建築士になるには

  • 2020.01.29
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建築士の概要や仕事内容

建築士とは?

建築士は建築士法に定められている国家資格です。
建物の設計や工事監理、建築にかかわる各種手続、図面の作成などを行う職業です。

建築士は一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類があります。それぞれの資格によって、設計や工事管理などの行える業務の範囲が異なります。

建築士の仕事内容とは?

建築士の主な業務は、主に次の3つに分けられます。
・設計業務
・工事監理
・各種手続業務(建築確認の申請など)

●設計業務
設計業務は建築主から依頼を受けたら、建物のイメージや構造、予算についてヒアリングを行っていきます。建物が一般住宅なのか、店舗やオフィスビルなのかといった用途によって、建設予定地に建てられるかどうかも考えながら、建築主がイメージする建物のデザインや内装のイメージを行っていきます。

イメージができたら、図面を作成していきます。
図面を作成する際には
・意匠設計:建築主のイメージに合う建物全体のデザイン設計
・構造設計:耐震のための強度を確保するなど建造物の土台の設計
・設備設計:電気設備など、用途に合わせた設備の設計
を含みながら作成を行っていきます。
図面の作成は手作業や模型(よくテレビなんかで見ますね)、設計ソフトのCADなどを利用して行っていきます。
そうして打ち合わせを重ねて建築主のイメージに合わせていきます。

意匠設計や構造設計については、大手建築会社などでは専門部署に分かれて設計を行うところもあるといいますし、有名な建築家に依頼をしたら家具までトータルして依頼をされるケースもあります。一口に建築士といっても、いろいろな働き方があることがわかります。

●工事監理
建築現場に直接出向いて設計図通りに工事が行われているか、スケジュール通りに施工が行われているかなどをチェックする業務で、工事監理は建築士の独占業務です。
作業にあたる大工や左官工、電気工事業者などと打ち合わせをするなどして、現場の見解も交えながら設計の修正や建材の見直しをすることもあります。工事のコスト管理なども行います。

●各種手続業務
設計前における調査や企画といった業務や、建築工事契約に関する事務、既存建築物に関する調査、鑑定業務、開発許可、農地転用許可等の手続き業務、各種コンサルティング業務など、建築士の手続きは多岐に渡ります。
この業務を専門に行っている建築士もいます。
また、建築主の代理で建築確認申請の図面も作成します。この図面の作成については、建築士と行政書士にしか許されていない業務です。

≪建築士の資格の違いについて≫
冒頭で建築士は一級建築士・二級建築士・木造建築士の3種類があるといいましたが、ここでそれぞれの違いについてチェックしておきましょう。

●一級建築士
国土交通大臣の免許を受けて、建築物にかかわる設計や工事監理等を行います。
一級建築士は、建築士法第3条によって、次のような設計・工事監理に複雑・高度な技術を要する建築物を含むすべての施設の設計および工事監理を行うことができるとされています。一級建築士には制限がありません。

①学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が500㎡を超えるもの
②木造建築物または建築の部分で、高さが13mまたは軒の高さが9mを超えるもの
③鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が300㎡、高さが13m、または軒の高さが9mを超えるもの
④延べ面積が1000㎡を超え且つ階数が2階以上のもの

●二級建築士
都道府県知事の免許を受けて建築物にかかわる設計、工事監理等を行います。
木造住宅や小規模のコンクリート造建築物など、日常生活を送る範囲の建築物の設計や工事管理をすることができます。

①学校・病院・劇場・映画館・公会堂・集会場・百貨店などの公共建築物は延べ面積が500㎡以下のもの。
②木造建築物または建築の部分で高さが13mまたは軒の高さが9m以内のもの
③鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロック造もしくは無筋コンクリート造の建築物または建築の部分で、延べ面積が30㎡~300㎡、高さが13mまたは軒の高さが9m以内のもの
④延べ面積が100㎡(木造の建築物にあっては、300㎡)を超え、又は階数が3以上の建築物(例外規定あり)。

●木造建築士
都道府県知事の免許を受けて木造の建築物に関して設計、工事監理等を行います。
木造の建築物で、延べ面積が100㎡を超えるものを新築する場合においては、一級建築士、二級建築士又は木造建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならないとされています。そして木造建築士は、木造建築物で延べ面積が300㎡以内で2階以下のものを設計・工事監理ができるとされています。
一般的な住宅は130㎡以下であることが多いことから、一般的な木造住宅であれば木造建築士が設計、工事管理等を行えるということになります。

建築士になる方法(資格取得方法等)

建築士になるには、まず国家資格である建築士試験に合格しなければなりません。
一級建築士の受験資格は次の通りです。

 ①大学で指定科目を修了した者:卒業後2年以上の実務経験
②3年制の短期大学で指定科目を修了した者:卒業後3年以上の実務経験
③2年制の短期大学または高等専門学校で指定科目を修了した者:卒業後4年以上の実務経験
④二級建築士:二級建築士として4年以上の実務経験
などの条件を満たした人には受験資格が与えられます。

二級建築士や木造建築士になると大学で指定科目を修了した者については実務経験が不要になったり、建築の学歴がなくても実務経験が7年以上あれば受験資格を得ることができます。

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資格難易度や試験について

試験について

●試験の概要
※下記は2019年度の試験の日程です。
ここでは一級建築士について概要を書いていきます。
合格率は約10数%となっており、かなり難易度が高いといえます。

受験書類の配布:窓口による配布…2019年4月5日(金)~5月13日(月)
郵送による配布…2019年4月5日(金)~4月19日(金)
※請求期間は4月12日(金)まで。

受験書類の受付:ネット申し込み…2019年4月8日(月)~4月15日(月)
窓口申し込み… 2019年5月9日(木)~5月13日(月)
郵送申し込み…2019年4月15日(月)~4月26日(金)

試験日程:学科の試験…2019年7月28日(日)
設計製図の試験…2019年10月13日(日)

試験地:学科・設計製図ともに各都道府県

試験科目:学科の試験
学科Ⅰ(計画)
学科Ⅱ(環境・設備)
学科Ⅲ(法規)
学科Ⅳ(構造)
学科Ⅴ(施工)
設計製図の試験…あらかじめ公表する課題の建築物についての設計図書の作成

合格発表:学科の試験…2019年9月10日(火)(予定)
設計製図の試験…2019年12月19日(木)(予定)

今後の建築士の将来性

建築物は定期的に建て替えや老朽化対策を行わなければなりません。
これから高齢化社会となっていきますが、高齢者が建てた住居がこれからどんどん老朽化対策をしなければならない住居となっていきます。
同時にバリアフリーにリフォームする必要性もあるため、これからも一定の需要が見込めるため将来性はあるといってよいのではないでしょうか。

ただし、少子化で人口が減少していくことは間違いなく、空き家問題もあります。
そのため建築業界の市場は縮小していくことは避けられないでしょう。
そうした中でどのように生き残っていくか、常に新しい工夫をしていく必要があると考えられます。

建築士の就職先

主な就職先は建築会社や建築設計事務所です。
独立開業を目指す人なども、一度は建築会社などに就職しているようです。
ほかにもハウスメーカーやインテリア系の会社、公務員試験を受けて地方自治体の都市開発部門など、建築にかかわる様々な分野で建築士は活躍しています。ただし、この場合は設計にかかわる業務をすることはなくなる可能性があります。

建築士に向いているのはこんな人

建築士はモノづくりの仕事ですので、それこそ子供のころからブロックが好きといったことでもかまいません、何かを作ること、特に作ったもので誰かを喜ばせることがうれしいという人は建築士に向いているといえます。
同時に、デザインセンスも求められますので、様々な美術品を目にしてデザインセンスを磨いてきたような人であることも大切な要素です。

とはいえ、好きなだけでは建築士になることはできません。
建物を作るということはそこに住む人がいるということです。
もう何年も前になりますが、耐震偽装を行った建築士がいましたが、そのようなことはあってはなりません。きちんと建物の耐震性や強度を計算できる計算力、偽装を行うことなく設計できる真面目さなども求められます。

建築士に関連する職業や資格

関連する職業

●測量士
建設現場などで、土地の位置や高さ・長さ・面積を測り、図面を作成します。
主に道路や橋、鉄道、ダムなどの公的インフラ整備工事に携わる機会が多い測量士ですが、建築にかかわることもあります。

●CADオペレーター
CADを使ってパソコンで図面を作成します。
平面図・立体図・断面図を描いたり、3次元モデルを作ったりしています。
おもに建築士などからの指示にもとづいて作成します。

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