ケアマネージャーになるには

  • 2020.02.28
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ケアマネージャーの概要や仕事内容

ケアマネージャーとは?

 ケアマネージャーは2004年4月から始まった介護保険制度の下にうまれた公的な資格で、正確には「介護支援専門員」と言います。
 要介護者やその家族からの相談に応じて適切なケアプランを作成し、提案・実行していくので介護のコーディネーターともいえる仕事です。

ケアマネージャーの仕事内容とは?

 具体的にはどのような業務を行っているのかチェックしていきましょう。

 ●要介護者やその家族との面接
   要介護者や要支援者から依頼があったら、まずはケアマネージャーが依頼者本人やその家族と面談を行います。
   面談を行う際には丁寧に内容を聞き取り、記録に残しておきます。また、要介護者などに介護サービスや介護保険制度についてきちんと説明をし、理解してもらうことが必要です。
   記録に基づいて、介護や支援のケアプランの作成を進めていくことになります。
   このケアプランによって介護や支援が行われるため、プランの作成はかなり重要な作業だといえます。

   この先介護や支援を受ける方やその家族との信頼関係を築くための大切な面接となります。

 ●課題の抽出
   面接による情報だけでなく、主治医などからの情報も収集し、要介護者の新進の状態や生活状況をより詳細に把握していきます。
   その上でどういったサービスを提供していくのかを明確にします。

 ●ケアプラン作成
   ここまでの情報を元に具体的なケアプランを作成していきます。
   作成したケアプランの内容や費用を要介護者などに理解してもらえるように情報の提供を行います。

 ●事業者との調整
   ケアプランに基づいてサービスを行う事業者を選定し、調整を行います。
   事業者と会議を行い、双方でケアプランや要介護者などの意向を共有して、具体的なサービス計画を立てていきます。
   
 ●最終合意
   事業者との間で立てたサービス計画をもとに、ケアプランを完成させます。
   完成したケアプランを要介護者などに説明して、同意を得ます。

 ●モニタリング
   事業者からサービスの提供が開始された後は、ケアマネージャーは定期的に要介護者を訪問してケアの実施状況や満足度などを伺います。
   必要に応じて再度課題の抽出を行い、ケアプランを更新します。
   要介護者の満足度や状況の変化に対応して、要介護者に合うサービスを提供できるようにしていきます。

ケアマネージャーになる方法(資格取得方法等)

 ケアマネージャーになるには、いくつかの段階を踏まなければなりません。
 
 ケアマネージャーになるためには「介護支援専門員証」を取得しなければなりません。
 取得するためには「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。
 また、その試験を受けるためには要件を満たす必要があります。
 要件は以下の通りです。
①指定された法定資格(※)を有する者が,要援護者に対する直接的な対人援助業務に従事した期間が通算して5年以上かつ従事した日数が900日以上である者
②相談援助業務を特定の福祉施設・介護施設・障害者施設などで従事した期間が通算して5年以上かつ従事した日数が900日以上である者

※指定された法定資格
・医師 ・歯科医師 ・薬剤師 ・保健師 ・助産師 ・看護師 ・准看護師 ・理学療法士 ・作業療法士 ・社会福祉士 ・介護福祉士 ・視能訓練士 ・義肢装具士 ・歯科衛生士 ・言語聴覚士 ・あん摩マツサージ指圧師 ・はり師 ・きゅう師 ・柔道整復師 ・栄養士(管理栄養士を含む) ・精神保健福祉士

 ちなみに2017年までは国家資格や相談援助業務に従事した期間がなくても介護施設等で5~10年の実務経験があれば受験資格を得ることができる特例がありましたが、2018年からはこの特例は廃止されています。

 
 まとめると、受験資格を得るために国家資格を有している者が対人援助業務に5年間(かつ900日以上)従事するか、国家資格がない場合は相談支援業務に5年間(かつ900日以上)従事します。
 受験資格を得たら、介護支援専門員実務研修受講試験を受験します。
 合格したら、介護支援専門員実務研修を受けます(87時間以上)。
 研修終了時には修了評価が行われ、合格すれば修了証明書が発行されます。
 その後都道府県の「介護支援専門員名簿」に登録し、ようやく介護支援専門員証の交付を受けることができます。

 なお、介護支援専門員証は有効期限が5年となっており、5年ごとに更新研修を受ける必要があります。

資格難易度や試験について

試験について

 では介護支援専門員実務研修受講試験についてみていきましょう。
 介護支援専門員実務研修は国家試験ではないため、各都道府県で管理されています。国家資格ではありませんが、公的資格となっています。
 毎年1回、10月に行われます。

 各都道府県によって詳細が異なりますので、参考に福岡県で行われる試験の概要をみてみましょう。

 ●試験の概要
 ※下記は2019年の試験の日程です。
受験案内の配布:2019年5月29日(水)~7月2日(火)
【配布場所】
県庁 高齢者地域包括ケア推進課
県の各保健福祉(環境)事務所
アクロス福岡2階 文化観光情報広場
北九州市役所及び各区役所(出張所含む)
福岡市役1階 福岡市情報プラザ
福岡市各区保健福祉センター及び各区出張所
各市町村介護保険担当課
公益社団法人福岡県介護支援専門員協会

これらの場所で取得が困難な場合は公益社団法人福岡県介護支援専門員協会に郵送で請求することができます。

受験書類の受付:2019年6月3日(月)~7月2日(火)(最終日消印有効)

試験日程:2019年10月13日(日)

試験地:福岡大学・九州国際大学

試験科目:介護支援分野 25問
介護保険制度の基礎知識
要介護認定等の基礎知識
居宅・施設サービス計画の基礎知識等の内容

保健医療福祉サービス分野 35問
保健医療サービスの知識等(20問)
福祉サービスの知識等(15問)

各分野の正答率70%が合格ラインとされています。

  合格発表:2019年12月3日(火)
 

今後のケアマネージャーの将来性

 前述しましたが2018年から受験資格の特例がなくなっています。
 それは国を挙げてケアマネージャーの資質を向上させることにあります。

 これから迎える超高齢化社会に向けて、ケアマネージャーの存在が重要になってきますので、需要が増すことは間違いなく、社会的な認知度や地位も向上することが期待されます。
 また介護職員は薄給というイメージもありますが、こちらについても政府が処遇改善策を打ち出していますので、給与についても改善されることが期待されます。

 これらのことから、ケアマネージャーは十分な将来性があると考えて良いのではないでしょうか。

ケアマネージャーの就職先

 ケアマネージャーは「居宅ケアマネ」と「施設ケアマネ」の職場に分かれます。
 それぞれ詳細を確認しておきましょう。

●居宅ケアマネ
   居宅ケアマネとは、居宅介護支援事業所(在宅介護を必要とする方のケアプラン作成や支援などを行う事業所)で働くケアマネージャーです。
   自宅で暮らす要介護者に対してケアプランの作成や提案、居宅への訪問介護の依頼や、通所介護(デイサービス)の紹介といった、サービス事業者との調整を行います。

●施設ケアマネ
    特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設で働くケアマネージャーです。
    主に施設への入所者に対するケアプランの作成などを行っています。
    ほかにも利用者の送迎や施設行事への参加といったケアマネージメント以外の業務を行うこともありますが、施設によってどこまでの業務を行うのかは異なります。事業所ごとにどういった業務を行っているか確認をしておく必要があるでしょう。

ケアマネージャーの平均年収・MAX年収

 厚生労働省の発表によると、平成30年度のケアマネージャーの月給の平均は常勤で350,320円、非常勤で229,050円だったそうです。
 
 年収にすると約350万円になるようですが、地域によって年収には大きく差があります。例えば九州・沖縄は約300万円、関東は約345万円というデータがあります。
 勤務先によって異なるという面もありますが、地域差もあるのが現状のようです。
 
 余談ですが、居宅ケアマネと施設ケアマネだと、介護職員を兼任することもある施設ケアマネのほうが月収が高いと言います。理由としては夜勤があることなどが挙げられます。

ケアマネージャーに向いているのはこんな人

 ケアマネージャーは、ケアプランを作成するために要介護者やその家族、主治医など様々な人と関わることになります。
 そのためコミュニケーション能力が必要となります。
 話が上手であればなおよいのですが、話が苦手でもよりよいケアプランを作成するために要介護者などの言葉に耳を傾け、しっかりと聞いて、立場や気持ちを察することができれば、ケアマネージャーとしてコミュニケーションを高めていくことができるのではないかと考えられます。

 ケアマネージャーの業務はケアプランの作成のためのデスクワークだけではありません。前述したとおり、事業者と会議を行ったり利用者のもとにモニタリングに伺ったりといろんな場所に足を運ばなければならないケースがあります。
  そのためフットワークの軽さも求められます。
 

ケアマネージャーに関連する職業や資格

関連する職業

 ケアマネージャーに関連する職業としては、医師や看護師などの医療従事者やヘルパーなどの介護専門職、老人介護施設やデイサービスのサービス事業者などが挙げられます。

関連する資格

 介護支援専門員実務研修受講試験を受けるにあたっての受験要件にもなっている国家資格者のうち、介護の専門職である介護福祉士や、介護施設などでリハビリテーションを行う理学療法士や作業療法士 、福祉や医療の相談援助業務を行う社会福祉士は、介護と深く関わる仕事であるため、この資格を持っている方がケアマネージャーになるケースが多いのではないかと考えられます。
 ケアマネージャーを目指すのであればこれらの資格を取得しておくと良いのではないでしょうか。

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