介護福祉士になるには
- 2020.02.28
介護福祉士の概要や仕事内容
介護福祉士とは?
介護福祉士は介護職唯一の国家資格です。
介護福祉士については、社会福祉士及び介護福祉士法第2条第2項には次のように定められています。
要介護者に対する介護をするだけでなく、家族などの介護者にも介護の指導を行う役割を果たすのが介護福祉士ということになります。
実務経験を積んで、介護を必要とする方などを支える知識と技術をもつ介護の専門職として知られています。
介護福祉士の仕事内容とは?
介護福祉士は訪問介護員(ホームヘルパー)や社会福祉施設(特別養護老人ホームなど)の介護職員として業務を行っています。
具体的には、ケアマネジャーから決めた計画書に沿って、次のような業務を行います。
●身体介護
着替えや食事、入浴、排泄の補助などのことを言います。身体介護は介護福祉士の代表的な業務の一つです。他にも手足が不自由な方に対して立ち上がりや歩行の補助などあります。
●生活のサポート
炊事、掃除、洗濯、買い物といった日常生活に必要な作業のサポートも介護福祉士の業務です。主に訪問介護で行われる業務です。
●メンタルケア
要介護者の良い話し相手になる、レクリエーションなどを行う、近隣住民間の対人関係の構築を行うなど、利用者の心のサポートも介護福祉士の大切な業務の一つです。
●相談・指導・助言
要介護者やその家族の方と介護の方針についての相談、介護用具を使う際の指導、自宅で介護をする場合の注意点について行う助言なども介護福祉士の仕事の一つです。
介護福祉士になる方法(資格取得方法等)
介護福祉士になるには受験資格要件を満たして、国家試験に受験・合格しなければなりません。
受験資格は以下の通りです。
(1) 介護福祉士養成施設(2年以上)を2017年4月以降に卒業(修了)した方(※)
(2) 介護福祉士養成施設(1年以上)を2017年4月以降に卒業(修了)した方(※)
(3) 3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(※)で、実務者研修を修了した方(※)
(4) 3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(※)で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)を修了した方(※)
(5) 福祉系高校を2009年度以降に入学して、新カリキュラムを履修して卒業した方(※)
(6) 特例高校(高校:2009~2013年、2016~2018年度・専攻科:2009~2013年、2016~2018年度に入学)して、卒業した翌日後に9か月以上(従業期間9ヶ月以上、従事日数135日以上)介護等の業務に従事した方(※)
(7) 福祉系高校を2008年度以前に入学して、旧カリキュラムを履修して卒業した方
(8) 経済連携協定(EPA)であって、3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事した方(※)
※…それぞれ見込みを含む。
このうち(1)~(6)に該当する方は実技試験が免除されます。
資格難易度や試験について
試験について
介護福祉士の国家試験は毎年1回、1月下旬頃に筆記試験が、3月上旬頃に実技試験が行われます。
試験内容について詳しくみていきましょう。
●試験の概要
※下記は2020年の試験の日程です。
受験書類の受付:2019年8月7日(水)~9月6日(金)
試験日程:筆記試験…2020年1月26日(日)
実技試験…2020年3月1日(日)
試験地:【筆記試験】(34試験地)
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
【実技試験】(2試験地)
東京都、大阪府
試験科目:【筆記試験】(11科目群)
①人間の尊厳と自立、介護の基本
②人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
③社会の理解
④生活支援技術
⑤介護過程
⑥発達と老化の理解
⑦認知症の理解
⑧障害の理解
⑨こころとからだのしくみ
⑩医療的ケア
⑪総合問題
【実技試験】
介護等に関する専門的技能
合格発表:2020年3月25日(水)
実技試験を免除された方の合格発表もこの日に行われます。
今後の介護福祉士の将来性
これから迎える超高齢化社会に伴って、介護サービスの需要はさらに増えていく一方となります。そのため経験と知識、技術を持つ介護福祉士が重宝されることは間違いありません。
今は薄給・激務というイメージがありますが、介護職員の不足が問題になっていることなどもあり、政府が処遇改善策を打ち出しています。例えば介護保険の処遇改善加算や、外国人の登用、介護福祉士の人数に応じて補助金を出すといった対策がとられていますので、将来性があるのではないかと考えられます。
介護福祉士の就職先
主な就職先としては、訪問介護事業所や特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム、デイサービスなどがあります。
それぞれ簡単に特徴をチェックしておきましょう。
●訪問介護事業所
介護福祉士や訪問介護員(ホームヘルパー)が、要介護者の居宅などを訪問して身体介助や生活援助などを行います。
●特別養護老人ホーム
要介護者のうち中度~重度(要介護3以上など)の方が入居する公的な介護保健施設です。
身体介護や生活のサポート、レクリエーションだけでなく、看護職員と健康管理のサポートを行ったり理学療法士などのリハビリテーション専門スタッフが行う機能訓練のサポートを行ったりという業務も行います。
終末期ケアや看取りも行います。
●介護老人保健施設
高齢の要介護者が入居する公的な介護保険施設です。
要介護1~5の高齢者で、3ヶ月~6ヶ月程度の一定期間で退去することを前提に、医療ケアやリハビリをして在宅復帰のサポートを行っています。
病院と老人ホームの中間のような施設で、医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの医療従事者も多くいます。
●介護付き有料老人ホーム
民間事業者が運営する、有料老人ホームの中でも手厚い介護サービスを提供する介護保険施設です。施設ごとに入所要件が異なります。
その中で介護福祉士は基本的に中度~重度の要介護者の介護業務を中心に行いますが、運営する事業者の方針によって業務内容は異なります。
●デイサービス
日中に高齢者を施設に招いて身体介護やレクリエーションを行います。
基本的には日帰りサービスとなるため、夜勤がないところがほとんどです。
介護福祉士の平均年収・MAX年収
厚生労働省の発表によると、介護福祉士の平均年収は約350万円だそうです。
ただし、勤務先や夜勤の有無によって異なります。
東京都の求人によると最大600万円近い年収を打ち出している事業所もあります。都市部では年収が高い傾向にあるようです。
自分がやりたい業務内容で、高い年収の事業所を探してみると良いのではないでしょうか。
介護福祉士に向いているのはこんな人
介護福祉士は要介護者だけでなくその家族、また医療従事者など多くの人と接する機会が多い仕事です。コミュニケーション能力があり、人と接することにストレスがない人であることが求められるでしょう。
また、要介護者は高齢の方が多いため、会話や動作がゆっくりだったり困難だったりする方がいらっしゃいます。思いやりを持って接することができる人、介助を行うにあたって一定の体力がある人、要介護者の体調などの様子をよくみてあげられる人などが介護福祉士に向いているといえるのではないでしょうか。
介護福祉士に関連する職業や資格
関連する職業
ケアマネージャー
ケアマネージャーになるには要件があり、その中で「保健・医療・福祉系の国家資格を持ち、実務経験5年以上」というのがあります。
介護福祉士はこの国家資格要件に当てはまりますので、実務経験の要件を満たせばケアマネージャーを目指すことができます。
ケアマネージャーは正確には「介護支援専門員」といい、要介護者の心身や環境などの状況に応じてケアプランを作成し、要介護者やその家族に提案・実行していきます。
ほかにも要介護者の要望や意見を介護施設などに伝える役割もあり、長期の実務経 験が必須の職業であることがわかります。
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