはまず音楽やイベントに興味がある人に向いている仕事です。
その上で、たくさんのスタッフとコミュニケーションを取りながらコンサートを裏方として作り上げて盛り上げていくということに楽しさを見いだせる人だとより楽しく仕事ができるでしょう。
同時に力仕事や長時間の仕事になる可能性が高いため、気力や体力に自信がある人だとなお良いでしょう。
ステージエンジニアとして働きたい人は、同じ音を出しても同じ照明を使っても会場によって調整が必要となるため、柔軟な対応力と確かな耳・目を求められるでしょう。
コンサートは観客に興奮や感動を与える素敵なイベントです。
それを成功させることに喜びを感じることができる人はコンサートスタッフとしての素質を充分に持っているのではないでしょうか。
コンサートスタッフに関連する職業や資格
●関連する資格
前述した舞台機構調整技能士以外にも、取得すれば就職に有利になる可能性がある資格をいくつかご紹介しておきます。
●照明技術者技能認定
日本照明家協会が主催する、照明の知識や技術をはかる認定試験です。
照明はコンサートなどの舞台やテレビ番組、コマーシャルなどに欠かすことができません。アーティストや町の明かりに目を奪われるのは、計算された照明技術によるものです。
この資格がないと照明の仕事ができないというわけではありませんが、照明の設計や調光操作、保守管理など幅広く照明の知識を得ることができますのでコンサートにおける照明係のステージエンジニアとして活躍したい人は取得しておきたい資格の1つと言えるでしょう。
●映像音響処理技術者資格検定
日本ポストプロダクション協会が主催する、映像コンテンツ(テレビ放送やビデオオンデマンドサービス、ライブイベント等)の需要に対して高品質なコンテンツ制作を担っているのが音響処理技術者です。
音響処理技術者として働きたい人が知っておくべき知識や技術を取得することを目的とされた試験となっていますので、音響係として働くステージエンジニアは取得しておきたい資格です。
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