電気主任技術者になるには
- 2020.01.29
電気主任技術者の概要や仕事内容
電気主任技術者とは?
電気主任技術者は国家資格です。
電気主任技術者の資格を取得すれば、工場やビルだけでなく、発電所や変電所などの受電設備や配線などの電気設備の工事・保守や運用などの保安監督という仕事を行うことができます。
電気設備を設けている事業主は、電気工作物(電気設備)の保守や運用などのため、保安の監督者として電気主任技術者を選任しなければならないと電気事業法第43条1項に定められています。
法令により必要とされていることもあり、幅広く需要があるのが電気主任技術者です。
電気主任技術者の資格は第一種から第三種までの3種類があり、種類によって取り扱うことができる電圧が異なります。
第一種…すべての事業用電気工作物
第二種…電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
第三種…電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物
(出力5千キロワット以上の発電所を除く)
余談ですがよく「電験三種」などと呼ばれる電気主任技術者ですが、これは「電気主任技術者試験」の最初と最後の文字の「電」と「験」に種類を組み合わせたものですので、電験三種とは、電気主任技術者検定第三種のことを指します。
電気主任技術者の仕事内容とは?
では、電気主任技術者の仕事内容をチェックしていきましょう。
電気主任技術者の主な仕事内容には以下のようなものがあります。
・電気設備の点検(法定点検、定期点検など)
・電気設備の清掃(ショートなどを防ぐため)
・電気設備の保安
・電気設備異常発生時の緊急出動
・電気設備の修理(電気工事士の資格を持っていない場合は電気工事士に依頼をするなど)
・修理後の報告
・事業所の弱電設備の点検
・電気工事の監督
このように、電気主任技術者は電気設備のメンテナンスや蛍光灯の交換といった普通の作業から、電気設備の保全や点検・修理、複雑な電気回路の工事を監督といった責任重大な仕事まで幅広く業務を行っています。
また、電気設備が故障してしまった場合は昼夜を問わず現場に駆けつけなければなりません。設備が完全に直るまできちんと見届けなければならないのです。まさに電気設備のお医者さんといったところでしょうか。
電気主任技術者になる方法(資格取得方法等)
電気主任技術者の国家試験には受験資格がありません。
学歴・年齢だけでなく国籍などの制限もないので、誰でも受験できる国家資格なのです。実務経験も必要ありません。
ただし、電気主任技術者試験の受験者の多くは電気にかかわる仕事をしている人だといいますが、それでも合格率は10%以下という、知識があっても合格することが難しい試験となっています。
独学で試験を受けることは可能ですが、合格は難しいのではないかという見解になりそうです。工業系の大学に進学するか、資格スクールで勉強するなどして試験を受けることをおすすめします。
資格難易度や試験について
試験について
電気主任技術者の国家試験は毎年8月下旬頃~9月上旬ごろに行われます。
前述したとおり合格率は10%以下で、ここ10年ほどの合格率だと一番低い年が平成23年の5.47%、高い歳が平成30年の9.12%となっています。かなり厳しい試験になっています。
●試験の概要
※下記は2019年度の試験の日程です。
第一種電気主任技術者試験について記載しています。
受験書類の配布:2019年5月上旬~
希望部数に対応した切手を貼った返信用封筒を同封して、電気技術者試験センター本部事務局に郵送で請求可能。
受験書類の受付:2019年5月27日(月)~2019年6月12日(水)
インターネット申込みと郵送申し込みが可能で、郵送の場合は最終日の消印有効となります。インターンネット申し込みのほうが受験料が数百円安くなります。
試験日程:一次試験…2019年8月31日(土)
二次試験…2019年11月17日(日)
試験地:一次試験・二次試験ともに…北海道、宮城県、東京都、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県
試験科目:一次試験…
理論(電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測に関するもの)
電力(発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む)の設計及び運用並びに電気材料に関するもの)
機械(電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処 理に関するもの)
法規(電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理に関するもの)
二次試験…
電力・管理(発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む)の設計及び運用並びに電気施設管理に関するもの)
機械・制御(電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクスに関するもの)
合格発表:一次試験…2019年10月18日(金)
最終合格発表…2019年11月17日(日)
今後の電気主任技術者の将来性
電気主任技術者の試験は合格率が低く、有資格者の数が少なすぎて不足しているというのが現状です。そのため、電気主任技術者の資格を取得することができれば就職に有利なことは間違いないのではないかと考えられます。
実際に常に求人があり、就職先に困ることがないそうです。
現場で必要な資格としては、電気主任技術者の第三種があればほとんどの設備に対応できるといいます。第二種の資格が必要なのは10件に1件だそうです。
そうなると電気主任技術者の第三種を取得してしまえば、とりあえず電気主任技術者として困ることはないのではないでしょうか。
特に電気工事士の資格も持っている電気主任技術者であれば、年をとっても需要があるようですので将来働き続けることができる可能性もあります。
電気は私たちの生活に欠かすことができず、そのための保守点検業務は必要不可欠なのです。この先もよほどのことがない限り電気に代わるインフラが出てこない限りは、電気主任技術者の仕事はあり続けるという面からも、十分に将来性はあると考えられます。
電気主任技術者の就職先
電気主任技術者の主な就職先は
- 事業用電気工作物が設置されている事業所
- 事業用電気工作物の保安業務の請負業者
- ビルメンテナンス会社
などです。事業用電気工作物というのは電気設備の規模が大きく、回路構成や使用方法が複雑で、使用電圧が高圧以上の受電設備を持っている電気工作物のことを言います。
事業用電気工作物を設置している事業所などでは自社で保安業務を行うことも、外部に委託することもあります。そのため就職先も様々です。
電気主任技術者に向いているのはこんな人
電気主任技術者が取り扱うのは規模の大きな電気設備です。
その電気が安心・安全に使われるために保安や管理を行っています。
勤務先が工場だった場合は火力や太陽光なども取り扱っていますので、一歩間違えれば大変なことになってしまいます。
そのため、慎重な行動や、適切な判断が求められます。また、責任者として責任感を持ち、リーダーシップがあることも求められます。
電気主任技術者の仕事だけだと体力を使うことはあまりありませんので、電気工事士のように体力を求められることはないでしょう。
電気主任技術者に関連する職業や資格
関連する資格
電気設備を管理するための関連資格がいくつかあり、仕事をより良く進めていくために取得してはいかがかなと思う資格をいくつかピックアップしました。
●危険物取扱者
危険物取扱者の資格は甲種と乙種があり、甲種はすべての危険物、乙種は指定の危険物を取り扱うことができます。
危険物を取り扱う施設の電気主任技術者として勤務する場合は、取得すると仕事をスムーズに進められる可能性があります。
●消防設備士
建物の大きさや用途によってスプリンクラーなどの消防設備の設置が義務付けられています。電気主任技術者が勤務する施設は消防設備が設置されている施設であることが多いため、消防設備士の資格を取得しておけば仕事の幅が広がる可能性があります。
●ボイラー技士
ボイラーを取り扱うためにはボイラー技士の資格が必要です。
ボイラーは水や油を電気や高温ガスで加熱して蒸気・温水を作る装置ですので電気設備を使用する可能性があります。
勤務先が電気設備を使用するボイラーである場合は、ボイラー技士の資格があるとより良い仕事ができるでしょう。一般的なボイラー設備であれば2級の資格を取得すれば対応することができるようです。
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